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 ここ最近、「人工知能(AI)やロボットなどに関する記事を目にしない日はない。その可能性が指摘される一方で「AIやロボットの出現で、ホワイトカラーの雇用機会が奪われる」といった論調も見かける。確かにこれらの導入により、さまざまな作業は人がやらなくてもすむようになるだろう。人的なリソースも大幅に軽減できる……となれば、そうした論調が出てくるのも当然だろう。

 しかし、本当にそうだろうか? 「AIやロボットの出現が人の仕事を奪うことになるとは考えていない」という話もある。

「AIやロボットは、従業員をルーティン作業から開放し、より付加価値の高い業務を行う機会を提供すると感じています。さらに、AIやロボットを駆使できる人材のニーズが高まり、雇用も創出されるでしょう。この現象は多くの人にとって、脅威ではなく、チャンスだと思います」と語るのは、KPMGコンサルティング株式会社パートナー、田中淳一氏だ。

◆「ロボット化」が企業の生産性を飛躍的に高める

 AI、IoT(モノのインターネット)、デジタル・レイバー(Digital Labor:仮想知的労働者)といったキーワードに触れる機会が増えている。これらに共通するのは、いずれも、機械学習などを含む認知技術を活用し、人に代わって業務を自動的に行うことだ。

 最近ではこれらを総括するものとして「RPA(Robotic Process Automation)」という言葉が広がりつつある。RPAは「ロボット」とは言うものの、生産現場における物理的なロボットではなく、認知技術やソフトウエアツールを活用したものだ。

「RPAはこれまで人間のみが対応可能とされていた作業やより高度な作業を人間に代わって実施することができます。工場で産業用ロボットが製品を組み立てるように、バックオフィスにおけるデータ入力などをRPAによって行えるようになるんです。

 RPAの大きな特長は、定型作業だけでなく知的・自律的な作業も自動化できることです。人間の指示にのっとった対応のみでなく、自ら学習してルールを作ったり、意志決定に必要な情報を自ら取得し適切な判断をしたり、人間の質問を理解して適切な回答をしたりできる点にあります。まさに『デジタル・レイバー(仮想知的労働者)』というわけです」

 こうした『デジタル・レイバー(仮想知的労働者)』はどういったところに役立ってくるのか?

「請求書の処理や経費精算、申込書の入力・不備チェックといった定型作業の自動化については、すでにビジネスにおいて効果が実証されています。たとえば経費精算のチェックをRPAで行うと、100件(人間が行うと約200分)の照合作業が1分で済んでしまいます。
 また、ある大手生保では、保険申込書の不備チェックのために、これまで200人が必要でしたが、RPAの導入により、それが十数人まで削減できたといいます」

 これまで、業務コストを削減するためにはBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスなどを利用し、人件費の安い国へ委託するのが一般的だった。しかし、最近では中国やインドなどの人件費が高騰し、その格差を利用したコスト削減が難しくなっている。また、コストを追求し新興国に業務を委託すると品質の確保が難しくなる。

 RPAであれば国内で品質を担保できる。もちろん、スピードも速い。人件費格差や標準化を元にしたコスト削減は15〜30%が限界だが、RPAを活用したコスト削減は40%〜75%も可能とされている。最近になって、RPAが注目されている理由の一つがここにあるのだ。

◆RPA普及で新たな雇用創出や経済発展も!?

 前述したような効果を踏まえれば、RPAが既存の業務に大きな影響を与えることは容易に想像できる。