1本から紡ぎ出された繊細すぎるワイヤーアートに心を奪われる

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曼荼羅からインスパイアされた緻密なワイヤーアート作品が繊細で心を奪われるほど美しいと話題を呼んでいる。

1本のワイヤーから紡ぎ出される

この作品を制作しているのはワイヤーワーク造形作家の山田 命佳さん(@M_wireArt)。

1本のワイヤーから紡ぎ出されるとは思えないほど重厚な作品の数々は、緻密な作業を倦まず弛まず重ねていくからこそ。

Michika Yamada

Michika Yamada

今回は彼女に、ワイヤーワーク作品を制作し始めたキッカケやの作風の変化、また制作過程で難しい部分などに関して伺った。

次第に表現への欲求が強くなっていった

――ワイヤーアート作品を作り始めたキッカケは?

大学の卒業制作でワイヤーワークを使って、仮面を制作したのがキッカケです。

Michika Yamada

Michika Yamada

ジュエリーの専攻に入る前からワイヤーは手遊び程度に使っていましたが、卒業制作をキッカケに「技法として追いかけてみようかな…」と思い始めました。

それからは、ワイヤーワークを主な技法として使っています。

――どのような経緯で、仮面やボディーアートから現在の作風へと変化していったのでしょうか?

大学時代にジュエリーの専攻だったことが強く影響していて…。

仮面やボディアートを作っていましたが、次第に表現への欲求が強くなりジュエリーに課せられる条件(大きさ・強度など)をクリアできなくなっていきました。

Michika Yamada

Michika Yamada

それに私は、ジュエリーは素材・技法・形・使い心地などを重視する“工芸”として見ていましたから、「それを表現(表現への欲求)をしたいのなら“アート”でもいいんじゃないか…」と思ったのです。

それから2年ほどの間で、作品がジュエリーからアートへと変わっていきました。

とにかく製作時間がかかるのが“もどかしい”

――作品の制作過程でいちばん難しい点や苦労する箇所は?

ワイヤーで作った“曼陀羅”作品の場合には、土台となるパネルの製作や最後の額装が難しいですね。

“曼陀羅”をパネルにつける際に小さな釘で(パネルの)天板へと打ち付けるため、どうしても天板は絵画のものに比べて厚みがあり、パネル自体も重くなります。

Michika Yamada

Michika Yamada

その重たいパネルに耐えられる額装にしなければならないので、市販のものとは勝手が違います。

実際の展示では額装したことはないのですが、作品が売れた際に額装を希望されたときのことを考えなくてはいけません。

それから苦労することは、とにかく制作に時間がかかること(笑)。寝ても覚めてもとにかくワイヤーを曲げまくります。

Michika Yamada

Michika Yamada

大きな作品だと(1つの作品を作成するのに)4から6か月かかります。

(ひとつひとつの作品に)時間がかかってしまうせいで作品の数が中々増えず、展示の機会も少なくなってしまうのが“もどかしい”ですね。

Michika Yamada

Michika Yamada

曼陀羅とは精神世界のビジョン

――いちばん気に入っている作品や特にテーマを持って作成された作品は?

“曼陀羅”のシリーズがいちばん気に入っていますね。

特にいちばん最初に制作した曼陀羅『禁踏区』は大きさもあるし、(制作に)苦労したので思い入れがあります。

禁踏区

曼陀羅とは精神世界のビジョンを描いたもの。『禁踏区』とは立ち入り禁止という意味です。

“誰にでも他人に踏み込んでほしくない精神領域がある”ということ。

Michika Yamada

Michika Yamada

また、すべての作品にはテーマ(コンセプト)を設定してから制作に入ります。

作品の裏側をできるだけ平らにする

――現在でもアクセサリー作品も作成されていますか?

「(アクセサリー作品に関しては)依頼があれば作る」という感じで、ワイヤー以外の技法でも作れるものなら作ります。貴重な収入源ですから。

Michika Yamada

Michika Yamada

現在は新作の曼陀羅制作に追われていて、ヴィレッジヴァンガード・オンラインの通販は、ちょっとストップしているのが現状です。

――アクセサリー作品を作る際、身につけやすいように気をつけていることや工夫は?

生地の薄い服やほつれた糸がワイヤーに引っかかるのが弱点です。

ブローチなど服に密着するアイテムでは裏側(服に触れる面)ができるだけ平らになるように工夫していますね。

ボディアート作品では、もはや「どうにかして身に着けられるようにした」くらいです。

“冷気”や“闇”を孕むと評価されて

――作品を購入することができますか?また、価格帯は?

もちろん購入できます。購入希望者さんを大募集です(笑)。

現在、アクセサリーはオーダーメイドを主体としており、依頼をいただくときは1万5千円からとなっております。

曼陀羅などのアート作品では小さい作品は5万から10万円、大きい作品では20万から40万円くらいの価格ですね。

――今後の活動に関して教えてください。

8月2日から8月7日までアートコンプレックスセンター(四谷・信濃町)にて『大細密展』に参加し、新作の曼陀羅を展示する予定です。

Michika Yamada

Michika Yamada

BSフジ『ブレイク前夜〜次世代の芸術家たち〜』という番組でも少し語りましたが、私の作品は昔から“冷気”や“闇”を孕むと評価されてきました。

現在は、自分の中にあるらしいと言われている“自分でも正体のつかめない闇”を、作品によって暴いていくことがテーマとなっています。

Michika Yamada

Michika Yamada

ルーツは工芸にあると再認識

長い時間をかけて丁寧に緻密な作業を重ね、美しいワイヤーアート作品を紡ぎ出していく山田さん。

アートのフィールドに立ってみたことで、「周囲の作家さんに比べると、私はとても工芸的な考え方やこだわりを持っていて、自分のルーツはやはり工芸にあるんだ」と再認識させられたという。

Michika Yamada

Michika Yamada

彼女の作品が気になる方は、ぜひTwitterをフォローしてみてはいかがだろうか。

また、BSフジ『ブレイク前夜〜次世代の芸術家たち〜』に出演する山田 命佳さん(2016年5月17日)の動画はこちらから▼

※ブレイク前夜で放送された映像では『禁闘区』になっているが、実はテロップミスで『禁踏区』が正しいタイトル。山田さんは「貴重な経験(笑)」とおおらかに受け止めているそう。