『コンビニ人間』

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 2016年7月19日(火)に発表された第155回芥川賞受賞作、村田沙耶香の『コンビニ人間』の勢いが止まらない。全国的な発売日から2日が経過した7月29日(金)の時点で、大手書店チェーンなどの店頭の売れ行きが過去10年間の受賞作の中で『火花』に次ぐ2番目の勢い。4刷10万部の重版が決定し、累計発行部数はすでに25万部に達している。

 36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。オープン当初からスマイルマート日色町駅前店で働き続け、変わりゆくメンバーを見送りながら、今の店長は8人目だ。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの光景と鼓膜の内側に蘇る店内の音が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。仕事も家庭もある同窓生たちからどんなに不思議がられても、完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、彼女を世界の正常な「部品」にしてくれる――。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽に「自分が恥ずかしくないのか」と言われるが……。

 「現代の実存を問い、正常と異常の境目がゆらぐ衝撃のリアリズム小説」と評される同書は、芥川賞選考委員の高い評価や、コンビニを舞台としたテーマの身近さから大きな話題を呼んでいる。

 『火花』に次いで爆発的な売れ行きとなっている同書。今、最もホットな文芸書と言ってもよいだろう。気温もホットでついついコンビニに寄って涼んでしまうこの時期。同書を読んでから街を歩けば、いつものコンビニが少し違って見えるかもしれない。

■『コンビニ人間』

著:村田沙耶香

発売日:2016年7月27日(水)

出版社:文藝春秋

村田沙耶香(むらた・さやか)

1979年8月14日生まれ。千葉県印西市出身。玉川大学文学部芸術文化コース卒。2003年『授乳』が第46回群像新人文学賞優秀作となりデビュー。『ギンイロノウタ』第31回野間文芸新人賞受賞。『しろいろの街の、その骨の体温の』第26回三島由紀夫賞受賞。『消滅世界』他。

※掲載内容は変更になる場合があります。