山に行くなら要チェック☆ 韓国で800万人動員の感動作『ヒマラヤ〜地上8,000メートルの絆〜』のモデル、伝説の登山家オム・ホンギルさんに会ってきた!

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[公開直前☆最新シネマ批評・インタビュー編]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかから、実話の映画化のモデルになった方を直撃インタビューします。

今回は韓国映画『ヒマラヤ 〜地上8,000メートルの絆〜』の主人公のモデルになった登山家のオム・ホンギルさんにインタビューしてきました。

エベレストに眠る仲間のために、命懸けの登山を決行したホンギルさんの実話をベースにした作品で、韓国では800万人を動員する超大ヒット映画です。

韓国の登山家の間で、ホンギルさんはレジェントとしてリスペクトされている存在。そんな伝説の登山家に、映画のことに加え、登山するときの心得なども伺ってきました。

【物語】

世界的な登山家のオム・ホンギル(ファン・ジョンミン)と、後輩の登山家パク・ムテク(チョンウ)の関係は、最初はあまりよいものではありませんでした。一緒に登山した際、無謀な行動をとり、凍死寸前になったムテクをホンギルは許さなかったのです。ところが、ムテクはホンギルを慕い、彼の後を追い続け、いつしかムテクはホンギルの愛弟子になっていました。

しかし、ホンギルが登山家を引退した後、ムテクが初めて隊長として臨んだエベレストで、彼と仲間二人は遭難してしまうのです!

ホンギルはかつての仲間たちを集め「ヒューマン遠征隊」を結成。遺体回収は難しいとされるなか、エベレスト山頂付近に眠る仲間を探すため、過酷な遠征に挑むことに……。

【映画は時間を超越してしまった!】


オム・ホンギルさんは1960年生まれですから、今年で56歳。でもフツーの50代じゃないですよ。胸板は厚く、鍛えられており、精悍でとても笑顔がチャーミングです。

そのホンギルさんに、ご自身が主人公の映画を見た感想を伺うと、深く深く感動したとおっしゃっていました。

「もう12年も前のことなのに、時間を超越して昨日のことのように思い出しました。

やはりムテクの遺体と対面するシーンは印象深いですね。あのとき彼はエベレストをめざしており、私はヤルンカンという山を目指していました。出発は一緒だったので、そのときが生きている彼との最後の対面だったのです」

ムテクさんたちが遭難したことを受け、“ヒューマン遠征隊”を結成して、ホンギルさんはエベレストに向かったんですよね。

「はい。ムテクたちが遭難して1年後のことでした。凍りついた彼を見たとき、私は“ 神様、夢か誠か! ” と。そしてムテクを抱きしめたとき、それはとても冷たくて、私の血も凍りついてしまいそうでした。

私は理性を抑えることができず、“ なぜお前はここにいるんだ。何でこんなことが起こるんだ。韓国に帰るべきだ、一緒に行こう、私が連れて帰るよ ”と言いながら泣きました。もう涙をこらえることができなかったんです」

ホンギルさんの言葉に映画のシーンが重なります。

山は美しく気高いけれど、同時に厳しく高い壁なのですね。その壁に跳ね返されてしまうこともあるのです。ムテクさんたちのように……。

【映画制作についてホンギルさんが一番心配したことは?】

『ヒマラヤ 〜地上8,000メートルの絆〜』の制作にも深くかかわったというホンギルさん。どのようなことで関わりを持ったのでしょうか?

「シナリオの監修と登山用語、山岳用語をわかりやすく説明したり、シナリオの中でこぼれていた詳細を拾って加えたりしました。演出は監督にお任せで、私は何も口をはさんでいませんが、ただ遺族の方のことが歪曲に描かれ、映画を見たときに傷つくことがないようにとは強くお願いしました。

また私がムテクさんたちの遺体を韓国に戻したいと行動に移したことについても、リアリティある表現をお願いしました。テレビ局にある記録映像を見たり、私の本も読んだりして、私の内面を理解してくださいと言いました」

真実をしっかり伝えてほしいと願いながら、映画制作を見守っていたホンギルさん。自身のことはもちろんですが、遺族への配慮を重要視するあたり、誠実な人柄が垣間見られます。

【山頂に登ることが登山の最終目的ではない】

人々は山頂に登ることが登山の目標だと思ってしまいますが、ホンギルさんは、頂上に行くことは目標じゃないし「山を征服した」なんて、とんでもないと語ります。

「人間が山を征服できるのであれば、自然災害は起こらないでしょう。大雪も猛暑もコントロールできるはずです。

私が登山に成功するのは、山に選ばれ、山が私を受け入れてくれたからです。だから山頂に立って“ 山を征服した ”なんて思いません。山頂に登ったときは、私は自分自身に勝ったと思います。限界を超えることができた、恐怖や挫折を乗り越えたことに感動や喜びがあるのです」

また山頂に到達しただけでは、登山が成功したとは言えないとも。

「山頂に達しても、ゆっくり景色を堪能する時間はありません。すぐに降ります。なぜなら自分に残された気力体力を使って安全地帯まで下山しないといけないからです。

ベースキャンプに戻って仲間と無事を喜びあって、自分が登った山を見上げる。そのときやっと100%の達成感を得るのです」

【ホンギルさんから、若い登山者へのアドバイス】

日本でも梅雨が明けると夏山シーズンを迎え、富士山や南アルプスなどが登山者に人気です。そこで、ホンギルさんに若い登山者へのアドバイスをお願いすると、とても大切な事を教えてくださいました。

「登山するとき、山や自然を愛する気持ちがあれば、登山の途中の眺めや草花などの自然を楽しむことができますし、ストレスも解消できます。また良い気を自然から与えられるでしょう。自然と順応しようと言う気持ちが沸きますから、環境保護の気持ちも芽生え、自然を荒らさないように、注意深く慎重に行動しようとします。それが安全にも繋がるのです。

でも人に連れられて興味がないのに登ったり、イヤイヤ登山したりすると、自然の美しさも見えませんし、早く降りたい気持ちが事故を誘発するでしょう」

なるほど。まずは山が好き、自然が好き、だから登りたいという気持ちが重要なんですね。流行っているから登るなんて、山をなめちゃいけません!

「あと、服装と装備は最重要! 登山用の服装をすることは、スポーツでその競技にあったユニフォームを着ることと一緒なんですよ。

また山は気候が変わりやすく、高度ほど気温が低いので、山の情報をしっかり学び、熟知してから登山してください。それから自分の体力を過信しないこと。それが安全に登山する上で大切なことです」

ホンギルさんのアドバイス、登山に興味のある人は、要チェックです!

登山家たちの人生&命懸けの友情を描いた韓国映画『ヒマラヤ 〜地上8,000メートルの絆〜』。今年の夏、登山予定のある人は、この映画を見て、山の厳しさや怖さと同時に美しさもしっかり心に刻んでから山に臨んでくださいね。

撮影(ホンギルさん特写)&取材・文=斎藤 香 (C) Pouch

『ヒマラヤ〜地上8,000メートルの絆〜』
(2016年7月30日より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー)
監督:イ・ソクフン
出演:ファン・ジョンミン、チョンウ、チョ・ソンハ、キム・イングォンほか
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