■連載/文具ソムリエール菅 未里の「誘惑文具」

「なにか書くもの、ない?」と聞かれること、けっこう多いですよね。ペンは、貸し借りをする機会がとても多い文房具です。

 そんなとき、手元にあるのがぱっとしないペンばかりだと、困ってしまいます。クリップが折れているノベルティーのペンとか……。かといって、数十万円のモンブランを差し出されても、借りる側が困惑してしまいます(もっとも、そんなものは持ち歩きませんが)。

 でも、普段から「ちょっといいペン」を一本だけペンケースに忍ばせておくと、格好がつくんですよ。

まあ、見栄なんですけれどね。

◆アクロドライブ(パイロット)

 2000円〜3000円くらいの価格帯には、上品なボールペンがたくさんあります。それでいて、高級万年筆のように相手に気を使わせることもない。人に貸す「見栄ボールペン」としては、ベストではないでしょうか。ちょっと高価ではありますが、長く使えますし、一本持っていると気持ちが豊かになるかもしれません。

 たとえば、パイロットの『アクロドライブ』(3000円+税)。色はダークグレーです。

突然「ペンを貸して」と言われた時のために持っておきたい「見栄ボールペン」

 素敵だと思いませんか? 金属製の気品ある軸。主張しすぎないシンプルなデザインの中でちょっとだけ存在感を放つ、シルバーのリングとクリップ。ロゴの入り方も、さりげないですよね。書き味も、低粘度油性のアクロインキのおかげでとても滑らか。

 こんなペンなら、胸を張って人に貸すことができます。かといって、嫌味にもならない。そのバランスがちょうどいいんです。アクロドライブ以外にも、この価格帯には素敵なボールペンがたくさんありますから、探してみてください。

◆一瞬のつながり

 ペンの貸し借りなんて、一瞬です。何を貸そうが、貸されようが、気に留めない方も多いでしょう。でも、もしかしたら、あなたがペンを貸した人が「これ、いいペンだね」と言ってくれるかもしれない。

突然「ペンを貸して」と言われた時のために持っておきたい「見栄ボールペン」

 文房具は、そういう、一瞬のつながりを演出することもできるんですよ。

菅 未里

文具ソムリエール。毎日の生活がちょっと楽しくなる文房具を紹介するウェブサイトhttp://misatokan.jp運営。大学卒業後、文具好きが高じて雑貨店に就職しステーショナリー担当となる。現在は会社員として働く傍ら文具ソムリエールとしてメディアで文房具の紹介、執筆、撮影協力などの活動を行っている。

編集/佐藤喬