『Wonder』(ほるぷ出版)

写真拡大

 2015年7月18日に発売された、生まれつき顔に障害がある少年・オーガストの日常を描いたR・J・パラシオによる児童書『Wonder』。全世界で300万部を突破した同作に、「毎日読むのが楽しみだった!」「オーガストの強い生き方にひたすら感動」と、大人、子供を問わず絶賛の声が寄せられている。

 全米で「NYタイムズベストセラー第1位」を獲得した同作は、オーガスト・プルマンという、ごく普通の10歳の男の子が主人公。ただ1つ付け加えるなら、“顔以外は普通”ということ。生まれつき顔に障害があるオーガストは、小さいころから人にギョッとされたり、怖がられることが度々あった。

 自宅学習をしていたオーガストだったが、10歳になり、初めて一般の小学校に通うことになる。生徒たちはオーガストを見て悲鳴を上げたり、じろじろ眺めたり、やがて「病気がうつる」と避けるように。その一方で、オーガストの話を面白いと感じる同級生も少しずつ増えていった。そんなとき、夏のキャンプで事件が起こる――。

 物語は主人公のオーガストだけではなく、同級生や姉などそれぞれの視点から、それぞれの立場、それぞれの感じ方でリアリティを持って語られている。読者はその中の誰かに共感し、誰かの想いを感じ取ることで、自分の中の何かを変えていくことができる。言葉、そして物語自体の力を感じられる作品だ。

 そんな同書は「第62回青少年読書感想文全国コンクール」や、夏休み読書感想文の高学年向け指定図書に選ばれたことから、夏休みに入った小学生やその両親の目に触れることになった。子供たちからは「とても感動しました。オーガストの心の強さにはおどろきました」「野外学習のシーンで7年生の6人組のエドワードがオギーの補聴器をとった話にびっくりした。Wonderはすごくはらはらドキドキしました。早く続きの本を読みたい!」「今まで読んだ本の中で1番面白い! 私は11歳ですが、ストーリーが面白かったのでスラスラ読めました」といった声が上がっている。

 保護者からも「こういう長い小説を読むのは初めてだったのですが、毎日1つの章を読んで半年かけて全部読みました。面白かったので毎日楽しみにしていました」「2回読み、子供とオギーのことを話しました。子供にとっても私にとってもすごく心に残る1冊になりました」と、大人の心にも響いたようす。

 同作はアメリカで映画化され、全米で2017年4月7日(金)に公開される予定となっている。気になる出演者だが、主人公のオーガストを演じるのが映画「ルーム」で「天才子役出現!」と高い評価を得たジェイコブ・トレンブレイ、母親役を大人気女優ジュリア・ロバーツが演じる。また監督は、家を探しにロンドンへやってくる紳士すぎるクマの活躍を描いた「パディントン」を手がけたポール・キングが務め、脚本を、空想癖のある凡庸な男が旅に出て変化していく様を描いた「LIFE!」の脚本家スティーブ・コンラッドが担当している。

 日本での公開は明らかになっていないが、すでに「同時公開してほしい!」「映画早く見たいよ!!」「ジュリアロバーツが母親役!? しかも監督と脚本家も豪華! お願いだから日本でも劇場公開して〜」と期待の声が続出。

 “障害”を扱った物語にありがちな「お涙頂戴」ではなく、綺麗ごと抜きに人々のリアルな心情が描かれた『Wonder』。テレビや新聞、メディアに取り上げられ、多くの人に知られた同作は、児童書に普段触れない人が目を留め、オーガストと周囲の人たちの障害に向き合う物語に圧倒され、大きな話題を呼んでいる。子供向けに優しい言葉で綴られながらも心を震わす同作の世界に、この夏一歩踏み込んでみてはいかがだろうか。

■『Wonder』

著:R・J・パラシオ

訳:中井はるの

発売日:2015年7月18日

出版社:ほるぷ出版