2016-2017シーズンインへ向けて軽井沢で行なわれていたフィギュアスケートシニア合宿。7月25日のメディア公開日の練習スケジュールは、A、B2グループに分かれた個人練習と、ステファン・ランビエール氏の指導によるスケーティングの全体練習、表現トレーニングなどが行なわれた。

 参加した選手のなかで、とりわけ意欲的なシーズンを迎えようとしているのが宇野昌磨だ。昨シーズンは初出場の世界選手権で納得いく演技ができず7位に終わり、悔し涙を流した。しかし、最終戦だったチームチャレンジカップでは「落ち込んだ気持ちのままシーズンを終わりたくない」と4回転フリップに挑戦し、ショートプログラム(SP)、フリーともに成功。いい形でシーズンを終えていた。

 その4回転フリップを、今シーズンはSPとフリーで入れる予定で、さらにSPでは4回転+3回転とトリプルアクセル、フリーでは4回転トーループを2回入れるジャンプ構成を予定しているという。

「フリップは最初の3本は絶対に失敗しますけど、体が動いてくると2回に1回くらいは成功するまでになっています。曲かけでも成功するまで続けて、両方とも1日に1回ずつはノーミスでできています。4回転フリップを入れた構成が当たり前になっているので苦にならないですし、今は『もしフリップを抜けばすごく楽だな』と思うくらいです」

 こう言って微笑む宇野のフリー『Buenos Aires Hora Ceru/Balada para un loco』は、すでにアイスショーで披露しており、「流れる曲を逃さないように表現しようと思っていますけど、とりあえずかっこよくしたいと思っています。だいぶマシになっていると思います」と自信をのぞかせた。

 それに比べると、宇野自身が「去年のアップテンポの曲とは違ってスローテンポのところがたくさんあるので、透き通るような表現で曲に溶け込めたら」と言う、SP『ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジア(映画『ラベンダーの咲く庭で』より)』は、まだジャンプを気にしている段階で「もう少し手応えが欲しい」という状態だ。

 それでも、アメリカでは、フリーのジャンプをすべて4回転にして通す練習もやり、体力が向上した実感もあるという。

「昨シーズンは大げさに言えば『これで失敗したら終わり』と思うくらいに気持ちが張り詰めていましたけど、今年は練習も試合もそこまで気持ちを張り詰めさせないで、楽しめるだけ楽しんでやりたい」と、宇野は笑顔を見せる。

 また、今シーズン、SP『フラメンコ』のステップで、床を叩く靴の音だけで踊る意欲的なプログラムに挑戦する無良崇人はこう話す。

「ショートの振り付けをマッシモ・スカリに頼んだのは、彼が他の選手に振り付けしているのを見て、音をひとつひとつ拾うのがうまいので、一緒にやってみたいという気持ちが強くなったから。最初は音を取るのが大変でしたが、回数を重ねるごとに次にどんな音が来るかわかるようになってきました。まだ詰めきれていないところもありますが、そこをしっかり直していけば、もっと印象に残るものになると思うので、そこを探求しています」

 無良のフリーはラフマニノフの『ピアノ協奏曲第2番』。「たくさんの選手が滑っている曲なので、そこで個性を出していくのが今シーズンの課題になると思います。それに加えて、フリーは前半に4回転サルコウを入れて4回転トーループを後半に入れる構成なので、そのジャンプをしっかり跳んで、チャーリー(・ホワイト)の(振り付けの)ステップや演技を表現できたらと思う」と、勝負への意識を高めている。

 一方、女子では3月の世界選手権で不本意な結果に終わった宮原知子が、フリー『スターウォーズ、惑星、ジュピター』のステップで、今までにない動きの滑りに挑戦。新たな世界を切り開こうとしている。SP『ワルツ』では、「音を取るのが難しいですが、元気で明るい溌剌としたプログラムなので、常に笑顔で滑るようにしています」と、上位進出を目指して調整を続けている。

「ショートは3回転+3回転をプログラムの後半に入れる構成にしているので、それは挑戦かなと思っています。ジャンプも去年よりいいジャンプが増えてきているので、本番でもいいジャンプを入れられるようにしたい。大きく動くことも課題ですけど、全体的にプログラムの迫力や勢い、スピードが必要だなと考えています。特にショートはスピードを意識したプログラムになっているので、そこはもう一段階上にいかなければと思っています」

 宮原もまた、新たな意欲を持ってシーズンへ臨もうとしている。山本草太や樋口新葉、村上佳菜子ら、上位を狙う選手たちも、今回の合宿で新たなシーズンへの準備を進めている。今シーズンも日本勢の活躍に期待したい。

折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi