『高嶺と花』(師走ゆき/白泉社)

写真拡大

 こじらせ女子なんて言葉が世間に浸透して久しいですが、自尊心と自意識の高さでこじらせ道を邁進しがちなのは男性とて同じこと。イケメン、スタイルよし、高学歴でしかも大会社の御曹司と4拍子もそろった高嶺さんもその一人。モテるのに女性経験は壊滅的という残念御曹司の彼は、今日もまた10歳年下の女子高生・花に翻弄される日々なのでした……そんな、いま話題のツンデレ漫画が、累計70万部を突破した『高嶺と花』(師走ゆき/白泉社)。最新5巻はちょっと様子がちがって、なにやら高嶺がかっこいい……かも……!?

 メインストーリーの舞台はクリスマス。恒例の家族パーティが中止になり、“クリぼっち”の危機を迎えた花を高嶺さんが誘うという、少女マンガならではのトキメキ展開となっております。が、ふたりは恋人同士などではなく、あくまで高嶺の祖父から命じられて見合いを続けている者同士。しかも互いに「負けてたまるか」精神で一歩も退かずに見合っている状態なので、純粋なラブロマンスとはいかないわけです。今回は2人も高嶺を崇拝する新キャラが登場し、さらにしっちゃかめっちゃかな展開になっております。

 ひとり目は高嶺の従弟・大海(ひろみ)くん。高嶺(小)とでも言いたいくらい、見た目も中身も高嶺そっくり。ですが、そこは小学4年生。反応はなんだかんだと素直だし、花を「品のない女」と罵っておきながら最終的に初恋らしき感情をめばえさせているところもかわいいですが、なにやら高嶺のお家事情がいろいろありそう……? と匂わせているのが一番気になります。

 そしてふたり目。高嶺LOVEの後輩美女・りのさんの登場で、本作もずいぶんと色気あるラブコメらしくなってきました。高嶺に心酔という時点で、りのも相当愉快な人なのでそれも楽しんでいただくとして、注目すべきは恋の鞘当て。「アンタみたいな子供には絶対に渡さない」「遊び半分なら手を引け!」とお約束のライバル宣言で、花もようやく、高嶺のことをどう思っているかを少しずつ意識し始めるという…。実は大人で、実は思いやりもあって、毒は吐くけど人のことを決して傷つけない高嶺の懐の深さ、優しさについついときめいてしまう花が見どころかと思います。

 とはいえ、高嶺さんがおかしいことには変わりなく。23日に花が毎年友達と行う「お好み(焼き)クリパ」を「クリッパー」と言ってるし、キレるポイントもおかしいし、ついつい声を出して笑ってしまうこと請け合いなのですが、よく考えたら5巻で描かれていたのはそのお好みクリパだけ……? あれ、ということは高嶺と花のクリスマスデートはまだこれから……? というわけで、待て次巻! な盛りだくさんな1冊でした。個人的には、花を見守る幼なじみ・岡本くんにめちゃくちゃときめきましたよ。今後も要チェック!

文=立花もも