ようこそ、宇宙の入り口へ!六本木・森美術館で開催されている「宇宙と芸術展」に行ってきたのキャッチ画像

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六本木ヒルズの森美術館で「宇宙と芸術展」が2016年7月30日(土)から2017年1月9日(月・祝)まで開催されます。宇宙を体感できる注目のインスタレーション作品発表のほか、日本初公開の火星の仮想住居模型展示など様々な出展物約200点が一挙公開されています。大注目の展示会を、早速アソビューNEWS編集部員が取材してきました。

六本木に「宇宙の入り口」が出現!

六本木ヒルズにある森美術館で「宇宙と芸術展:かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ」が開催されます。隕石や化石から、レオナルド・ダ・ヴィンチやガリレオ・ガリレイの天文学手稿、貴重な天文・科学の初版本、曼荼羅や日本最古のSF小説ともいえる「竹取物語」の絵巻、そして現代アーティストによるインスタレーションや宇宙開発の最前線に至るまで、古今東西ジャンルを超えた様々な出展物約200点が一挙公開されます。
展示は4つのセクションにわかれており、過去から未来に向かっての新たな宇宙観や人間観が提示される構成となっています。

●SECTION 1 人は宇宙をどう見てきたか?

SECTION1では人間が宇宙をどのように見てきたかという歴史的な宇宙観の一端を、東西の神話・宗教美術作品や貴重な天文学資料等を通して知ることができます。

●北山義夫「この世界の全死者に捧ぐ」

入り口をはいると大きな絵が出迎えてくれます。和紙の上にびっしりと極細のインクペンで書き込んだ「宇宙画」シリーズのひとつです。画面の中で渦巻く大小の銀河系や星々は、輝く恒星、死にゆく星、ブラックホールまで様々です。この宇宙では、人々の魂が消えたり生まれたり参集したりするようにも見え、仏教やヒンドゥー教に見られる輪廻転生も想起されます。これから始まる第一章への期待がふくらみます。

●両界曼荼羅と宇宙

両界曼荼羅とは、7世紀頃のインドで個別に成立した「金剛頂経」と「大日経」にもとづくふたつの曼荼羅を指します。多くの諸尊を描く双方の曼荼羅では仏たちは個性を生かしつつ共存し、全体で統一のとれた密教の理念を表し、密教の説く理想世界が示されます。昔の人々の考えていた宇宙の姿が曼荼羅の中に刻まれています。両界曼荼羅の他にも、チベットの立体曼荼羅や星曼荼羅などさまざまな曼荼羅が展示されています。

●向山喜章「Sanmon GCC-yupotanjyu+nupotanje」


白いキャンバスの中に白い大きな円が描かれた作品と、多数の小さな円が円形を構成するように描かれた作品とが1対になって並んでいます。ほんのり明るく光る白い部分はワックスなのだそう。分厚いワックス層の中に黄色みを帯びた円があります。日本密教の瞑想法における月のイメージを単純化し、曼荼羅になぞらえて表現しています。見つめていると、なんだか不思議な気分になってきました。現代のアートに日本古来の思想が重なった作品です。

●北脇昇「竜安寺石庭ベクトル構造」

京都・竜安寺の石庭の配置に、数学的根拠が隠されていることを解き明かそうとした作品です。どの位置から眺めても必ず1つの石が見えないようになっており、世界を表していることで有名な石庭の秘密に迫っています。

●古代の星への関心

天球儀と地球儀や、初期の反射望遠鏡なども展示されています。

昔から、星を観察するために、人はいろいろな工夫を重ねていたことがわかります。

中国・蘇州にあった最古の天文図が!こんな昔から星図があったのですね…

広い贅沢な空間に作品がならんでいるので、ゆったり堪能することができます。

●SECTION 2 宇宙という時空間

星さえも吸い込むブラックホールや、今眺めている星の光が何億光年も彼方から放たれている事実、11次元あるといわれる宇宙空間の不思議、さらに私たちの時空認識を刷新した天体観測技術の驚くべき進歩等が、現代美術の作品等によって表現されます。

●ビョーン・ダーレム「ブラックホール(M-領域)」

背後はガラス張りで、六本木の青空が広がります。木材やネオン管などの素材でつくられた7つの円形構造体が宙吊りにされた、大型のインスタレーションです。巨大なブラックホールを中心にまわっている銀河系と、多次元宇宙のあり方などが再解釈されていますダーレムの作品は一般的な素材でつくられていても、個々の物質性は消失し、深い精神性や宇宙的現象を起想させ、宇宙と文明の関係を問いかけるものとなっています。

