(写真提供=FA PHOTOS)

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リオデジャネイロ五輪で8大会連続のオリンピック出場となる韓国。前回のロンドン五輪では日本と3位決定戦を戦い、史上初のメダル獲得も成し遂げただけに、今回も国民たちが寄せる期待は大きい。

韓国でもっとも期待されているリオ五輪種目

例えば、『韓国放送広告振興公社』がソウルなど首都圏に在住する1059世帯・男女合わせて4300数人を対象にして行なった「リオ五輪でもっとも期待している種目と選手」で、堂々の1位に輝いたのはサッカー(53.8%)だった。

19〜50歳の男女304人のアンケートをまとめた『2016年リオ五輪メディア利用予測の報告書』でも、もっとも関心が高かったのはサッカー(55.0%)で、ポータルサイト最大手『NAVER』で毎日更新される「リオ五輪の韓国代表でもっとも期待される種目は?」というネットアンケートでもサッカーが常に1位にある。
(参考記事:ソニー、妖精、神の弓!韓国人がリオ五輪で期待している種目とアスリートとは!?

“史上最弱世代”と言われ、“ドーハの悪夢”も経験

もっとも、シン・テヨン監督率いるチームは、ほんの数か月前までは“コルチャギ(谷間)世代”と言われていた。過去のU-23世代と比べると選手たちのネームバリューが落ち、多くの選手がKリーグでレギュラーとして活躍できていなかった状況もあって、“史上最弱の五輪代表”とも言われた。

それだけに今年1月のU-23アジア選手権でリオ五輪出場切符を手にした時には、国内メディアから「歴代最弱世代の快挙」「谷間世代の反乱」とも報じられたが、決勝で日本に逆転負けを喫したことで“ドーハの衝撃”“ドーハの悪夢”と嘆かれた。

ただ、そんなチームも今では国中の期待を集めるようになった。それはオーバーエイジ(以下、OA)の存在も大きいだろう。韓国はソン・フンミン(トッテナム)、ソク・ヒョンジュン(ポルト)、チャン・ヒヨンス(広州富力)と、いずれも海外でプレーする選手をOA枠として補強している。

オーバーエイジとして補強されたのはすべて海外組

とりわけイングランドのトッテナムに所属するソン・フンミンは、パク・チソン引退後に“韓国代表の新世代エース”に躍り出たスーパースターだ。前出の「リオ五輪でもっとも期待している種目と選手」でも並みいる韓国のメダル候補たちを差し置いて堂々の1位に輝き、FIFAが発表した「リオ五輪を輝かせるスター」のひとりにも選ばれているだけに期待は大きい。

また、FCポルトに属するソク・ヒョンジュンにも注目が集まる。かつてアヤックスに在籍した頃は“韓国のファンバステン”と注目を集めるも一時期代表から遠ざかっていた長身ストライカーは、韓国代表が6月に行なった欧州遠征で復活。チェコ戦では値千金の決勝ゴールもさることながら、その両腕に施されたタトゥーにも注目が集まり、最近は“ソク・ズラタン(本名とズラダン・イブラヒモビッチの名を合わせた造語)とも呼ばれている。

そして、かつてFC東京でもプレーしたDFチャン・ヒョンスだ。オーバーエイジとしてチームに加わり、キャプテンも務める。韓国はU-23アジア選手権では守備の脆さを露呈したが、2014年アジア大会でもキャプテンシーを発揮して韓国に金メダルをもたらしたチャン・ヒョンスにかかる期待も大きいと言えるだろう。チャン・ヒョンスも、「五輪の舞台でキャプテンを任されるのは選手として光栄なこと。目標はメダルだ」としている。

メダル獲得なら人生を変える“恩恵”も

ちなみに大韓サッカー協会は前回のロンドン五輪開幕前に、金メダルなら31億3000万(約2億9000万円)ウォン、銀メダルなら21億4000万ウォン(約1億9900万円)と褒賞金を発表。銅メダルに輝いたチームに、総額15億2000万ウォン(約1億4000万円)の褒賞金を与えている。

今回のリオ五輪の褒賞金額はまだ発表されていないが、前回のロンドン五輪時と同等かそれ以上になることは間違いなさそうだ。これに加え、大韓体育会もメダル獲得時の褒賞金を設けているが、選手たちのモチベーションになっているのは金銭的なボーナスだけではない。

メダル獲得なら“兵役免除”の恩恵を得られることも大きなモチベーションだ。実際、前回のロンドン五輪で銅メダルを勝ち取ったことで、キ・ソンヨンやク・ジャチョルら23歳以下の選手たちだけではなく、パク・ジュヨン、チョン・ソンリョン、キム・チャンスらOA枠選手たちもそれまで抱えていた兵役問題を解決することができた。

今回のOA枠ではチャン・ヒョンスが2014年アジア大会金メダルで兵役免除資格を得ているが、ソク・ヒョンジュンとソン・フンミンにとって引き続き欧州でプレーするためにも、リオ五輪で兵役問題を解決したいところだろう。

グループリーグでは、フィジー、ドイツ、メキシコと対戦する韓国。すでにチームはブラジル入りしており、7月25日にはサンパウロでイラク五輪代表と非公開のテストマッチを実施。トッテナムのオーストラリア遠征に参加中のソン・フンミンや、中国リーグの日程関係で合流が遅れたチャン・ヒョンスら不在だったこともあってか、0-1で敗れた。

ただ、7月30日には同じくサンパウロでスウェーデン五輪代表と最後の強化試合を行ない、3-2の逆転勝利も収め、本番に向けて弾みをつけている。

「2014年ブラジル・ワールドカップの痛みを、2016年リオデジャネイロ五輪で癒せ」。ファンやサポーターの間では、そんな声も聞こえてくる。韓国の“コルチャギ世代”にかかる期待は大きい。

(文=慎 武宏)

(初出:『サッカーダイジェストWEB』【韓国メディアの視点】リオ五輪でのリベンジなるか。強力OAが加わった“コルチャギ世代”にかかる期待 7月28日掲載)