今日で最終回となる、DDT大社長・高木三四郎インタビュー。
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今回のテキストからは、高木大社長の“ビジネスマン”としての側面を強く窺うことができると思う。プロレス界で名を馳せる勝利の方程式というか。
そして最後には、来年で創立20周年を迎えるDDTの今後についても話を伺っている。現在のプロレス界において20年も団体が存続し続けるなんて奇跡に近い話だと思うのだが、いかがだろうか。

WWEに人材が転出したら、マンネリに陥らずに済む



高木 WWEへの人材流出に関しての私の見解は、「止められないんだよ」ということです。でも、それはネガティブな表現じゃなく、あくまでも市場を回すという意味で絶対に必要なことなんで。僕が常にプロレスの中でNGなのは「マンネリ」なんですよ。マンネリ感に陥っちゃ、ダメなんですよ。スターだった人間が一度落ちて、また復活して……のように、ドンドン動いていかなくちゃいけないわけですね。マンネリっていうのが最大の敵なんです。このマンネリ感を崩すためには、時には海外に引き抜かれたりっていうのも別にいいんじゃないかなと思って。どうせまた戻ってくるんだし、戻ってきたらそれで新しい流れができるだろうし。
――先ほど、高木さんが飯伏選手に「WWEに行くの?」と聞いたと伺いましたが、それは行ったら行ったで新しい展開を起こせるという持論からですか?
高木 そうです、そうです。どうせ、戻ってくるんで。その考えには、自信があるんですよ。「どうせ、戻ってくるんだろうな」っていう自信。とにかく、広〜く食指は伸ばしておいた方がいいかなって。

芸能界にもアピール「ウチはいつでもリングを用意している」


――「食指は広く」という意味では、現在、LiLiCoさんがDDTに参戦していますが、芸能界から「プロレスに取り組んでみたい」という声があれば、ドンドン相談には乗るよという感じですか?
高木 はい。広く色んな人のご相談は受けますし、「ウチはいつでもリング用意してますよ!」って言ってますからね。
――LiLiCoさんは、どういう経緯でリングに上がるようになったんですか?
高木 元々はリングアナウンサーのスタンスでやってもらいたいなあとお願いしてて、ご本人もすごくプロレスがお好きだったみたいで。
――LiLiCoさん、プロレスお好きそうですよねえ!
高木 で、ウチのアイアンマンヘビーメタル級のベルトを奪ったことによって自我が芽生えちゃったみたいです。そこから、「プロレスをもっとやりたい!」ってプロレスの練習を積んでいって。


あと、今、“筋肉アイドル”として活動している才木玲佳ちゃんは、元々、僕がWRESTLE-1に関わり始めた時に「Cheer♡1」っていうサポーターアイドルをやってたんです。「なんでこんな子たちいるのかなぁ?」と思ってたんですけど、才木ちゃんがドンドン体を鍛え始めて、ゴツくなってったんですね。「この子、頭おかしいな。プロレス向きだな」って思って。


――アイドルなのに(笑)。
高木 だって、可愛い顔してるじゃないですか? でも、ゴツくなってるからプロレスやらせた方がいいなと思って「プロレス総合学院っていうのがあるから入らない?」って声を掛けたんですよ。
――あぁ、高木さんからスカウトされたんですね。
高木 そうです。元々、本人もやりたかったみたいで「ぜひ、やりたいです!」って乗り気になってくれて。その子が今度の両国にも出るんですけど、そういう風に広げていってスターを作らないとダメですよ。

「トリプルHはパーフェクトすぎて狂ってる」


――それはWWEも一緒ですよね。「アイツが抜けたな」と思ったら、下からボコっと新しいスターが現れる……の繰り返しですもんね。
高木 そうです、そうです。そこさえちゃんとやっていれば、人材が抜けても大丈夫です。とにかく、次の人間を。だから、僕は鈴木君に会うたびに「いつ、ウチ出るの?」って言ってるわけですよ。早く鍛えてもらって。
――ダハハハハハ!
高木 彼は、なれる要素持ってるんで。
鈴木 いや、もう今はだらしない体してるんで……。
高木 彼はトリプルHになれるようなプロデュースできる頭もあるし、トップを張れるプロレスラーになるんじゃないかなと僕は思ってるんですよ。
――背広組兼選手、みたいな(笑)。
鈴木 ありがとうございます(苦笑)。
高木 だってトリプルHなんて、あんなのないですよ! 今のNXTの成功だったり、WWEネットワークの成功だったり、全部トリプルHの手腕ですからね。それで、レッスル・マニアでメインを張るわけですよ。狂ってますよ! ちゃんと体も維持して、ちゃんとオーナーの娘も手に入れてるという。パーフェクトですよ。
――あんな勝ち組、見たことないです(笑)。
高高木 こんなビジネスマン、いないですよ。しかも、アイツは僕と同じ1969年生まれの同級生なんですよ。パーフェクトですよ、最強だよ……。
――ちなみに高木さんは、「俺だったらこうするのになぁ」って考えながらWWEを観てるんですか?
高木 いやぁ、「俺だったらこうやるのに」ってことはWWEは既に全部やってますね。
――あぁ、そうですか。
高木 いや、凄いなぁって思いますよ。ブレーンの数が半端じゃないんで。あそこは完全にビジネスとしてやってて、日本みたいな個人商店とか○○一座とかじゃないんです。勝てないですね、今の段階では。だから、「勝とう」と思っちゃダメなんですよ。違う価値観を作って、違う土俵で勝負しないと。
――WWEがやらない事や、違う方向性を。
高木 そう。だから、あそこと同じことをやってる段階では、絶対に勝てないです。