●アンドレアス・グルスキー「カミオカンデ」

ニュートリノの性質の全貌を解明することを目的のひとつとした「スーパーカミオカンデ」を捉えた写真作品です。ニュートリノの性質を解明することで太陽の内部活動や星の爆発過程の詳細に迫り、宇宙初期の物質の成り立ちなど宇宙の歴史を探ることができるそうです。黄金に輝く最先端の科学技術の結晶は、まるで古代神話に登場する神殿を思わせます。まさに科学と芸術の融合です。

●コンラッド・ショウクロス「タイムピース」

白い壁に囲まれた広い空間に、うごく銀色の大きなオブジェが登場。節々で曲がりながら複雑な動きを見せるのは、「時間」をテーマにした作品です。日時計と太陽の関係の中で体験される天文学的時間を表現しています。

規則的だけども不思議な動きをする物体は神秘的な空気を醸し出し、思わず見入ってしまいます。

●ヴォルフガング・ティルマンス

今回の展示会のために作成された新作インスタレーションです。大判の作品は、チリのパラナル天文台にある超大型望遠鏡が捉えた宇宙がコンピューター画面に映しだされた様子を撮影したものです。人間の視覚の延長線にありつつ、人間の視覚を超えた視点で撮影された世界を表しています。「金星の日面通過」と題された2作品は、太陽と地球の間に金星が入る243年に一度という現象を捉えたものです。人間の一生の長さについても考えさせられます。

●ジア・アイリ「星屑からの隠遁者」

反対側の壁にはとても大きな絵が!雷が鳴り響く荒野に赤い螺旋状の構造物が横たわり、宙には球体が浮いています。

作家によると雷は、道教における「気」やテレパシーといった人間の精神から起こるエネルギーを表現したものだそう。文明の発展という大きな物語のもとで孤独を抱える人間像と、ある種の終末論的世界観をも提示されているかのようです。

●ヴィヤ・セルミンス「銀河」「大海」「砂漠」「空」

白と黒の美しい濃淡によって浮かび上がる作品が4つ並んでいます。これは作者が自身のスタジオという限られた空間でミニマルな描画を行うことで、私たちの住む地球を含めた宇宙空間を捉えたものです。じっと見ていると、静かな絵の中にすいこまれそう…「銀河」「大海」「砂漠」「空」静寂を思わせる瞑想的な作品は小さいながらも、私たちに宇宙の無限を思い出させるようです。

●SECTION 3 新しい生命観-宇宙人はいるのか?

隕石・化石等の人間史を超えた地球史を起点として、江戸時代のUFO伝説ともいわれる「うつろ舟の蛮女」から、人間が想像してきた宇宙人像、更には最先端の遺伝子工学やA.I.技術等について言及する作品が紹介されます。

●隕石

南極大陸と北極大陸に観測基地を擁する国立極地研究所の所蔵する隕石が展示されています。国立極地研究所の「南極隕石ラボラトリー」では南極観測隊が採集した隕石を保管しており、その総数は17,000個で世界最大級の地球外物質コレクションです。

●チャールズ・ロバート・ダーウィン「種の起源」

進化論で有名なダーウィンの「種の起源」です。実際の書物が見られるなんて、なんだか感動します。ここでは生物は常に環境に合わせて変化する、種の多様性を説いています。

●パトリシア・ピッチニーニ「ザ・ルーキー」

なんとも不思議な生き物が部屋の一角に。くりっとした大きな目は赤ちゃんのような顔立ちで、よく見ると産毛まで生えています。手足は芋虫のような体から生え、背中には突起物をもつ異様な風貌です。これは、過去にいたかもしれない生物、あるいは未来の来るべき可能性としての生物です。人間が宇宙で生活するようになったとき、身体を遺伝子操作で改良する…そんな時代がやがてくるのでしょうか。

●空山基「セクシーロボット」

女性の身体を極限まで理想化したスーパーリアルなロボットのフィギュア「セクシーロボット」。360度から見ることができるよう、ゆっくり回転しています。

銀色でできた無機質なロボットのはずなのに、ボディーの曲線がなんともセクシーです。このセクシーロボットは、一般的なロボットのイメージ形成に大きな影響を与えたことでも知られています。

