5人に1人が? 女性なら知っておきべき「膀胱炎(ぼうこうえん)」

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執筆:Mocosuku編集部
監修:岡本 良平(医師)


泌尿器科を受診する女性の病気で、もっとも多い症状は「膀胱炎」だと言われています。
一説には「女性の5人に1人がかかる」とも言われるこの病気。なかなか恥ずかしくて言いだせないことですが、実は同じような症状に悩まされている女性は多いのです。


女性が膀胱炎になる玄原因にはなにがあるのか、またそれを予防するためにはどのようなことに気を付ければいいのか、詳しく見ていこうと思います。

そもそも膀胱炎とはどんな病気

「膀胱」は、丸い袋のような形状をした尿をためる器官のことを言います。通常は骨盤に守られ、尿がたまることで袋がのびたり縮んだりするのが特徴です。

つまり膀胱は排尿するのに欠かせない部位。その膀胱が何らかの原因により炎症を起こした状態を「膀胱炎」と言います。

女性のほうが膀胱炎になりやすい?

特に20〜40代の女性は、細菌が侵入する場合が多く、膀胱炎のリスクが高まります。一般に、膀胱炎は男性よりも女性がなりやすいと言われています。

それには次のような理由があるからです。

尿道が短いから


女性の尿道は平均して4cmと短いため、細菌が逆行して膀胱に侵入しやすいと言われています。また、尿道口から膣や肛門までの距離が近いため、排泄後の拭き方が悪いと菌がつきやすくなってしまうのです。

トイレを我慢しがち


排尿は、膀胱に侵入した細菌を洗い流す役割があります。そのためトイレを我慢すると細菌が繁殖しやすく、膀胱炎になりやすい状態にしてしまいます。

学校や職場、外出先でトイレを長時間我慢することがある女性は、膀胱炎にかかるリスクが高まるのです。

また、膀胱の粘膜には感染を防ぐための作用がありますが、トイレを我慢することでこの膀胱の粘膜が広がったままの状態になり、血流が悪くなります。そうすると、膀胱の感染を防ぐ作用が低下してしまうのです。

妊娠により抵抗力が落ちるから


妊娠中は特に膀胱炎になりやすいと言われています。
これは、妊娠によって抵抗力が落ちるため、細菌に感染しやすくなるからです。妊娠していない状態であれば、細菌などの「異物」が侵入すると、それを追い出そうとするシステムが働きますが、妊娠中の女性は、子宮で自分の身体以外の胎児(異物)を育てているため、異物を追い出そうとする作用が弱められているからだと考えられます。

また、強いストレスや疲労によって膀胱炎を引き起こす恐れもあります。

こんな症状は要注意!女性の膀胱炎

それでは、膀胱炎にはどのような初期症状や自覚症状が現れるのでしょうか?
主に次のものが挙げられます。

・頻繁にトイレに行きたくなる
・排尿時の終わりにひりひりとした痛みを感じる
・尿の色が白っぽく濁っている
・残尿感がある
・血尿が出ることがある

いつもと違った尿意や痛み、尿の様子を感じたら、早めに泌尿器科を受診しましょう。

膀胱炎を放置しておくとどうなるの?

ごく軽度の膀胱炎であれば、たくさん水分をとって、何度も排尿することで細菌が流れていき、治る場合があります。しかし血尿や排尿痛、発熱をともなう場合は、膀胱炎が悪化する恐れがあります。必ず内科、婦人科、泌尿器科のいずれかを受診してください。

ひどい膀胱炎をそのまま放置しておくと、膀胱からさらに腎臓へと細菌が入り込み「腎盂腎炎(じんうじんえん)」へと進行してしまう恐れがあります。
さらにこの腎盂腎炎が進行すると、腎不全に陥り、命を落とす可能性もあります。

先ほどの症状に覚えのある女性は、決してそのまま放置はせず、一度専門医に診てもらいましょう。