歌川国貞(三代豊国)「東駅いろは日記」(太田記念美術館蔵)『独道中五十三駅』の一場面を題材に描いた作品。化け猫が登場するのも怖い浮世絵の定番。なぜか手前に手ぬぐいを被って踊る猫も必ず描かれる

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「怖いもの見たさ」の気持ちは江戸時代の人も旺盛だった。そんな好奇心を満たしてきた「怖い浮世絵」で、猛暑が予想されるこの夏、少しはひんやりできるかも。

 夏の風物詩といえば怪談。江戸時代に成立した怪談は、少しずつ注目され、四代目鶴屋南北『東海道四谷怪談』が大人気を博したことを機に浮世絵にも異形の生物が描かれるようになった。なかでも人気絵師の歌川国芳、歌川国貞はこぞって怖い浮世絵を描き、刷られていった。彼らが描く絵は飛ぶように売れ、次々と注文が舞い込み、より怖くて目を引く絵が好奇心旺盛な江戸町人に受け入れられた。

 そんな怪談に出てくるような恐怖のイメージを描いた浮世絵展「怖い浮世絵」が太田記念美術館(東京都渋谷区)で8月2日から28日まで開催される。

「浮世絵師は今の漫画家のような存在です。一つの作品を、絵師、版元たちが知恵を出し、より面白いもの、怖いものへと仕上げました」と同館の渡邉晃さん。

 この夏、怖い浮世絵で涼を感じるというのも一興だ。

週刊朝日  2016年8月5日号