ジョジョの殺人鬼ランキング(第四部まで)


現実にはお近づきになりたくない、でもジョジョシリーズに欠かせないのが「殺人鬼」という存在。第一部でデビューを飾った初・殺人鬼は、19世紀にロンドンで娼婦を斬殺したという切り裂きジャックだった。

ディオに殺人現場を目撃されてスカウトされ、トンネルのなかでジョナサン一行を待ち伏せ。馬車の馬を殺して臓物の中にすっぽり収まり、全身に埋め込んだメスを発射するビックリ屍生人だったが、ジョナサンの波紋の一撃で消滅。


殺人鬼の扱いは、第二部でもイマイチだ。全身トゲだらけの「鋼線のベック」(恋人を殺害)もリサリサに抱きつこうとしたところ波紋を流され、おめえもうだめズラ……とジョセフに煽られながら溶け去ったズラ。

第三部では待遇が改善され、ポルナレフの妹を惨殺した両右手の男J・ガイルは中ボス的な強敵だった。鏡の中から襲うスタンドでアプドゥルを一度はリタイヤに追いやり、ポルナレフに攻撃を見切られるや、貧民たちを呼び寄せて瞳を「鏡」代わりにする悪あがき。でも、死後に母親のエンヤ婆には「心の清い息子」と悲しまれていて、家ではいい子だったんですかね。

第四部の殺人鬼というと、最初の敵スタンド使い・アンジェロが頑張って杜王町の被害者ランキングを上げてるはず。なのに影が薄いのは、今回から登場する「植物のように平穏に生きたい」人のほとばしる暗黒にかき消されたのかも。

……とシリーズを振り返ってみると、実は「魂のコイン」や「魂を入れた人形」(魂を長時間抜かれた人は死ぬ)をコレクションしてるダービー兄弟って確実に上位ランカーですよ!

第17話は、こんなお話


街でバッタリと露伴に出会う康一。二人は地図にはない謎の小道を見つけ、一体どこへ行くのか調べることに。そこには空き家や電気の切れた自動販売機、地図にない曲がり角など不思議な光景が……。さらに、3度しか曲がってないのに同じ場所に戻ってきてしまう異変に気づく。すっかり道に迷ってしまった二人の前に、ある人物が──。

康一くんと露伴先生、不思議な小道GO!


「面白い作品のためなら善悪を超越する変人(マンガ家の理想像)」として登場した露伴先生が、さっそく主人公の一人として抜てき。

「岸辺露伴ンンンー!」

康一くんが身構えるのも無理はない。スタンド攻撃で傑作マンガにされかけ、人生が連載打ち切りになりかけたんだから。

「なんか君とは気が合いそうな気がする。そう思わないかい?」

思い込みの激しい美人や、変人に好かれることに定評のある康一くん。すぐに逃げればいいものを、露伴先生が赤ん坊から4歳まで住んでいた町への思いと、気づいた矛盾を聞くことに。

「あれ、薬屋とオーソンの間の道がこの看板に描いてませんね!いい加減だな!」

ホンモノの名前は使えないとしても、コンビニとしてオーソン=大損という響きはどうなんでしょう!

「この岸辺露伴が頭を下げて頼んでいるのに」

一ミリも下げてないよ! それでも先生のワガママに付き合ってあげる康一くん、本当にいい人だ。

不思議な道Go!ということで、GPSもナシに謎の小道を冒険するマンガ家と読者コンビ。この犬小屋も自販機もさっき見た……右左右と三回曲がっただけで元のポストに逆戻り。ひょっとすると何者かにスタンド攻撃を受けているのかもしれん! さすがスタンド攻撃したことのある露伴先生ですね。

そこに現れた「案内してあげようか?」という女の子。露伴先生、先手必勝のヘブンズドアー!  客観的に見れば「初対面の女の子を昏睡状態」のヒドさ。

「こいつ…スタンド使いじゃあないぞ!ただの女の子だ。名前は杉本鈴美16歳。住所は杜王町勾当台3の12。すぐそこだ」
「初潮があったのは11歳の9月の時で初めて男の子とキスをした時舌を入れられているぞ!」

ただの女の子とわかった上でプライバシーを丸裸にする露伴先生、全然懲りてない!

「あなたワガママでしょ。それも結構人を引っ掻き回す結構人を性格ね」

露伴先生が「全然当たってないよ!」とムキになるほど当たってるポッキー占いは、あくまで前フリ。杉本玲美の語りは「ここの家ね。15年ほど前に殺人事件があったんだってさ」と稲川淳二も裸足で逃げ出しそうな怪談に。

「女の子が寝室で寝ていると、ピチャリ……ピチャリと何家が滴る音がして目覚めたんですって。その音を調べに行くと、愛犬アーノルドがコート掛けに吊るされ死んでいたの……そしてその女の子も殺されたの!」

相変わらず犬の命に厳しい作品・ジョジョ! その話をしたというお婆さんは、なぜ殺された女の子が聞いた血の音を知っている……?

