健康診断や人間ドックでは、蛋白尿と血清クレアチニン値を調べる。血清クレアチニン値は、腎機能の程度を診る「推計糸球体ろ過量」(eGFR)のもとになる数値で、特に高血圧、糖尿病、脂質異常症、痛風のいずれかがある人は、半年に一度は検査することが賢明な予防法だ。
 日本慢性腎臓病対策協議会のサイトには、年齢・性別・血清クレアチニン値を入力すれば、eGFRがすぐにはじき出されるページがある。eGFRの区分が「G3a」(その下の「G2」=腎臓機能が正常または軽度に低下)以上と判定された場合、慢性腎臓病の可能性が高いが、少なくともここまでで食い止めることが大事だ。

 また、蛋白尿の程度とeGFRは、脳卒中・心筋梗塞のリスクを測る指標にもなる。
 「eGFRが低下していれば動脈硬化が全身に起きる。そのため腎臓だけではなく、心臓や脳につながる血管も動脈硬化が進んでいると考えられます。つまり脳卒中、心筋梗塞になりやすい状況になっているのです」(専門医)

 CKDと循環器疾患は互いに関係し合うため、悪循環の連鎖に陥る。そのため、生活習慣病や循環器疾患を伴う人は、まずは自分の腎臓の状態を把握しておくことが大切だ。
 前述したように、日本には10人に1人、約110万人いると推定されるCKD。ただし専門医以外では、腎機能を示す数値を重視しない医師もいるため、自分から数値を知り、自ら身を守ることを肝に命じる必要がある。

 最後に、慢性腎臓病を招く糖尿病の恐ろしさも知っておこう。それは、すい臓がんのリスク上昇だ。「すい臓がんになった家族がいる」、「糖尿病の発症または血糖値のコントロール不良」、「慢性すい炎」などに思い当たる人は注意する必要がある。
 「その中でも、とくに注意してほしいのが糖尿病なのです。糖尿病は血管の病気と認識している方が多いのですが、すい臓に関連した病気。そのため新たに発症したり、血糖値コントロールが悪ければ、すい臓がんの発症を疑うことです。糖尿病の人はリスクが2〜3倍高いとのデータもありますが、実際はもっと高いのでは、という指摘もあるほどですからね」(専門医)

 すい臓がんリスクの一つとなる慢性すい炎は、そのほとんどがアルコールが原因とされている。
 「すい臓で分泌されるすい液は、多くの消化酵素を含む。これはすい臓の中では消化能力を持ちませんが、何らかの原因で活性化すると自己消化し始める。これが長期間にわたり起きるのが慢性すい炎。炎症を繰り返すうちに組織は壊れ、やがてすい臓は硬くなり、がんの原因となる。進行する過程でインスリンが分泌できなくなり糖尿病を発症することもあり、その結果、すい臓がんを発症した人の約17%が糖尿病というデータが出ているのです」(同)

 腎臓、すい臓、ともに発端は暴飲暴食など生活習慣の悪化だ。悲鳴を上げる前に食い止める努力をしよう。