ロトルアと日本は実は似ている

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初めて訪れた街なのに、ちっとも初めてな感じがしなくて、それは観光地だからっていうだけでなく、遠く離れた日本とロトルアの共通点をいろいろと見つけたから。

ニュージーランド航空から航空券をいただいて、ニュージーランドのロトルアに行ってきました。


地殻プレートがぶつかりあって出来上がった島国。マオリという原住民の文化や考え方は、北海道のアイヌのそれと似ている。自然を敬い、共に生きるということ。聖霊を信じ、伝説を語り継ぐ。ロトルア博物館を訪れ、マオリの家系であるジョージーさんに話を聞きながら、ちょうど先月僕が訪れたアイヌ民族博物館のことを思い出してた。もちろん、ジョージーさんもアイヌとマオリの共通点は知っていて、「北海道に訪れたり、逆に北海道からマオリについて学びに来る人もいるわよ」と教えてくれた。

マオリも、すでに現代の文化に取り込まれていて、当たり前だけど当時のように生活する人はもういない。マオリの歌や踊りを披露するディナーショーは、完全に観光客向けのアトラクションだし、文化の継承というよりは、観光資源の要因が高い。

それにしても、ロトルアの人たちは他の観光地よりもさらに観光商売が上手いように感じる。それは、ロトルアの歴史にも関わってるようだ。


ロトルア博物館の建物は、そもそもは今から約110年前にヨーロッパ人の観光目的で立てられた温泉施設だった。イギリス人の設計で、フランス人の庭師。施設内に30体ほどある彫刻のほとんどは、オーストラリア人彫刻家がつくったイタリア彫刻のレプリカ。
ヨーロッパの金持ちは、ロトルアの温泉に浸かりながら、ゆったりと時には何ヶ月も滞在する。そしてそこに、観光ビジネスが生まれたわけだ。


周囲に温泉客を相手にした宿泊施設ができると、女たちはそこで観光客相手に食事を作ったり接客したりする。男は狩りから離れ、子守りをするようになると、男女の関係が逆転した、と。マオリ女性は強い。

今ではすっかり、マオリの人たちも文明の中で生活している。しかし、まだマオリの言葉は結構残っている。それは、伝説の口承であったり、歌であったり。

ツアーガイドのジョージーさんが、マオリ語の歌のレッスンがあるので「興味ある?」と聞かれたので「もちろん見たい」といったら、特別にツアーを中断して見せてくれた。二十人くらいが集まって、ギターに合わせてマオリ語で歌の練習。もちろん、歌詞はまったくわからないけど、そのリズムに聴き入った。

「原住民」の生活が破壊されるのは、どこも同じような理由。文明化というけど、それは西洋の文明が突然流れ込んできたのに過ぎない。昔から脈々と受け継がれてきた地元の文明とはことなる、新たな文明。

文明は、たいてい「銃」とともにやってくる。砲弾を浴びてたくさんの人達が亡くなると、そのパワーを手に入れようとみんなが銃を手に入れようとする。その代償として、土地や資源を差し出す。

マオリには、契約書の習慣がなかった。紙に書いてある文字なんて読めなかったし、署名の意味もわからない。マオリの人とイギリス人が取引をするときは、お互いが取引内容に合意した後、マオリから大きな木彫りの作品が贈られる。それを受け取ったら、取引が成立ということ。その贈り物が意味するのは、個人と個人の信頼関係。紙の署名よりも、もっと合理的だと思った。今の世界では通じないだろうけど。

世界大戦が始まり、温泉施設に来る観光客は激減した。戦後は、帰還した傷病兵の治療として温泉が使われたこともあったようだ。そのご、ナイトクラブとして二十年ほど営業したあと、現在は博物館として、建物の歴史と、マオリの歴史を伝えている。

 

*今回の旅行ではニュージーランド航空さんより航空券のみ提供をいただいています。