「orange」の茅野貴子役、「魔装学園H×H」の飛弾怜悧役などを演じる衣川里佳さん

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編集部が注目する声優に、声優を目指したきっかけや、初めてのお仕事、そしてプライベートなことまで、気になるあれこれについてインタビューを行い、さらに撮り下ろしのグラビアも交えて紹介する人気企画「声優図鑑」。

第133回となる今回は、「orange」の茅野貴子役、「魔装学園H×H」の飛弾怜悧役などを演じる衣川里佳さんです。

――小さい頃は、どんな子でしたか? 撮影では、子どもの頃から写真が好きじゃなかったと話していました。

衣川:女の子っぽいことは苦手で、外でずっと遊んでいる子どもでしたね。お人形遊びというより、鬼ごっことか常に走り回っていることが多かったです。アクティブでしたね。姉2人は走り回ったりしないんですけど、私だけそうなってしまいました(笑)。

――スポーツ系の部活で活躍しそうですね。

衣川:中学ではテニス部に入っていました。最初は部活より外で遊びたかったから帰宅部だったんですけど、体験入部した時にテニスがおもしろかったので。もともと球技がすごく苦手なんですけど、野球とかテニスとか、ラケットを持つスポーツならできるって気づいたんです。でも、高校はバイトばっかりしてたので帰宅部でした。

――声優という仕事を意識したのはいつ頃?

衣川:中学2年生くらいから少しずつ意識するようになりました。それまで、深夜アニメとかをまったく観たことがなくて、そういう職業があることも知らなかったんですけど、私の友だちにアニメ好きな子が多くて。みんなですごく楽しそうにしゃべるから、そんなにおもしろいのかって興味を持って。

――女子中学生の間では、どんな作品が話題になっていたんですか?

衣川:「テニスの王子様」です。私、誰ひとりキャラクターを知らなかったのに、友だちがそのゲームを貸してくれたんですよ。そこで、森久保祥太郎さんが演じている切原赤也の声を聴いて、声だけでカッコいいって興奮したのは初めてで。どうしてこんな気持ちになるか謎だったし、声だけで相手に感情を伝えるなんて、深く考えるほどすごい職業だなと思いました。

――切原赤也は攻略できましたか?

衣川:攻略できたのかな…。でも、最初に攻略していたキャラからすぐに乗り換えました(笑)。それからは、アニメのエンディングでキャスト名を意識して観るようになりましたね。他にもイイ声を探したくて、アニメの絵を観ないで声だけを聴く…っていう遊びをしたりとか。アニメの声マネをしていた時、周りから声いいねって言ってもらえて、ホントに? いけるかな? って少し希望を持って。高校に行かずに声優になりたいって親に伝えたこともありました。

――その後、東京アニメーター学院に?

衣川:結局、専門学校に進んだのは高校を卒業してからでした。「すぐに飽きるんだから」って親から言われていたので…。でも、高校に通っている間も気持ちは変わりませんでした。

――声優になって初めての仕事は?

衣川:ゲームの収録でしたね。恋愛シミュレーションゲームのモブで、少年と女の子を演じました。

――いきなり少年役でしたか。

衣川:専門学校の時も少年役を演じたことはなかったんですけど、声質的にできるだろうと言われて。それを機に、少年役を練習するようになりましたので、いい経験だったと思います。

――こうして話している時も、どちらかというとロートーンですよね。

衣川:何人か一緒にいると、テンションが上がって2トーンくらい上がることもありますけど、基本はこの声でしゃべってます(笑)。

――2016年はすでにメインキャストのアニメが3本。その最初の1本となった「ハンドレッド」のリディ・スタインバーグ役は、どんな気持ちで演じましたか?

衣川:アニメで初めてオーディションに受かった役だったので、キャラクターを作りこむというよりは、ディレクションをしていただいた中でキャラクターと成長したいと思っていたので、最初はフラットな状態で収録に向かいました。演じながら気づいたのは、最初の強そうなイメージだけじゃなくて、女性的なところもあること。途中で気づいたことは、どんどん盛り込んでいこうと意識しました。

――どの女性キャラクターもかわいい作品でしたけど、お気に入りの女の子キャラはいましたか?

衣川:もし自分が演じていなかったとしても、リディが好きです! 以前から、ヒロインより、たまに出てくるキャラクターのほうが好きなんですよね。

――たまに出てくるキャラクターというと?

衣川:かっこいいお姉さん系とか、凛々しい感じのキャラとか。あまりスポットを当てられないからか、バックボーンが語られることなく、ちょっと謎めいていて。

――まっすぐなヒロインとは違って、闇を抱えていたりして。

衣川:そうですね。自分のことを多くは語らないような。ひねくれ者が好きなのかもしれない(笑)。子供の頃から、好きになるのは悪役ばっかりでしたね。

――そして、夏アニメ「魔装学園H×H」では飛弾怜悧(ひだれいり)役を。

衣川:主人公のお姉ちゃん役です。学校長でもあり総司令官でもあり…とてんこ盛りで、他人に厳しいけど自分にはもっと厳しい、なんでもできちゃう立派なお姉さんです。

――ちょっとリディと似たタイプなんでしょうか。

衣川:そうですね。ただ、リディはまだ学生で感情的な部分もありましたけど、怜悧さんは感情を押し殺してその場の正しい判断ができるので、お姉さんレベルは上がった感じですね(笑)。

――衣川さん自身も、自分に厳しいところはありますか?

