九州の北の玄関口とされる福岡は、日本列島の中でも中国大陸に近い場所に位置する。日本政府が昨年1月に開始した「船舶観光上陸許可制度」によって、福岡を訪れる中国人観光客が急増している。観光収入の増加は喜ばしい話であるが、一度にやってくる観光客が多すぎて、福岡の街が「パンク状態」になりつつあるという。(写真は福岡県の博多埠頭、提供:(C)yyama3270/123RF)

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 九州の北の玄関口とされる福岡は、日本列島の中でも中国大陸に近い場所に位置する。日本政府が昨年1月に開始した「船舶観光上陸許可制度」によって、福岡を訪れる中国人観光客が急増している。観光収入の増加は喜ばしい話であるが、一度にやってくる観光客が多すぎて、福岡の街が「パンク状態」になりつつあるという。

 中国メディア・中国新聞網は26日、「中国人観光客の集中『上陸』で、福岡に大きな負荷」とする記事を掲載した。記事は、「船舶観光上陸許可制度」によってクルーズ船の停泊時間に限りノービザ入国できるようになり、大量の中国人観光客が福岡に上陸して8時間の観光をするようになったと説明。「そう大きくはない都市に、少なからぬ負荷をもたらしている」と伝えた。

 福岡市経済観光文化局の話として、今年1-6月に博多港に停泊した外国クルーズ船138便のうち131便が中国からのものであると紹介。船1隻に3000-5000人の観光客が乗っていることから、大挙して押し寄せる中国人観光客によって、市内の路線バスなどの交通や、観光バス用駐車場など受け入れ設備が逼迫する状態となり、市の観光当局にとって頭痛の種となっているとした。

 記事は、同市経済観光文化局が、昨年約57万人だったクルーズ客の数を、今年は80万人に到達すると予測していると説明。クルーズ客の来訪を歓迎する一方で「飛行機に乗ってゆっくり泊まりがけで遊びに来て欲しい」と同局の関係者が語っていることを併せて伝えた。

 熊本や大分の地震によって鈍った、九州地方を訪れる中国人観光客の客足が戻りつつあるという点で、福岡に上陸する中国人観光客が増えているのは喜ばしいことだ。しかし、僅かな滞在時間では多くの観光地を周遊することは不可能である。「玄関口」として、「ぜひ今度はゆっくり来よう。九州の他の場所も行ってみよう」と思わせる「おもてなし」に期待したいところだ。 そのためにはまず、「パンク」の回避策の検討が重要である。(編集担当:今関忠馬)(写真は福岡県の博多埠頭、提供:(C)yyama3270/123RF)