FROGMAN(ふろっぐまん) 1971年4月9日生まれ。東京都出身。映画やドラマの制作スタッフとしてキャリアをスタートさせるが方向転換し、2001年に島根県に移住する。04年、Webで発表したFlashアニメ『菅井君と家族石』が注目される。06年4月にテレビ朝日で『秘密結社 鷹の爪』と『古墳GALのCoffy』の2本立てTVアニメシリーズ『THE FROGMAN SHOW』が放送開始されるとたちまちブレイク。2007年3月には劇場版である『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE 〜総統は二度死ぬ〜』が公開される。この作品で08年度ニューヨーク国際インディペンデント映画祭の「アニメーション部門 最優秀作品賞」と「国際アニメーション最優秀監督賞」のダブル受賞を果たす。作品では基本的に、監督、脚本、キャラクターデザイン、録音、編集、声など1人でさまざまな役割をこなす。

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【映画作りの舞台裏】『鷹の爪』FROGMAN氏に聞く/前編

◆島根での貧乏生活からスタート!

「オヤジがこういう声なんですよね」と父親譲りというイケボで話してくれるのはFROGMAN氏。噂通りデラックスファイターが地声に近いようで、取材を忘れて聞き惚れるほどいい声の持ち主だ。

は? FROGMAN? デラックスファイター?? なにそれ??? と思う人も少なからずいるだろう。デラックスファイターは、あのアニメシリーズ『秘密結社 鷹の爪』(以下、『鷹の爪』)に登場するキャラクターで、生みの親であるFROGMAN氏が総統や吉田くんをはじめとしたメインキャラの声も自ら演じているのだ。「いや、だから『鷹の爪』ってなに?」という人もキャラクターを見れば「見たことある!」となるはず。間抜けな悪の組織・鷹の爪団を描く、Web用ソフトのFlashを使用したFlashアニメだ。映像の一部だけが動いたり、カクカクとした滑らかでない雑な動きを見せるギャグアニメで、今年で早くも10周年を迎える。

まずは『鷹の爪』の話の前に、FROGMAN氏の歴史を紐解くことから始めよう。イケボのルーツという父親の下に、なんと男ばかりの7人兄弟の末っ子に生まれたFROGMAN氏。兄たちの影響で少年時代から映画や音楽に親しみ、一番好きなのはウディ・アレン監督作品だそう。本人いわく、「家族の人数が多いし、陽気な兄弟たちで、常に誰かとしゃべって笑ってる状態でした。だから、ダイアログで進んでいくユーモアがある作品が好きなんです」。

20代の頃は実写映画の監督を目指して東京で映画やTVドラマの仕事をしていた。しかし、残念ながら芽は出ず、30代になって心機一転、故郷でもない島根県に移り住むことを決心する。

「以前は、映像制作をやるなら映画会社やTV局を通さないと商業的に成立しない、それなら大都市を拠点にしないと、と思っていました。でも、インターネット時代が到来して、どこにいても世界に作品を発信することができるようになった。それならいっそエンターテインメントとは程遠いイメージの地方都市から発信したほうが話題性があるんじゃないかと思ったんです」

とはいえ、彼は島根と縁もゆかりもないわけじゃない。ロケで訪れ、奥様と出会われたのがこの島根なのだ。聞けばこの奥様がまあ、できた人! 結婚して島根で暮らし始めたものの家賃を滞納するような貧乏生活で、妊娠してツワリが重くても奥様が働きに出ていたのだ。もちろんFROGMAN氏も人でなしなわけでなく、当面の生活費を稼ぐために「契約社員で働こうかな」と奥様に言ったところ、彼女自身が「そのために島根に来たわけじゃないでしょ! 物作りしなさい!」と檄を飛ばしたというのだから根性がすわってる! ネット配信の必需品であるパソコンも、奥様の郵便貯金を解約して、近所のスーパーのジャスコ(当時)で約10万円で購入したのだとか。このパソコンがなければ、奥様の貯金がなければ、奥様がいなければ、『鷹の爪』もいまのFROGMAN氏もいない、と言い切ってもいい。(中編「速くて安くて量産できる!が時代のニーズ」に続く…)

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