『家族が亡くなったらしなければならない手配と手続き 最新版』(監修/北 秀継、岡崎正毅、岡崎麻美 構成・文/杉本祐子 主婦の友社刊)

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「もし家族が亡くなったら……」とは衝撃的なタイトルであるが、高齢の親や身内がいる世代にとっては、いざというときに備えて考えておきたい問題である。実際に、どのような手配や手続きが必要となるのか。それについて時系列的に、わかりやすく書かれた書籍が『家族が亡くなったらしなければならない手配と手続き 最新版』(主婦の友社)だ。最新版とは、2015年1月に改正された相続税法に対応して記事が書かれていることを意味する。

 一読して感じるのは、従来の相続関連本とは少し異なる印象だ。税理士の岡崎正毅氏、社会保険労務士の岡崎麻美氏に加えて、真宗大谷派・大願寺住職の北 秀継氏が監修に加わっているため、類書ではさらっとふれられているだけの、葬儀から納骨・法要に至る、一連の流れについてページが多めに割かれている。

 また、巻末に、「葬儀と相続のための覚え書き」の欄があり、家族の生まれてから現在に至る歩みを書き入れるようになっており、項目に従って記入していくと、年金、保険、預貯金、不動産などについてのリストも簡単に作成できる。構成をしたファイナンシャルプランナーの杉本祐子氏によれば、これを完成させておけば、もしもの場合の手続きにたいへん役立つとのこと。家族のために、自分について書いておいても役立ちそうだ。

 本文では、随所に実際的なアドバイスが書かれている。たとえば、実際に家族が亡くなると、葬儀までに遺族は様々な手続きを踏まなければならない。病院で臨終を迎えた場合は、病院から死亡診断書(死亡届)を受け取り、会計を済ませたら、葬儀社に遺体搬送の手配を依頼し、市区町村の役場への死亡診断書を提出し(葬儀社が代行してくれる場合もある)、火葬許可証をもらう必要がある。このとき、死亡診断書の「コピーをとっておくとよい」と本書は解説する。のちに名義変更の手続きなどで必要となるからとのこと。コピーですむ手続きであれば、いちいち病院に請求せずにすむというわけだ。

 手続きで気になるのは、相続税の問題だ。家族が亡くなったあと、税務署からは故人の生前の納税状況を鑑みた上で、相続人に「相続税についてのお尋ね」という文書が送られてくる。故人が遺言を残していたかどうかにより状況も変わるが、本書では故人の所有していた不動産や株式などの証券、預貯金、生前贈与の有無などを考慮して、人数や金額を把握できる「相続税申告の簡易判定シート」も用意されている。

 しかし、相続に関わる手続きはできれば「専門家に相談しましょう」と、本書はすすめる。生命保険などの資産や課税財産、税額控除など、こまかな計算書や明細書まで含めると、およそ35種類もの書類が必要となるという。その大変さをよく理解しているからのアドバイスだ。税務署や市区町村役場、税理士が無料相談を受け付けている場合もあり、不明点などを相談してみようともすすめている。この分野の書籍としては、本音で語られていて興味深い。

 備えあればうれいなし。家族が亡くなってから、悲しみに暮れるなかで様々な手配や手続きを、一つずつ調べながら行うのはあまりにもたいへんである。本書を通して、必要な事項や流れを一度確認しておけば、いざというときにも安心である。

文=カネコシュウヘイ