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「ゴジラ」シリーズ最新作となる『シン・ゴジラ』の初日舞台あいさつが29日、TOHOシネマズ六本木ヒルズにて開催された。イベントでは、本作に登場するCGで制作されたゴジラの動きを狂言師の野村萬斎が演じていることが発表され、樋口真嗣監督がそのキャスティングの経緯と狙いについて明かした。

樋口監督は、「今までのゴジラは、人が入る造形物で撮影するのが伝統的な方法でした。今回はそれがCGでやるとなった時にどうしても欠点がある。(CGでできたものに)実際に誰かが動きをつけることになるんですね。そういった時に、『誰かが演じている』というところからもう一歩先に行きたい。"からっぽの器の中に魂を入れる"じゃないですけど、そういったものがないかなと考えていました」と企画段階から本作の肝となるゴジラの動きを担当する人物を探していた。そして、それは同時に「ゴジラは昔から人が演じることによってゴジラになってきた。今度はCGでやるときにどうやってゴジラにするべきか」という答えを探すことでもあったという。

そんな折に訪れた野村が演じる狂言の演目の中で、たびたび"この世ならざるもの"が演じられていることに気づき、樋口監督は「こういう引き出しもあるのか。この人だったらいけるかも」と直感。監督は野村と映画『のぼうの城』(2012年)以来の縁で、たまたま招待された狂言の会が再び2人を結びつけることになった。決定前の打ち合わせで樋口監督がゴジラのイメージを伝えると、その場でさっそく野村が振り向く動作を演じてみせたという。その姿に樋口監督は思わず「それです!」と直感が間違っていなかったことを確信したようだ。

ゴジラをモーションキャプチャーで演じることになった野村は、「日本の映画が誇るゴジラという物体生物のDNAに、650年以上の歴史をもつ狂言のDNAが入ったことをうれしく思います」とVTRでコメント。制作は野村の各関節に装置を装着して、その動きをゴジラに要約していくことで進められたという。収録については、「尻尾が重たいので、尻尾とのバランスをとる必要がありました。実際には重りを後ろに引っ張りながら、前傾して撮影しました。また、ゴジラの面を付けて演じていて、狂言の顎を動かす面の使い方を意識して映像では作られているのかなと思います」と解説した。

野村監修の舞台に出演して以来の付き合いで、本作では内閣官房副長官を演じる俳優の長谷川博己は、「オファーの時に(僕が出演しているのを知った)萬斎さんが、『ゴジラになってあいつを踏み潰せるの?(笑)』と言っていたということを聞いたのが印象に残っています」と明かし、「特にゴジラが東京で止まるシーンはまさに萬斎さんの止まり方だなと思いました」と動きが忠実に再現されていることに驚いたという。

また、米国大統領特使を演じた女優の石原さとみは、「ただ歩いたり、そこにいるだけのゴジラが切なくて、苦しくて。この感じはなんなんだろうと思いました。明日というのが数百年目になるような歴史をもつ狂言の世界のプロフェッショナルの野村さんが踏み出す重さがゴジラに表現されていると思って、鳥肌が立ちました」と、ゴジラに魂を吹き込んだ野村の演技を称賛した。