リオ・オリンピック・マスコットの秘密〜カリオカ(リオっ子)の音楽へのこだわり

いよいよ「リオ・デ・ジャネイロ・オリンピック&パラリンピック」の開幕が迫ってきた。それにともない、これから多く目にすることになるのがマスコットだ。2008年北京ではいかにも中国らしい「幸福をもたらす5人の童子」の「福娃(フーワー)」、2012年ロンドンでは「ひとつ目」が酷評された「ウェンロック」と「マンデヴィル」といったように、良くも悪くも五輪マスコットはその国・都市のイメージを象徴する。

2016リオ・オリンピックのマスコットは、猫と猿と鳥をミックスしたイメージでブラジルの動物の多様性を象徴した、黄色いネコ科の動物という設定の「ヴィニシウス(Vinicius)」。パラリンピックは、南米の豊かな自然を象徴する、頭が葉で覆われた植物(?)「トム(Tom)」。そう、この名前は「想いあふれて」「イパネマの娘」などボサ・ノヴァの名曲を作り出した詩人ヴィニシウス・ジ・モライスと、作曲家アントニオ・カルロス・ジョビン(愛称トム)のふたりからとられたものなのだ。外交官としても精力的に世界を飛び回ったヴィニシウスが動物で、環境保護運動にも尽力したジョビンが植物というのもイメージにぴったり合っているが、じつはこの名前は後付けである。

名前の候補は全部で3つあり、ひとつはセルジオ・メンデス&ブラジル'66のヒット曲「マシュ・ケ・ナダ」のコーラスでも知られている感嘆詞の「オバ(Oba)とエバ(Eba)」。 もうひとつは「チバ・トゥーキ(Tiba Tuque)とエスキンジン(Esquindim)」。tibaは「たくさんの」という意味で、「ビート」の意味のバトゥーキ(batuque)とかけており、esquindimもリズムの名前。つまりどう転んでも音楽がらみの名前なのである。最初からリオのイメージとして発信すべきは「音楽」という強い意志があったのだ。

最終決定は一般からの投票によるもので「ヴィニシウスとトム」は32万票以上を集めて首位になった。リオ・デ・ジャネイロの空港の名前が「アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港」ということをみても、カリオカ(リオっ子)にとってリオ=音楽、とりわけボサ・ノヴァという強いこだわりがあることがうかがえる。

7月26日発売のCD付きマガジン『ジャズ・ヴォーカル・コレクション』(小学館)第7号は、タイムリーなボサ・ノヴァ特集。付属CDのボサ・ノヴァ名曲(もちろんヴィニシウス&トムの作品も多数収録)をBGMに観戦すれば、リオ・オリンピック&パラリンピックがリアルな現場の空気とともに楽しめることうけあいだ。

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文/編集部