2013年に、『100%好かれる1%の習慣』がベストセラーとなりました。

12年間にわたりANA客室乗務員(以下CA:キャビンアテンダント)を務め、現在はマナー講師として活躍する著者が、人間関係の法則を説いた著作。

きょうご紹介する『1秒で「気がきく人」がうまくいく』(松澤萬紀著、ダイヤモンド社)は、そんな著者による新刊。今回は、「気がきく人」になるために必要な習慣を説いています。

著者は本書において、CA時代にも、マナー講師となってからも、出会った経営者、芸能人、同業他社の方々などにはひとつの共通点があることに気がついたと記しています。

それぞれの業界で成果を上げている人たちはみな、ほんの一瞬、ほんの「1秒」という短い時間のなかで判断をくだし、「気がきく習慣」をいつも実行しているということ。

99%の人がやっていないそれは、やろうと思えば誰でも実行できる、たった「1%の習慣」でもあるのだとか。

また、「1秒」意識することではじめられる習慣でもあるので、本書では「気づかい」「機会」「習慣」「言葉」「行動」という5つの観点から、このことについて解説しているのです。

■コミュニケーションの「3かけ」が大切!

ほんの少しのさりげない「声かけ」が、相手の心を元気にしたり、励ましたり、あたたかくすることがあるもの。

実際、CAはいつも、機内のお客様との「スポット・カンバセーション」を心がけているのだとか。スポット・カンバセーションとは、「短い会話」のこと。

そして、このことに関連して、著者は過去の自分位影響を与えた人物のエピソードを引き合いに出しています。それは、著者が卒業した中学校の西谷先生という方。

西谷先生は、生徒ひとりひとりに寄り添う教育を信条としていて、「3かけ」を実践されていたのだそうです。「1:目をかけ、2:気にかけ、3:声をかけ」というもの。

「目をかけ」とは、子どもたちを「見る」こと。とはいえ、ただ目を向けるだけではしての心の機微に気づくことができないので、思いやりを持って「気にかけ」ながら、「目をかけ」ることが大切だという考え方。

そしてこれは、子どもに対することだけではなく、あらゆるコミュニケーションにとっても重要だというのです。

私たちは誰でも、「自分のことを知ってもらいたい」「自分の存在に気がついてもらいたい」という「承認欲求」を持っているので、いつも声かけをして「あなたのことを気にかけていますよ」という気持ちを示してあげることが大切だということ。

■コミュニケーションの「3かん」も大切!

ところで著者は、コミュニケーションで大切なのは相手の「味方」になることだと説いています。相手から、「この人だったらわかってくれる。この人だったら信頼できる」と感じてもらうことが重要だということ。

でも、どうしたら「味方」になれるのでしょうか?

その答えとして著者は、西田先生が実践していたという「3かん」(3つのきょうかん)によるコミュニケーションを紹介しています。

コミュニケーションの「3かん」とは、以下のようなもの。

(1)「共感」子どもたちの思いに共感する

(2)「共汗」子どもたちと一緒に汗を流す

(3)「共歓」子どもたちと一緒に喜び楽しむ

これら他人への「きょうかん」が、人と人との結びつきを強くするというのです。それぞれについて、詳しくご説明しましょう。

■相手に寄り添う気持ちを持つだけでOK!

「共感」とは、他人の意見や感情に「そのとおりですね」と寄り添うこと。否定してしまうのではなく、同じ思いを示すことが大切だという考え方です。

「共汗」とは、一緒に汗を書く、つまり手伝うこと。「お手伝いできることはありませんか?」のひとことは、「人と人をつなぐ言葉」だと著者は考えているそうです。なぜならそのひとことは、「あなたと一緒に汗をかきますよ」という「信頼」につながるから。

そして最後は「共歓」。自分が「うれしい」と思ったとき、相手も自分のことのように「一緒に喜んでくれる」と、もっとうれしい気持ちになるものです。喜びを人と分かち合うと、喜びが2倍になるといっても過言ではないわけです。だから相手が喜んでいたら、一緒に喜んであげることが大切だということ。

他人に「きょうかん(共感/共汗/共歓)するとは、いいかえると「相手の立場になる」こと。「3かん」を心がけて人と接すれば、相手の気持ちがわかるようになり、「味方」になることができるというわけです。

つまり、特別なことをする必要はないのです。寄り添う気持ちを持って「同じ感情を分かち合う」だけで、相手から「この人だったらわかってくれる」と思われる人になれるのだから。そしてその結果として、多くの人が「味方」になってくれるということです。

決して難しい主張をしているわけではなく、アプローチはシンプルで柔らか。だからこそ、「気がきく人」になるためのメソッドを無理なく理解することができるはずです。

(文/作家、書評家・印南敦史)

 

【参考】

※松澤萬紀(2016)『1秒で「気がきく人」がうまくいく』ダイヤモンド社