開幕の日が迫ってきたリオデジャネイロ五輪。前回ロンドン五輪で総合5位に入賞した韓国は、どんな目標を立て、どの種目・選手に期待を寄せているのか。また、オリンピックで着実に結果を残す韓国スポーツの強さの秘密はどこにあるのだろうか。

韓国のスポーツ団体を統括する組織であり、オリンピックなどの国際大会への選手派遣事業を行なっている大韓体育会日本支部の趙靖芳専務理事に話を聞いた。

―リオ五輪開幕が目前ですね。今回、韓国が掲げた目標は“金メダル10個、総合10位以内”だそうですね。
「実は2012年のロンドン五輪でこの目標は達成しているんです。ロンドンでは金メダル13個、総合5位でした。これは、1988年のソウルオリンピックを抜いては過去最高記録。ところが、今回は目標をあえて低く設定しました。韓国はメダル数に関してはものすごくシビアに考え、シビアに発表する傾向があります。日本とは逆ですね。日本は、大会前に“金メダル取るぞ!”と盛り上げますから」

―それにしても、ずいぶん現実的な目標ですね。韓国はロンドンで成功を収めたにもかかわらず、なぜ「10-10」を目標にしたのでしょうか?
「韓国は昔から、アーチェリーやテコンドー、射撃のような種目でずっとメダルを取ってきました。その真髄を見せてくれたのが北京・ロンドンです。それに加え、水泳のパク・テファン、体操のヤン・ハクソンのような、突出した選手が大会ごとに現れたりしました。しかし、今回はそのヤン・ハクソン選手が骨折で出られません。それが本当に痛いですね。あとは、やはり韓国の国民性を考えた目標設定ではないでしょうか。最初10個ぐらいを目標にしておいて、それを超えた時に“達成感”を感じさせるのが良いのではないかと。もしダメだった場合は、日本に比べてかなり厳しい目を向けられるんですよ」

―韓国は様々な種目で強さを見せてきました。今回のオリンピックで韓国が特に期待を寄せている種目があるとすれば…?
「まあ、何が起きるか分からないのがオリンピックではありますが、女子アーチェリーチームと、射撃のチン・ジョンオ選手は、手堅い気がします。そこは確実に金メダルを稼げるんじゃないでしょうか。また、今回は女子ゴルフも面白いでしょうね。韓国は“最強”と言われるパク・インビが出場するし、ニュージーランドからは韓国系のリディア・コ、日本からは韓国育ちの野村敏京が出てきます。やはり彼女たちの競り合いが今回の見物でしょう」

―韓国は、女子が強い印象があります。新体操界の“妖精美少女”ソン・ヨンジェはアイドル並みの人気を誇りますし、アーチェリー、ゴルフ、フェンシングも女子選手が活躍しています。今回、女子アスリートの中で特に注目すべき選手がいるとしたら?

「アーチェリーでは、キ・ボベがすごく注目されていますが、チャン・ヘジンやチェ・ジソンも勝つような気がします。多分、女子チームの中で一番力を発揮するんじゃないでしょうか。あとは、テコンドーのキム・ソヒにも期待しています」
(参考記事:アーチェリー強国の期待集める“神の弓”キ・ボベと“美女弓師”チャン・ヘジン

―テコンドーは、国技にも関わらず韓国でのメダル数が少ないという印象があります。実際のところ、どうですか?
「以前テコンドーとレスリングのどちらかが正式種目から外されるんじゃないかという話がありましたよね。韓国はしっかりロビー活動をしてテコンドーを残したのですが、その時言われたのが、“韓国の国技だからって韓国人ばかりメダルを取っていたら、いつまでも世界的な種目にはなれない”でした。つまり、いろんな国がたくさんメダルを取ることこそが、テコンドーの世界化につながるという見方をしているんです。実際にオリンピックでも、韓国はテコンドーでせいぜい1〜2個ぐらいの金メダルしか取っていない。ということは、もはやいろんな国がメダルを取り合う競技になっていると。韓国の国技であるテコンドーが世界に広まっていることに、自負を感じているんですよ」

(文=慎 武宏)