世界中で、ポケモンGOが社会現象になっています。

しかし各メディアで報道されているとおり、立ち入りが禁止されている区域に入る人も出てくるなど、トラブルがあとをたちません。アメリカでは、ポケモンを探していてうっかり国境を渡ってしまった人もいるとか。

日本でも、歩行中や自転車などの運転中にポケモンGOに夢中になる人が続出しており、早くも全国で物損事故や人身事故が相次いでいます。

警察庁の発表によると、7月22日に配信が開始されて以降、同月25日午前11時半までの間に人身事故がすでに4件、物損事故が32件。

また、ポケモンGOをしながらの自動車運転などを取り締まった件数が71件にも上っているとのことです。

今後、ポケモンGOで損害賠償沙汰になるケースが出てくることは十分予想できます。そのような惨事を防ぐためには、「歩きスマホ」「ながらスマホ」をまず防止しなければなりません。

■賠償金9520万円になった自転車事故も!

2008年9月、神戸市内で自転車に乗っていた当時小学5年生の男子が、歩行中の67歳の女性と衝突したという事件が発生しました。女性は意識不明の重体となり、寝たきり生活を強いられることになったのです。

2013年7月、神戸地裁は男子児童の母親に対し、監督不行き届きを理由に9,520万円の損害賠償を命じる判決を下しました。加害者は個人賠償責任保険に加入しておらず、その後加害者の家庭は自己破産に追い込まれたということです。

損害賠償の金額が9,250万円と高額になったのは、被害者が寝たきりで介護が必要な状態となり、治療費や休業補償、慰謝料だけでなく「将来の介護費用」も発生したため。

吉野慶弁護士の『時事法律コラム』によると、2013年時点での判例でその費用は「家族介護で1日当たり8,000円程度、職業介護人の場合には1日あたり1万5,000円〜2万円程度」に平均余命すべての期間を掛けた金額となっています。

こう考えると、死亡事故よりも、障害が残って要介護の状態になったほうが賠償金額は大きくなる理由がよくわかります。

■この夏は自転車事故が多発する可能性が高い

警察庁の調べによると、携帯電話やスマートフォンを使用しながら自転車を運転する「ながら運転」による人身事故は、過去5年で800件を超えました。

このうち4件は死亡事故であり、遮断機の降りている踏切に侵入して電車にはねられるなど、いずれも自転車が被害者になったケースです。

しかし、この夏はポケモンGOの大流行により、自転車が加害者となる事故が格段に増えることが予想されます。

自転車で走行しながらポケモンを探していて歩行者とぶつかったり、見つけたポケモンを捕獲するために急ブレーキを踏んで後続の自転車に追突されたりすることもあるかもしれません。

ポケモンに熱中する自転車同士で衝突することも十分起こりえるでしょう。

「ながら運転」の増加に伴い、数々の保険会社が自転車事故を起こしたときに補償をしてくれる自転車保険を扱いはじめました。この自転車保険は、年間数千円〜1万円程度の保険料で加入できます。

この程度の金額で万一のときに1億円近い損害賠償を回避できるのなら、安いものではないでしょうか?

■道路交通法改正でながら運転が危険行為に!

昨年2015年6月に施行された改正道路交通法で、携帯電話を使用中に事故を起こすことが「危険行為」と定められたのはご存知でしょうか?

「ながら運転」は、画面に集中してしまい視野が狭くなる危険な行為です。

危険運転はながら運転だけではありませんが、14歳以上の人が3年で2回以上危険運転により交通違反切符を切られた場合、3時間の講習を受けなくてはなりません。

もし、受講の命令を無視すれば5万円以下の罰金が課せられます。

まだポケモンGOが配信されて日が浅く、新しいゲームについ夢中になってしまう気持ちはよくわかります。でもゲームをするのなら、歩行中や運転中にするのではなく、安全な場所で立ち止まるか、座ってプレイしてみては?

悲しい事故を少しでも減らすために、大人も子どももルールやマナーを守りながら楽しむようにしたいものですね。

(文/あさきみえ)