「出産で退職」は危ない!“気づけば生活苦”に陥ってしまう現実

写真拡大

 一見、十分な年収のように思える800万円という数字だが、実際に都心部で暮らす家庭では綱渡りのような生活を強いられていることも多い。その姿を追った――。

◆子供が成長する前に共働きを復活すべし

 前回の記事で、都心部で不自由なく暮らすには最低1200万円必要と伝えた。それでは、世帯年収800万円を稼ぎながらも生活苦に陥らないためにはどういった心掛けが必要なのか。ファイナンシャルプランナーの藤川太氏がまず説くのは、ダブルインカムをキープすることだ。

「夫がそれなりの収入を得ているだけに、子供ができると『小さいうちは一緒にいてあげたい』と、退職する女性は少なくない。しかしこれがダメで、子供が成長して教育費負担が大きくなる前に、共働きを復活させておくべき」

 税理士・田中氏も共稼ぎのメリットを解説する。

「所得税は個人単位の累進課税なので、例えば世帯年収1000万円と考えた際、片方が全部稼ぐよりも500万円ずつのほうが可処分所得は多くなり、年間で60万円ほどの差が出ます。また、課税所得が195万〜330万円だと税率は10%なのですが、330万円を超えると一気に20%になります。その点も考慮して夫婦の所得バランスを調整できると、より税制メリットが受けられるでしょう」

◆住居費と教育費は収入の●%以内

 さらに、家計への大きな負担になる住居費と教育費は「どんなに多くても総収入の40%以内に抑えたい」と藤川氏はいう。

「それが生活苦に陥っている世帯の場合、50%を優に超えています。世帯年収800万円だとマイホームを買うなら4000万円以内にはしておきたいところ。さらに子供を私立に通わせたいのなら、もっと住宅費を抑えるべきです」

 ちなみに子供を私立高校に通わせる際には国や自治体による支援制度もある。ただ、それらは世帯年収などで条件が変わり、東京都の場合は世帯年収760万円(目安)を超えると「授業料軽減助成金」(年間最大13万2000円を軽減。平成26年度入学の場合)という支援制度の対象外になる。

「大切なのは“固定費を嫌う感覚”を身に付けること。家族に何かトラブルがあった際、固定費の多さは家計への打撃に直結します。『月1万円の固定費増加』を敏感に感じられないといけない」(藤川氏)

「ダブルインカムは出産後もキープする」「住居費と教育費は収入の40%以内に」――。世帯年収800万円でも生きづらいという現実。それは、都心部で暮らす以上、避けては通れない試練といえそうだ。

―都心部[年収800万円]家庭は火の車だった【14】―