『ハイスコアガール』(押切蓮介/スクウェア・エニックス)

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 2013年版「このマンガがすごい!」オトコ編で第2位を獲得し、アニメ化も発表された『ハイスコアガール』(押切蓮介/スクウェア・エニックス)。さぁ、これから盛り上がるぞ……!と思った矢先 に、著作権侵害問題、刑事告訴事件が巻き起こり、連載休止に追い込まれてしまった作品だ。当時は大々的に報道されたため、まだ記憶に新しいという人もいるだろう。そんな本作が、なんと7月25日(月)に発売された『ビッグガンガン』2016 Vol.8で連載再開に。さらに、コミックスは『ハイスコアガール CONTINUE』としてリニューアルされた。「このまま続きは読めないのか……」と落胆していたファンにとっては、朗報中の朗報だ! そこで、おさらいの意味もこめて、本作の魅力についてあらためて解説していこうと思う。

 本作は、アーケードゲームに熱中する小学生・矢口ハルオが、通い詰めているゲーセンでクラスメイトである大野晶と出会うところから幕を開ける。黒塗りの車で送り迎えされるお嬢様である晶は、どう考えてもゲーセンには不釣り合い。訝しみながらも、対戦を申し込むハルオ。こんなお嬢様に負けるはずがない。そう思っていた矢先 、ハルオは晶の圧倒的プレイの前に為す術もなく、屈辱的な負け方をしてしまう。そこからふたりのゲームを介した不器用で微笑ましい交流が始まる。ところが、ある時急に知らされる晶の転校。しかも行き先は海外。もう二度と会えないのか。最初こそいがみ合っていたふたりだが、ゲームを通して深めた絆は嘘ではなく、いつか再会することを約束し別れることになる……。

 不器用で自分の気持ちに素直になれない少年と、複雑な家庭の事情に縛られた少女。本作は、ボーイ・ミーツ・ガールのフォーマットを踏襲しつつ、古き良き時代のゲーム事情を色濃く描いた青春マンガだ。ハルオの成長を追いかけつつ、『ストII』『バーチャファイター』『サムライスピリッツ』などの、人気格ゲーがたくさん登場する。それらに熱狂し、腕を磨き、時には大会にまで出場するハルオの姿は、当時ゲームに夢中になっていた大人たちに少年時代を思い起こさせるだろう。

 さらに物語が進み、ハルオたちが高校生になる頃には恋愛の要素も強くなる。帰国した晶、そしてハルオに恋心を抱く日高小春。3人の思いが交錯する中、白熱していくゲームブーム。いったいこの恋のエンディングはどうなるのか。そう思っていた矢先 の連載休止騒動だったため、このたびの連載再開は、ファンにとっては涙が出るほど喜ばしいことだろう。

 あんなに鈍感だったハルオが、ようやく恋というものを意識し始めた高校時代。その続きが描かれることで、物語はさらに目が離せないものになる。このたびの連載再開を機に、ぜひ本作に触れてみてほしい!

文=五十嵐 大