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過去に在籍していた会社の上司に肉体関係を強要されたという女性が、元上司の妻から「不貞行為だ」として訴えられているという悩みが弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者は、元上司から「給料を払わないぞ」「拒んだらどうなるかわかってるよな?」と脅迫的な言葉で関係を持つことを求められ、肉体関係を3回持ってしまったそうです。

元上司は妻に対して、同意があったことを主張しており、妻は相談者に「慰謝料300万円」を要求しています。強要とはいえ、肉体関係を持ってしまった以上、慰謝料を支払う必要はあるのでしょうか。森本明宏弁護士に聞きました。

 ●肉体関係を持ったことについて「故意または過失があったか」

配偶者を持つ人と肉体関係を持った場合の法的責任について、最高裁は次のような判断を示しています(最高裁・1979年3月30日判決)。

「夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は、故意又は過失がある限り、他方の配偶者の被った精神上の苦痛を慰謝すべき義務がある」。

つまり、不貞関係を理由に、慰謝料請求をされた場合、慰謝料を支払う必要があるかどうかは、肉体関係を持ったことについて「故意または過失があったかどうか」が判断基準となります。

たとえば、結果として肉体関係を持ってしまったとしても、それが強姦など犯罪行為による場合、故意・過失がないことは明らかであり、慰謝料の支払い義務がないことは明らかです。

そして、既婚者である男性から暴行・脅迫を受けて不貞関係を強要された事案において、妻からの慰謝料請求を認めなかった判決もあります(横浜地裁・1989年8月30日判決)。

今回の事案では、元上司から社内における上下関係を背景に脅迫的な言葉で不貞関係を強要されたとのことです。肉体関係を持ってしまったことについて過失がないことを理由に、慰謝料の支払いを拒むことができるでしょう。

ただし、実際に訴訟になった場合、元上司は「同意があった」「脅迫的な言葉はなかった」と主張することが考えられます。この場合、不貞関係に至った原因が、元上司からの脅迫、強要であったことを相談者が立証できるかどうかが鍵となるでしょう。



【取材協力弁護士】
森本 明宏(もりもと・あきひろ)弁護士
愛媛弁護士会所属(2002年弁護士登録)。2010〜2011年度、愛媛弁護士会副会長。愛媛地方最低賃金審議会公益委員・日本スポーツ法学会会員。http://www.facebook.com/lawyer.morimoto
事務所名:四季法律事務所
事務所URL:http://www.shiki-law.com/