開幕式のプラカード先導は特定の学校が務めているのか?

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 8月7日に開幕を控える第98回甲子園大会。夢の舞台「甲子園」、その開会式で入場行進することは球児たちの憧れだ。

 7月20日、一足早く、その開会式出場の切符を勝ち取った高校生たちがいる。選手の行進を先導する西宮市立西宮高校の女子生徒だ。49代表に加えて、大会旗や歴代優勝校の校旗などの担当も含め、126名が合格通知を受けた。

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■きっかけは、戦後の学制改革

 入場行進の際、プラカードによる先導が始まったのは1949年の第31回大会から。以降、毎年、西宮高校の女子生徒から選抜されるのが習わしとなっている。今年は福島代表・聖光学院の「10年連続出場」が話題だが、それをはるかにしのぐ、「67回連続出場」という見方だってできるはずだ。

 プラカード導入のキッカケは、戦後の学制改革だ。各地で選ばれる代表校に多数の「新制高校」が出場するようになり、まだなじみの薄い学校名を印象付けるため、とプラカードに学校名を書いて行列の先頭に立つ案が採用された。

 また、学制改革によって数多くの男女共学校が生まれた社会背景もあって、「甲子園でも何か新機軸を出したい」「女性も大会に参加してもらおう」と、女子生徒による先導が決まったという。

 この「プラカード先導」を検討する会議に参加していたのが、甲子園球場からほど近い場所にある西宮高校の岸仁教諭。「それじゃ、うちの女子生徒で」と快諾した。西宮高校も、戦前は女学校だったが男女共学校に変わったばかり。「変革」を打ち出すには適任だった。

■「祖母・母・娘3代」や「球児との恋」も

 かつては西宮高校の3年生が務めていたプラカード・ガール。ただ、「先導したチームが勝ち上がると受験勉強に差し障りがある」と2年生が担当するようになり、現在では1年生も先導役を務めるようになっている。

 プラカード・ガールになりたい、と西宮高校に入学する生徒も多く、毎年、倍率は2倍、ときには3倍にも及ぶという狭き門。過去には、祖母・母・娘3代に渡ってプラカードを持った生徒もいれば、抽選の縁で担当したチームの選手と結ばれた恋もあるという。

 一例が、1973年大会で銚子商のプラカードを担当した生徒。この年、銚子商はあの江川卓擁する作新学院を倒し、ベスト8に進出。優勝候補を破って勝ち上がる姿を球場で観戦し続けた結果、女子生徒の方からある選手にラブレターを送るようになり、やがて、正式に付き合うことになったという。

 もし、出会いを求めている球児がいるとすれば、まずは勝つことが大事、ということかもしれない。

■かつての基準は「身長155センチ以上、身体強健、運動選手、容姿端麗」

 今年は126人の枠に、1、2年生の7割を超える251人が応募した。選考方法は毎年、7月に同校で行われるオーディション。プラカードの代わりに竹棒を持ち、歩くリズムや姿勢の審査を受ける。

 初めて先導役を選んだ1949年当時の選考基準は「身長155センチ以上、身体強健、運動選手、容姿端麗」。現在は運動選手にこだわらず、また、「乙女心を傷つけてはいけない」と、「容姿端麗」の条件も削除されている。

 選ばれた生徒は抽選で担当校が決まり、行進の練習をして開会式に臨む。ちなみに、夏は西宮高校の女子生徒が務めるプラカード先導役。センバツ大会ではボーイスカウトの高校生が担当する、というのはかつてあった有名な甲子園雑学だが、この制度は2007年まで。2008年以降は各出場校の生徒が務めていることも付記しておきたい。

文=オグマナオト

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