中田さんは国内外で日本の食文化やものづくりを発信している

写真拡大

世界一おいしい日本酒を決めるコンペティション「SAKE COMPETITION 2016」の表彰式が、7月29日(金)に六本木のグランドハイアット東京で開催。ゲストプレゼンターとして、サッカー元日本代表の中田英寿さんが出席した。

【写真を見る】プレゼンターとして、お笑いコンビ・ピースの又吉直樹さんや女優の高梨臨さん、モデルの梨衣名さんらも登場した表彰式

中田さんはこれまで、日本全国250か所以上の酒蔵を訪問し、2015年には、日本酒や焼酎など日本のお酒の魅力を多くの人々に知ってもらうための活動をする会社「JAPAN CRAFT SAKE COMPANY」を設立。現在はイベントやPR活動を通し、日本の食文化やものづくりを国内外で発信している。

表彰式では、日本酒のプレミアム化及び、適正価値の周知・定着を目指して、⾼価格帯で技術、味を競い合うために設立された「Super Premium部門」のプレゼンターとして登場。報道陣の取材では、コンペティションや日本酒に対する考えを以下のように語った。

――今回のコンペティションの意義をどのように考えていますか?

「日本酒は国内外含めて人気が出てきていますが、まだ銘柄指定で飲まれることは少ないと思っています。その理由として、情報として伝え切れていない部分、わかりづらい部分があるのではないかと考えています。そうした中で、コンペティションの意義としては、少しでも多くの方に銘柄を覚えてもらい、選びやすさを伝えていく役割になっているのではないかと思っています」

――コンペティションは今回で5回目。盛りあがりについてはどのように感じられますか?

「それは数字が表していると思います。毎年、参加する蔵も増えていますし、当然のことながら出展されるお酒の数も多くなっています。多くのメディアの方が日本酒の発表のために来ていることで影響力が拡大していき、海外から結果を見に来ている方もいます。そういう意味でも、日本酒がブームというより、文化として成り立ってきているのではないかと感じています」

――今回は新しく「Super Premium部門」が作られました。

「今は非常に安くて美味しい日本酒が多くなっています。一方で、飲むことが憧れになるるような銘柄はまだまだ少ない。ワインでも有名な銘柄がありますが、それに比べるとまだ幅が狭いと思っています。そういった意味で、『この一本を飲むのに憧れている』というものが必要になってくるのではないかという考えから、今回は「Super Premium部門」を作りました。また、多くの蔵が参加したことは、日本酒として大きな意味を持つのではないかと思っています」

――お酒の魅力について聞かせてください。

「僕がやっていることはお酒とか工芸とか、ものというよりも生活。日本の生活に寄り添っているものに楽しみを感じていますし、それを多くの人に伝えていきたい。世界中で和食文化が広まっていますが、意外とそれに日本酒の文化はまだ追いついていない部分がある。既に多くの方が興味を持っているけれど、追いつけていない部分を少しサポートするとか、それが非常に面白い。また、蔵を回ったことで多くの友達も作れて、みんなが喜ぶ姿を見るのが楽しいということもあって、今はそれを一生懸命やっている感じですね」

――国内外でイベントをやられていますが、まだ足りない部分を感じますか?

「日本酒全体の消費量、飲む人の数は増えていると思います。特に若い世代、これまであまり日本酒のイメージがなかったような世代も飲むようになってきている。ただ、日本酒は蔵の数が約1300あり、商品点数で言えば何千点もある中で、10銘柄を言える人はどれだけいるか。ワインは銘柄指定で飲むことがあっても、日本酒にはまだそれが少ない。そこをいかにより多くの方に伝えていけるか、自分の好きな1本を見つけてもらえるか。自分の中でいろいろな施策をしていきたいと考えていますし、コンペティションもその一つだと思います」

――コンペティションで作り手の顔が出てくることで、飲む側からすれば作り手を想像して飲むこともできます。

「今でも蔵元が出てくる日本酒のイベントはたくさんありますが、数が多すぎたり、飲みすぎてしまうことで、逆にわからなくなることもあります。はっきりと、3番目、10番目と順位がつくのは意味があるのではないかと考えています。また、当然、飲む側と作り手とをつなげるという意味もあります。若い世代もどんどん増えてきているので、より飲み手の共感を生むということもあると思います」

――日本酒は銘柄や温度によって味が変わります。おすすめの飲み方はありますか?

「銘柄によって違うと言われている通り、飲み方の違いはたくさんあります。それを自分でいろいろと試しながら見つけていくのが楽しみでもある。『これが正解』というのがなく、みんなが自己流を作れるというのが楽しみだと思います」

――日本酒に合う海外の料理があれば教えてください。

「『日本食には日本酒』というイメージがあると思いますが、日本でも20年くらい前は和食屋さんにワインが入っておらず、あれば『ちょっと気取った和食屋さん』みたいな感じだったかなと。でも、20年後の現在は、当たり前のようにワインが入っている。日本酒も今はその段階に来ているのではないかと思います。日本食には合うけれど、イタリアン、フレンチ、その他の食事には合わないと思われている方も多いですが、実際はそんなことはなくて、ペアリングのやり方は必ずあります。僕自身もそうですが、まだまだ思い込んでいる部分はあると思いますし、逆にそれが今後の楽しみになるのではないかと思います」【東京ウォーカー】