ふとピチャリ……という方向に目を向けると、そこには首を切られた犬のアーノルド。「女の子」=杉本鈴美であり「幽霊」だった! 二人が迷い込んだのは「あの世」と「この世」の境目だったのだ。

杜王町に潜む闇に近づく第一歩



「逃げるぞ康一くん!」

片手で男子高校生を振り回して全力疾走できるマンガ家・岸辺露伴!  しかし、「さっきのポスト」に戻ってしまう無限ループだ。エコーズを空に飛ばしたと思ったら康一くん本体が飛び上がってる不条理さで、打つ手なし。

「人を怨霊みたいに言わないで! 私が何したって言うのよ! あんた達が勝手こいてビビってんじゃあないのよ!」

可愛い女の子もジョジョ節になる世界の修正力。鈴美に悪意なんてなく、「幽霊」とスタンド使いの波長が合っただけのこと。

鈴美が語るのは。背筋も凍る真実だった。犯人の顔を見る前に背中からナイフで切り裂かれたこと、犯人が捕まりもせずに杜王町に溶け込んでいること。何もできない死人より、生きてる人間の方がコワイ。

捕まえてくれとは言わない。でも、警察とか犯人を捕まえられる誰かに教えて欲しい。こんな可愛い女の子にお願いされたら、誰でもグラっと行きますよね。

「なぜそんなこと僕らがしなくちゃあいけないんだ? この世への未練は断ち切ってあの世へ行っちまった方がいいってのが正しい幽霊の在り方だと僕は思うぜ」

幽霊にもズバズバ言う露伴先生、康一くんを黙らせて譲る気ゼロ。が、鈴美は諦めない。杜王町の少年少女の行方不明者の数は全国平均の8倍にも上り、今もヤツの殺人が行われている……。

「この上空を殺された人の魂がよく飛んでいくからよ!これと同じ傷口を負って!」

あの人はナイフなんか使ったっけ……と原作既読の人がいつもツッコむ箇所だ。が、杉本一家惨殺事件は15年前のこと。ヤツが「弓と矢」に関わったのは、おそらく11年前(第三部のDIOとの戦い)前後のはず。当時はまだ、スタンド能力を発現する前だった可能性もある。

「あなた達生きてる人間が街の誇りと平和を取り戻さなければ、一体誰が取り戻すっていうのよ!」

黄金の精神を持つ杉本鈴美、さすが第四部のヒロイン。人(幽霊)助けにノリ気の康一くんに水をさしながら「犯人を追って取材するのもいいかもな。面白そうな漫画が描けるかもしれん』と乗ってくるツンデレ漫画家。

そして約束通り、鈴美による帰り道のご案内。ただし、チョイとしたルールつき。ポストを曲がってから出口までの約20m、決して振り向いてはいけない……。日本書紀やギリシャ神話にもある黄泉平坂のアレだ。

絶対に振り向いてはいけない小道。あったかい液体のようなものにも耐え、もう大丈夫よ……と鈴美の声に振り向いてみれば、それは別の幽霊のウソ。康一くんアウトー!(画面中に手だらけ)

「フン! 何だか知らないが見なきゃあいいんだろ? 僕と一緒でよかったな康一君!」

露伴先生は慌てず騒がず、ヘブンズ・ドアーで康一くんに「君は何も見えなくなって吹っ飛ぶ」と書き込んで、たちまちピンチを脱出。変人マンガ家が、頼もしいヒーローに変わった瞬間だ。

「いつでも会えるわ、露伴ちゃんに康一くん」

妙に馴れ馴れしい言い方が引っかかっていた露伴先生、その答えは杉本家の墓参りをすることですぐに出た。寺の住職から語られる、両親も語ってなかった過去……4歳の自分が一晩だけ杉本家に預けられ、鈴美おねえちゃんに窓から逃がしてもらっていた。実は殺人鬼を追跡する動機が最も強いスタンド使いは、岸辺露伴その人なのだ。

動いてしゃべる吉良吉影、声は森川智之さん!!


今回もいい話だった!と放心したすきを突いて始まるCパート。億泰、鈴美さんの写真に15年早く生まれたかった……とヨダレ。康一くんが幽霊や事件を説明しているが、仗助は意外につれない。

「この話を承太郎さんやジョセフのジジイにしたら多分一つの質問が返ってくるぜ。この犯人はスタンド使いなのかってな」

父の呼び名が「ジョースターさん」から「ジョセフ」へ。さらりと親子関係が打ち解けたことを織り込みながら、仗助の言い分ももっともだ。ただの殺人犯なら、警察とか裁判所の仕事。それで突き放すわけではなく、自分たちでじっくり調べていこうということ。

「焦ってもしょうがない、タクシー捕まえるみてーにバッタリすぐに出あうわけねぇだろ」

…するとタクシーを捕まえるノリで、バッタリ車に轢かれかける康一くん。

「ん? おい。買ってやった舶来の腕時計はどうした?」

ああ、ドライバーは男女のカップルでしたか。バッグをつかむ綺麗な手が見えますよね。

「さ、足元に気をつけて」と手をエスコートするイケメン。その手は断面から血を滴り落としていた……気をつけられる「足元」がない!

「なんかたれましたよ。お行儀の悪い人だ。自分で綺麗にしなさい」

死体の手にハンカチを掴ませる殺人鬼、その名は吉良吉影。声を演じるのは『ファイナルファンタジーVII』の美形悪役セフィロスで知られる森川智之さんだ。本当のジョジョ第四部が、ここから始まった!!
(多根清史)