衣川:私は基本的に自分に甘いからな…。こういう人になれたらいいんですけど、みんなに意見とか言えないので、ほど遠いです(笑)。あ、演技レッスンをしたり真剣な話をしている時は、一度始めたら雑談とかは入れずに、終わるまで集中するほうですけど。

――これからの展開で楽しみにしてほしいことは?

衣川:ホームページで、夜12時から深夜3時まではキャラクターの肌が露わになってたりとか、番組でもエッチなシーンが多いんですよ。スタッフが今までの深夜枠を超えたいっていうチャレンジをしているくらい。男性のみなさんはぜひご期待ください(笑)。

――そして、「orange」では主人公のクラスメイト・茅野貴子役を演じています。キュンキュンするラブストーリーですね。

衣川:いや〜、男性陣かっこいいなって思っちゃいますよね。そんなこと言っちゃうの? みたいな。若いっていいなって思っちゃいます(笑)。私の学生時代にはなかった青春ですね。

――原作は、国外でも翻訳出版されている人気作品です。

衣川:こんなに大きな作品に携われるとは…。3月のAnimeJapanでキャスト発表イベントがあったんですけど、ド新人なのに、こんな豪華なキャストと共演できるなんて…。最初は緊張しましたけど、高森(奈津美)さんが優しく話しかけてくださったりして、すぐに打ち解けました。ホントに嬉しいのひとことですね。

――オーディションで選ばれた理由を聞いたことは?

衣川:聞いたことはないんですけど、等身大で演じるように言われました。年齢もそこまで変わらないので。

――セリフ回しも独特ですね。

衣川:しっかり対話しなくてもいいよって言われます。セリフが曖昧になってもいいから、実際の会話のようにしゃべってほしいと。たとえば、スマホを見ながら返事をするような脱力した感じとか。会話しているだけみたいな。だから、本当にいつものまんま演じてます。こんな現場は初めてですね。本当にこういう高校生いるな〜って感じで、収録が楽しいです(笑)。

――これからの展開を楽しみにしています。ところで、休日はどんな風に過ごしていますか?

衣川:昔はすぐに出かけるほうでしたけど、最近は家で過ごすことが多いですね。ゲームをしたり、お友達を家に呼んだり。お仕事で気づいたことを報告しあったりとか、ずっとしゃべってますね(笑)。

――仲のいい声優は?

衣川:私が一方的に仲がいいと思っているのは、赤○千夏さん(※○は立ち崎)。大好きな先輩で、現場などでよくいじってくださるので、お話する機会も多いです。

――ゲームは最近どんなものを?

衣川:昔はファイナルファンタジーとかRPG系が好きだったんですけど、高校生くらいに友だちと「バイオハザード」をプレイしてから洋ゲーにはまって。今は、「ディアブロ」とか「ブラッドボーン」とか、男の子が好きそうなゲームを密かにプレイしてます(笑)。

――どれも画面が暗い感じの大人向けですね。

衣川:大人向けのところが好きです。洋ゲーは頭を使いながらできるものが多いし、カスタマイズもできるので、自分次第で楽しみ方を変えられるところがいいなと思います。

――海外ドラマや洋画も観るほうですか?

衣川:声優の仕事に就いてからは、勉強を兼ねて観るようになりましたね。海外ドラマだと「ウォーキング・デッド」とか「LOST」とか。できるだけ吹き替えで観ています。

――好きな食べ物は?

衣川:チョコです! というか、お菓子全般です。どちらかというと、ご飯よりお菓子が主食なくらいで…。子供の頃からそうなんですよね。親から取り上げられるくらい。今でもお金が入ると、洋服とか必要なものをある程度買った後、ほとんどお菓子に使ってしまって。コンビニやスーパーに行くと、意識しなくても体がお菓子コーナーに向かいます(笑)。

――最近食べた中でヒットだったお菓子は?

衣川:しょっぱいのも甘いのも好きですけど、特に好きなのは梅系のお菓子で。最近、かむかむシリーズの梅味を見つけて、なにそれ!って買ってみたらすごく美味しかったです。でもあんまり売ってないので、見つけたら買うようにしてます。駄菓子屋さんとかも好きで行ったりしますね。

――これから、どんな声優になっていきたいですか?

衣川:今はお姉さん系のキャラを演じさせていただくことが多いので、それ以外の役柄も演じていけるように、もっとお芝居の技術を上げていきたいです。顔出しのお仕事も、得意ではないですけど興味はあるので、いずれは歌も歌えるような声優になりたいなと思っています。

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。

衣川:記事を見てくださってありがとうございます! 私は、演じているキャラと見た目の印象から、落ち着いているように見られるんですけど、実際は真逆でウエーッ!ってなることが多いんです(笑)。周りの人からしょっちゅう意外だって言われるので、みなさんにも、私のそんな意外なところを探してもらえると嬉しいです。

――ありがとうございました!

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

◆撮影協力

magic tone studio(マジックトーンスタジオ)

取材・文=麻布たぬ、撮影=山本哲也、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト」