ICレコーダーは会議やインタビューの録音に欠かせないアイテム。数多くのメーカーが、こういった製品を発売しているため、差別化が激しい分野でもある。パナソニックのICレコーダー『RP-XP008』は、まるでボールペンのようなサイズの製品で、その小型軽量さが売りとなっている。「ボカロP」という顔も持つ記者が、この『RP-XP008』が音楽制作でも戦力になるのかどうか検証する。

■とっさにフレーズが「降ってきた」時でもサッと録音できる利便性は凄い!

ICレコーダーは新聞記者や雑誌のライターなど、取材時に活躍するアイテムで昔は小型のカセットテープを入れる「テレコ」と呼ばれるものだった。時代は変わり、ICチップを内蔵したレコーダーが誕生し、その利便性は飛躍的に進歩したのだ。今回、使って検証するのはパナソニックのICレコーダー『RP-XP008』。とは言え、普通にインタビュー取材の録音性能をチェックしても面白くない。ここはひとつ、ボカロP(※音声合成システム「VOCALOID」を使用するミュージシャン)としての側面を持つ記者ならではの、音楽制作などに役立つかどうかも合わせて検証してみたい。

パッケージを開けると、本体とUSBケーブル、ニッケル水素充電式電池、取扱説明書が封入されていた。デジタルアイテムとしては、非常にシンプルな内容物だ。なお、本体サイズは幅14.8mm×高さ126mm×奥行き14.8mm。重さは付属の充電池を合わせても、わずか33g。文字どおり、スティック型でボールペン並みの小型軽量ICレコーダーなのだ。

『RP-XP008』上部にはボールペンよろしく「ベロ」と呼ばれる、ポケットに入れたときに押さえる金具が付いている。胸ポケットに入れてしまえば、本当にボールペンにしか見えない。33gと軽量なので、Yシャツのポケットに入れても、重さでポケットがデローンとなってしまうことがないのもスタイリッシュな御仁には嬉しいところだ。

電源はニッケル水素充電池。乾電池を充電器につけてコンセントから充電するという使い方もよいが、USBケーブルでパソコンに接続すればマスストレージとして認識され、しかも充電も行なわれるので便利。そういった活用法が基本となるだろう。ただ、難点は付属のUSBケーブルが短いこと。ノートパソコンなら気にならないだろうが、デスクトップパソコンで使うなら、もう少し長いほうが便利かもしれない。

 

じゃあ、さっそく使って試してみよう。

■「ポケット」「会話」「会議」「講義」「ステージ」の5シーンがセレクトできる

 

電源を入れてみる。音声ガイダンスで、今日の日付を設定する。この作業によって、録音したデータの年月日と時間が正確に記録されることになる。

ただ、電池を抜いたまま5分以上経つと日付と時間がすべてリセットされてしまう。すると日付の設定という作業を再度行なわなければならないので、電池交換は素早く行おう。

この『RP-XP008』はシーンに適した設定で録音できる「録音シーンセレクト」モードが搭載されている。 「ポケット」「会話」「会議」「講義」「ステージ」の5シーンがあり、それぞれに適した録音が可能となるわけだ。しかも、こんな小型なICレコーダーにも関わらず、左右のマイク間の距離の微妙な差で伝わる音の遅れを使って、左右の音を分離・強調する「ステレオ強調録音」という機能も搭載されている。これなら、会議などで誰が話したのかを座った位置で判別できるので便利だ。

録音は本体上部のレバーを下げればいいだけ。これもボールペンの芯を出す行為と似ていて、非常に簡単で慣れている行為。ボールペンのように胸に挿しておく使い方なので、例えば頭の中で音楽のフレーズが思い浮かんだ場合、サッと取り出して鼻歌をすぐに録音でき、しかもMP3データとしてパソコンに取り込めるわけだから、これは作曲活動が捗ること間違いなしだ。しかも、本体の設定で周囲の音声を感知しオートで録音開始する「音声起動録音」という機能まで用意されている。

 

なお、録音フォーマットは原音そのままの高音質録音「リニアPCM」モードと、どんなパソコンや再生機器でも概ね利用できる「MP3」モードがある。メーカーは「リニアPCM」を「音楽演奏やしっかりと録っておきたい用件」で利用することを勧めているが、内蔵4GBというメモリー容量や、実際にそこまで高音質で録音する機会もあまりないことから、長時間録音できる「MP3」がメインで使う録音モードとなるだろう。

マイクは、これも本体上部に設置されていて、ここで集音する仕組み。なお、イヤホンジャックもここにある。再生機能も多彩だが、すべての機能を紹介することは難しいので、詳しくは『RP-XP008』のサイトをチェックしてみてほしい。

 

特筆すべき再生機能は「かんたんシャドーイング再生」という機能。これは録音された音声を聞きながら、その聞こえた音をほぼ同時に繰り返して言う「シャドーイング」というリスニングのトレーニング方法で、この機能ではインデックス区間を設定し、繰り返しトレーニングが可能となっている。英会話など、語学の勉強をするのにもってこいの機能だろう。

 

■まとめ:さすがに「歌ってみた」に使うのは厳しいが音楽制作にも戦力として期待!

インタビュー取材記事や会議録の作成には、言うまでもなく高い録音性能を示してくれた『RP-XP008』。その使い勝手の良さから、作曲のためのツールとしても高いポテンシャルを秘めている。で、記者は欲を出して歌を録音し、某ニコニコする動画サイトに「歌ってみた」動画を上げてみようと目論んだ。しかし、どの録音モードを使っても満足のいく録音音質にはならなかった。ただ、12,000円以下という本体価格を考えれば、そこまで要求するのは酷というもの。

 

ただ「音のメモ」をサクッと録音するツールとしては、これほど秀逸な製品は今まで見たことがない。正直、これは欲しい。なお、同製品はブラックのほか、ピンク、ホワイト、バイオレットというカラーバリエーションで展開されているので、お好みのカラーを選ぶ楽しみもある。