総合格闘技を語る高木三四郎


――ガラッと話を変えたいのですが、高木さんはプロモーターとして総合格闘技をどう見ていますか?
高木 総合をやるにしてもUFCがある以上、同じことをやっていたら勝てないですよね。だから、“面白い総合格闘技”をやってみたらいいかもしれない。
――それはそれで、谷川さんがもうやってそうですが(笑)。
高木 はい。だから谷川さんの方向性は、そんなに間違ってないです(笑)。


――そうですね(笑)。
高木 ただ、ちょっと奇天烈なだけで(笑)。もうちょっと薄くしたら、ブレイクしますよ。
――ちょっと行きすぎかもしれませんよね(笑)。
高木 もうちょっとスポーツライクにやるといいと思います。
――愛すべき人ではあるんですが。
高木 あのねぇ、谷川さんの「巌流島」はすごくいいと思うんですよ。本当に、悪くない!
――観てて面白いですよね。
高木 異種格闘技という原点に立ち戻った意味で面白いですし、間違ってない。ただ僕が手掛けるとしたら、子どもたちが主役の総合格闘技を考えます。
――日本のキッズレスリングって、異常にレベルが高いらしいですね。
高木 高いッスよ〜。ウチの子どもにもやらせてますけど、高いッスねぇ〜。年齢を変えて、キッズ限定で総合格闘技大会をやれば人気が出ると思います。もちろん、パウンドとか危険性を一切排除して。それをやれば、代々木第一くらいはすぐ埋まりますよ。それを一回の興行で100試合くらい。
――100試合!? あぁ、アブダビみたいに。
高木 そう。それでトーナメント決勝で各ブロック代表による10試合くらいをちゃんと入場ゲート付きでやれば、絶対にチケットは売れると思います。子どもの親とかその友達は買うでしょうし。女子の総合はあるので、年齢を下げて“小学生の天下一武道会”を。
――それ、ありそうでないですね!
高木 だから、子どもで総合格闘技がそういう形でできると、グッと市場は拡大できますよ! そこですよね。
鈴木 チームラボみたいな技術で、プロテクターを着けて、打撃がヒットするとその箇所がスクリーン上で赤く点灯するみたいな。
――あぁ、なるほど。いいですねえ!
高木 他ジャンルできちんと成立している企業相手に後から参入していっても勝てないんですよ。“キッズ限定総合格闘技”くらい特殊なことをやらない限りは。結局、それを一番最初にやった者が勝つんで。
――まさに、DDTはそうですよね。

DDTは東京ドームに進出するのか?


――ところで、来年はDDTの20周年ですよね。何号か前のKAMINOGEのインタビューで高木さんが「20周年のタイミングで現役引退を考えている」と発言されていましたが、これって本当ですか……?
高木 いや、あの時は19周年の両国で飯伏の復帰戦の相手をしたっていう部分の充実感もあったので。で、ディック東郷さんが復帰したじゃないですか。それで「また引退できなくなったなぁ」みたいな(苦笑)。
――あぁ、そうなんですか。いや、ホッとしました(笑)。
高木 2010年かな、東郷さんが引退したのって。「こんなカッコいい引退はないな」って思ったんですよ。世界を旅して、国内で引退試合をする。「やられた。俺にこれ以上カッコいい引退はできない」と思って。で、2012年の武道館大会で鈴木(みのる)さんと試合して「俺は引退する!」って言ってその場で10カウントゴング鳴らさせて、カウント6のところで「ウソだー!」と撤回したっていうのもあって「引退なんかできねえよな」とは思ってはいたんですけど。で、「東郷さんを越える引退は20周年かな?」って。そのタイミングで引退したら一番美しいんじゃないかなと思ってたんですけど、東郷さんが復帰したじゃないですか? 「あー、これでまた引退できなくなっちゃったじゃん」って。どうしようかなと思って(苦笑)。今の心境は、そんな感じです。
――あぁ、良かったです! ところで、来年に訪れるDDT20周年という節目で団体として考えている展開はございますか?
高木 やっぱり、オンリーワンとしてのDDTのポジションをもっともっと世間に浸透させていくという事ですね。DDTにしかできないプロレス、DDTじゃないとやれないプロレスをもっと浸透させていくべきなんじゃないかなと思ってます。絶対にヨソの団体でやらないようなプロレスを。その位置づけを作っていき、なおかつ配信的な事とかも含めてもっともっと大きくしていきたいと思いますね。
――例えばですよ? 東京ドーム大会をお考えだったりはしますか?
高木 考えてはいますけどね。たぶん、避けては通れない。
――ですよね。DDTという団体ならば、いずれは……と思っているファンも多いと思うんですが。
高木 でもねぇ、東京ドームでやると“最終回感”が出るんですよ。AKB48も東京ドームでやって“最終回感”が出たじゃないですか?
――ちょっと“三学期感”が出ちゃいますかね(笑)。
高木 だから“最終回感”が出ないくらいの規模まで高めていって、その時に東京ドーム大会をやろうかなって思っています。「これは通過点に過ぎないんだよ」と思われるくらいに高めてからだと思ってますね。
(寺西ジャジューカ)

東京・両国国技館「両国ピーターパン2016〜世界でいちばん熱い夏〜」
■日時
2016年8月28日(日)
開場12:30 開始14:00
■会場
東京・両国国技館
■チケット販売場所
チケットぴあ、ローソンチケット、e+、DDT公式チケットフォームほか

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