まだはっきりした原因がわかっていない「脳腫瘍」。他部位のがんなどに比べて発症率も低いため、研究も難しいとされてきました。そんな中、イギリスのロンドン大学が発表した興味深い研究結果が無料メルマガ『Dr.ハセのクスリとサプリメントのお役立ち最新情報』で紹介されています。

脳腫瘍の発症リスクは高学歴ほど高い?

がんに罹る人が、年々増えているようです。そして、優秀と言われる方に多いように思えます。

どうもこの私の勘は当たっているようで、「大学教育を3年以上受けた人は余り受けなかった人に比べて、がん性脳腫瘍の発症リスクが高い」とする研究結果が発表されました。

これは、疫学と地域保健の英専門誌「Journal of Epidemiology and Community Health」に発表された研究論文で、英ロンドン大学(UCL)小児保健研究所(Institute of Child Health)のAmal Khanolkar氏らが報告したものです。

論文タイトル:

Socioeconomic position and the risk of brain tumour: a Swedish national population-based cohort study専門誌名:J Epidemiol Community Health doi:10.1136/jech-2015-207002  Published Online First 20 June 2016著者:Amal R Khanolkar 他

以前からも、教育水準や社会的地位と脳腫瘍の発生頻度とを比較した研究があったそうですが、決定的な結論には到達していませんでした。その理由として、脳腫瘍はまれなために、本当のリスクの上昇率があまり表面に現れていないためと考えられていました。

そこでスウェーデン・カロリンスカ研究所(Karolinska Institute)医科大学の研究者らは、少数の脳腫瘍患者を健常な人々と比較するのではなく、スウェーデンの公的医療制度が1993年から2011年にかけて追跡調査した成人430万人の診療記録を詳細に調べました。

原因が異なる3種類の脳腫瘍(うち2種は非がん性)に区別して分析したところ、3種類の脳腫瘍すべてで、教育水準と腫瘍発生との間に強い関連が認められたそうです。

特に致死率の高い神経膠腫(グリオーマ)で関連性が最も強く、グリオーマの発症リスクは、大学教育を受けた男性では19%高く、女性の場合は同23%も高いことが分かりました。また、低所得のブルーカラー労働者と、肉体労働に従事しない高所得層の男女との間にも発症リスクの差が大きい事が認められたそうです。

今回の研究では、高等教育を受けることと腫瘍との関連性に関する説明や、喫煙や飲酒などの環境や生活習慣の要因についての考察などはなされていません。しかし、教育水準や所得が高い人ほど症状に気付きやすく、専門家の診断を受ける機会が多いことと関係がありそうだということです。

また、身長の高さや、女性ホルモン補充療法も関係しているらしいそうです。脳腫瘍のリスクは、他のがんのリスクと同様に身長が高い人ほど大きいそうで、身長が高い人ほど裕福で教育水準が高い傾向にある事はよく知られています。また、ホルモン補充療法が脳腫瘍リスクを上昇させる事についても、この療法を受ける人は裕福な人に多い事も知られています。

ということは、医療制度の発展によりガンの発見率が高くなっていることと関係がありそうで、高学歴で裕福な人ほどより良い医療を受けられるという、現実の裏返しかもしれません。

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出典元:まぐまぐニュース!