『産廃Gメンが見た食品廃棄の裏側』(石渡正佳/日経BP社)

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 以前、コンビニ弁当の消費期限が切迫すると、すべてを廃棄することがマスコミで報道され、騒がれたことがある。そこで、大手コンビニチェーンは、廃棄食品を肥料にリサイクルすると、発表した。確かに、消費期限が切れれば、捨てるのもやむを得ず、肥料になるならいいかと、消費者も納得した。その後、そのリサイクルは、どうなったのだろうか。

 答えは、『産廃Gメンが見た食品廃棄の裏側』(日経BP社)が教えてくれた。著者は、千葉県庁で長年、産業廃棄物行政を担当してきた石渡正佳氏だ。同書には、廃棄後のコンビニ弁当の肥料・飼料化を行っていた会社は、2009年に経営破たんしたとある。

◆食品メーカーの廃棄物リサイクルは95%を超えている?

 農林水産省によると、食品リサイクル法に定める食品廃棄物のリサイクル率は、食品製造業については、95・7%そうだ。しかし、これは、おかしいという。

 氏によれば、米、麦などの穀物、果樹、野菜を合わせた日本の農業生産量は、2650万トン。一方、食品廃棄物は、2800万トン。廃棄物の方が多い。これで、95%のリサイクルが可能なのだろうか。

 実際、養豚用配合飼料の生産量は、600万トン、肥料は、化学肥料、有機肥料を合わせて1000万トン。肥料は、動物の糞尿8500万トン、下水道汚泥220万トンからも作られているので、圧倒的に供給過多となってしまう。

 それでも、つじつまがあっているように思えるのは、食品廃棄物の不法投棄が行われているからだ。その分は、表の数字には表れない。石渡氏が産廃Gメンだったころ、ある肥料化施設の社長が真顔でこう言ったそうだ。

うちは日本一いい会社ですよ。だって不法投棄は半分しかしてないから。よそは100%でしょう

 これが食品廃棄の実態だった。

◆まだ食べられるのに、捨てられている食品が年間約642万トン

 賞味期限が近づくと、廃棄されてしまう食料品。まだ、食べられるのに捨てられている食品は年間約642万トンにも及ぶ。廃棄されたはずのCoCo壱番屋の冷凍カツを産廃業者が市場に乗せた気持ちはわからないわけではない。ただし、今回の冷凍カツは、食品リサイクル施設で、解凍されたものが再冷凍されているので、安全性は担保されていない。だから、絶対にあってはならないことだが。

 フランスでは、まだ、食べられる食品を廃棄することを法律で禁止しているそうだ。オランダには、廃棄食品専門スーパーもあるという。石渡氏は、日本でも法律改正と仕組みを構築すれば、江戸時代のように真のフードサイクルの回復は可能だという。その道筋も示されている。

 そうなれば、日本の農業も再生でき、自給率も改善できるはずだ。ただ、それには、国と自治体、企業と私たち消費者が問題意識を共有し、一体となって取り組まなければならないという。私たち消費者は、食品ロスを少なくすることはもちろん、その後の廃棄まで責任を持たなければならない。いつまでも不法投棄が許されるはずがない。

文=今眞人