淡い緑色が印象的なペリドット。かんらん石のうち、宝石として扱われるものがこう呼ばれます。
その輝きから「太陽の宝石」とも称されるペリドットは、夏の盛りである8月の誕生石にぴったり。
でも実は、ヨーロッパの多くの地域で、もともとは「9月の誕生石」として扱われていたのだとか。
さらに、古くはトパーズと混同(?)されていた、という話も……。
何かと複雑な、ペリドットにまつわる物語をご紹介します!

鉱物としては「かんらん石」に分類されるペリドット


いにしえの時代から、人間との関わりが深いペリドット

現在、一般的に言われる「誕生石」とは、20世紀初頭にアメリカ宝石商組合が提唱したもの。
その基になっているのは、「旧約聖書」に登場する、大祭司の胸当てに使われた12種類の宝石です。
それらの宝石が何だったのかは諸説あるようですが、ペリドットが使われていたのは確実だと言われています。
人間とペリドットの歴史は古く、古代エジプトのプトレマイオス2世は、ペリドットで王妃の像を作らせたとか。
古代ローマの博物学者プリニウスも、その著書でペリドットを紹介しています。
とある言い伝えによると、当時ペリドットの一大産地だったのは紅海にある「蛇の島」。
大切な産地を守るために、「嫉妬深い番人が島を見張っている」「島に近づく者は処刑される」などの伝説も生まれたのだそうです。


トパーズ? はたまたエメラルド?

ペリドットには「クリソライト」という別名もあり、これは「黄金の石」という意味を指すのだとか。
ややこしいのは、古代の文献に登場する「クリソライト」は、今日でいうトパーズを指している例が多いということです。
逆に「トパーズ」は、現在のペリドットを指しているのだそう。
中世ヨーロッパでは、ペリドットが緑色であることから「エメラルド」として記録されることもあったとか……。
鉱物的な知識がまだ発達していなかった時代のお話です。

ペリドットには「クリソライト」「オリビン」の別名も

ペリドットには「クリソライト」「オリビン」の別名も


夜になると姿を現す? 邪悪なものを追い払う?

昔、ペリドットは「日が暮れると、その輝きによって姿を現す」と考えられていました。
宝石の採集に充実する人びとは、夜のうちにその場所を覚えておき、翌朝すぐに拾いに行ったのだといわれます。
その類まれな輝きから、ペリドットには「夜の恐怖を祓う力がある」とされました。
また、「魔法を解き、邪悪なものを退散させる力がある」とも考えられていました。
こうしたペリドットの力は、黄金と組み合わせることで、より効果を発揮するのだそう。
中世の魔術師たちは、ペリドットをあしらった金の指輪をはめ、特別な儀式に臨んだといわれます。
現代の私たちも、ペリドットとゴールドのアクセサリーを身につければ、幸運を呼び込むことができるかもしれませんね!
参考:ジョージ・フレデリック・クンツ(鏡リュウジ監訳)「図説 宝石と鉱物の文化誌 伝説・迷信・象徴」(原書房)
塚田眞弘(松原聰監修)「天然石と宝石の図鑑」(日本実業出版社)

古来、さまざまな力を持つと信じられてきたペリドット

古来、さまざまな力を持つと信じられてきたペリドット