受験生には踏ん張りどころの夏休み。ご両親も落ち着かないだろう。そんなときは家族で身体を動かすといい。

 先日オランダから、勉強したことをしっかり記憶するには、学習4時間後に運動をするとよいという研究報告があった。

 本研究に参加したのは、オランダ・ラドバウト大学に在籍する72人(平均年齢22歳、女性48人、男性24人)。BMI(体格指数)平均22の標準体形で、身体を動かすのは週に4、5時間ほどという「ごく普通」の学生たちだ。

 参加者は抽象的な形の配列を記憶して再現するプログラムを40分間こなし、直後に1回目の記憶テストを行った。その後、無作為に(1)学習直後に運動する群、(2)4時間後に運動する群、(3)運動をしない群の三つに分けられた。

 運動はエアロバイクを使った有酸素運動。ペダルを踏みながら会話ができる程度の強度(最大心拍数の60%)で2〜3分、続いてアゴが上がる強度(最大心拍数の80%)で5分ペダルを漕ぐというインターバルトレーニングを35分間、行っている。

 被験者は、学習し終えた48時間後に2回目の記憶テストと同時に、脳の活動領域を画像化するMRI検査を受けた。

 2回目のテストの結果、学習4時間後に運動した群が、48時間後の記憶を最もよく保っていることが示された。さらに、この群のMRI画像で、長期記憶と学習をつかさどる「海馬体」が活性化されていることがわかったのだ。

 研究者は「学習後に適当な時間をおいて運動すると、長期記憶が改善する」としているが、メカニズムは不明のまま。動物実験では、高い強度の運動時に分泌されるドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質が記憶の定着に一役買っていると指摘されている。ただし、肝心の「なぜ間をおくといいのか?」という疑問の解答は見当たらない。

 とはいえ「よく学び、よく遊べ」という順番には一面の真理があるらしい。涼しい午前中に勉強に集中し、そのあとは夏の夕暮れを楽しみながら身体を動かすと学習曲線が上昇するかもしれない。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)