「モラハラ夫」に悩まされている女性は、少なくないという。でも、不思議なのは、そんな奥さんが口にする「子どもにとっては良いパパなんです」という言葉だ。

モラハラ夫と、その妻との関係が、子どもに与える影響について、行政書士東京よつ葉法務オフィス心理カウンセリングルーム代表の佐藤千恵さんは、次のように指摘する。

「モラハラ被害に遭っているお母さんたちは、よく『子どもにとっては良い父親だから、父親としては否定したくない』と言います。しかし、言葉であっても暴力は否定しないといけないのです。

コツは、父親を否定せず暴力を否定することです。」(佐藤さん 以下同)

●「子どもにとってよいパパ…」は、自分への言い訳?

子どもは本来、パパもママも大好きなもの。そんな「自分が大好きな人が、自分の大好きな人を傷つけている」様子を目の当たりにするのは、子どもにとって非常に傷つくことであり、親が思うよりはるかに子どもは様々なことがわかっているという。

「『子どもにとっては良いパパだから、私がガマンすれば』という言葉は『子どものためにガマン』じゃなく『子どものせいで』になっていないか、ときどき振り返る必要があると思います」

「子どものために離婚できない」は、突き詰めていくと、結局、経済的な理由から、自分ひとりで育てていけないんじゃないかという不安が見えてくることも多いそう。

ところで、「モラハラ家庭に育った子は、モラハラになるのではないか」と不安視する声もあるけど…。

「モラハラ家庭に育った20〜30代の方のカウンセリングでよく聞くのは、父親が母親を傷つけている光景が、大人になっても目に焼き付いたまま離れないということです。また、『異性に対する信頼が得られない』『社会に対して不信感を持っている』『プロセスを認めてもらえないから、消極的になってチャレンジできない』『失敗を隠そうとする』など、様々な影響があります」

実は、夫婦関係のモラハラ以前に、自信が持てない、人間関係を築いていけないなど、人格形成において大きな悪影響が出る可能性があるそうだ。

「確かに離婚となると、経済的自立は必要になります。でも、子どもへの悪影響を考えるなら、まずはどういう支援が受けられるか正しい情報を調べましょう」

本当に「子どもにとって良いパパ」なら、子どもが大切にしている母親を傷つけるはずがないこと。そして、家族に対して責任を果たし、家族全員の安全や幸せを守るものだということを心に留めておきたいものだ。

(田幸和歌子+ノオト)