●SECTION 4 宇宙旅行と人間の未来

宇宙旅行時代到来間近の今、これからの人間と宇宙の関係や、人間の生き方はどう変わっていくのかという問題について、アーティストのビジョンが紹介されます。また、米ソの宇宙開発の歴史やJAXAの「ISS/きぼう文化・人文社会科学利用パイロットミッション」参加作品、《マーズ・アイス・ハウス》、HAKUTO等、宇宙開発の最前線が展示されます。

●ソ連宇宙飛行士のポートレート

はじめて宇宙に行った男性飛行士ユーリ・ガガーリンと女性飛行士ワレンチナ・テレシコワの歴史的なポートレートは、宇宙時代の画期的な出来事を表しています。SECTION1からSECTION3まで宇宙の関わりを追い、ついに宇宙へ旅つ…なんだか感慨深いです。ユーリ・ガガーリンはバイコヌール宇宙基地からボストーク宇宙船に乗船して世界の名士となりました。この日は宇宙史で最も重要な瞬間のひとつとなり、ガガーリンの名前は未だに宇宙開発競争やロシアの宇宙探査の同意語となっています。

●トム・サックス「ザ・クローラー」

展示室の中心には、真っ白なロケットの模型が!1986年、離陸してから73秒後に空中分解したスペースシャトル「チャレンジャー号」の大規模なモデルです。細部にわたって、細かく作られていて、じっくり見てしまいます。

彼にとって「月へ行くことは20世紀における最高のアート・プロジェクト」でした。この作品を通して宇宙探検家の夢を実現し、想像上の銀河を航海したのでしょうか。

●ネリ・オックスマン「彷徨う人」

色鮮やかな不思議な形…これはいったいなんでしょうか。なんと、未来の宇宙旅行を想定してつくられた洋服だそう。「彷徨う人」と名付けられた4点のシリーズは、宇宙船が向かう先の星や月の環境等に合わせて条件付けが行われ、それぞれ若干異なる機能を持ちます。

衣服表面から酸素をうみだし、保持する機能も備えているなんてすごい…今後のバイオ技術の発展が、人類が宇宙旅行を実現するための大きな鍵となることを示しています。

●チームラボ「追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして衝突して咲いていく」

4×13×9メートルの空間が宇宙の映像で覆われ、その中を宇宙船に見立てたカラスが疾走し、観客は宇宙遊泳のような浮遊感を体験することができるインタラクティブなインスタレーションです。太陽の化身でもある日本神話のヤタガラスが、神話的な世界観を背負いつつ宇宙空間を疾走します。

カラスたちは観客すれすれに飛び、ときどきぶつかっては生命を咲かせることで、地球上の生命の営みの根源である太陽のエネルギーを具現化しています。

宇宙空間で鮮やかな光が花開き、ダイナミックな音楽とともにストーリーがすすんでいきます。4分20秒の上映時間中、息をつく暇もないほどの躍動感あふれる美しい世界でした。チームラボが好きな人にはもちろん、いままで知らなかった人にもぜひおすすめしたい作品です。余韻に浸りながら、会場を後にします。

ミュージアムショップは見逃せない

展示会というち見逃せないのが、ショップコーナーです。展示会限定アイテムもたくさんあります。入り口に飾られているのは「セクシーロボット」の会場限定Tシャツです。インパクトバツグンのスタイリッシュなデザインです。

広々としたショップには魅力的なグッズがたくさん!

トム・サックスのエコバッグや手ぬぐいです。ロケットが可愛らしい図解で描かれています。

国際宇宙ステーションで10日間過ごした藻を種株とした原料を使用した「宇宙藻キャンディー」です。いったいどんなお味なのでしょうか。宇宙のロマンを感じます。

宇宙服につけるマークを倣ったワッペンも可愛い!

記念に買って帰りたくなるような、素敵なポストカードが一面に並んでいます。

宇宙は科学が発展した現代においても、最大の謎をはらんでいます。人類が続けてきた宇宙の探求を集結した壮大な展示会は、今年の話題になること間違いありません。六本木の宇宙の入り口に、出かけてみてはいかがでしょうか。

 

イベント詳細
名称:宇宙と芸術展:かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53F
開催日程:2016年7月30日(土)〜2017年1月9日(月・祝)
開催時間:10:00〜22:00 ※火10:00〜17:00
定休日:会期中無休
料金:料金:一般1,600円、学生(高校・大学生)1,100円、子供(4歳〜中学生)600円
展覧会詳細URL:http://mori.art.museum/contents/universe_art/index.html
森美術館公式サイト:www.mori.art.museum