『東京パフェ学』斧屋 文化出版局

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 最近じわじわと"パフェ熱"が上昇してきているのをご存知ですか。一口にパフェと言っても、高級フルーツショップで食べる「ご褒美的な非日常感」があるものから、ちょっとした喫茶店で安価に提供されている身近な存在のものまで、印象の振れ幅が大きい食べ物です。

 そんなパフェにスポットライトを当て、日々パフェの楽しさを多くの人に伝えるべく活動しているのは、本書の著者であり"パフェ評論家"として活躍している斧屋さん。

-パフェは食べ物ではありません。-という序文から始まる本書では斧屋さんの並々ならぬパフェ愛とともに、関東近郊の76店舗のパフェ屋さんが紹介されています。

 さて、斧屋さんが考える"パフェ"とは一体何なのでしょう。

「それは、エンターテインメントです。その美しさに魅せられ、その香りに酔い、その味に心躍らせる。サクサクの食感や音まで、すべての知覚を刺激し、全身的な快楽を与えてくれる嗜好品です」(本書より)

 さらに斧屋さんは本書のなかで、姉でありコラムニスト・漫画家の能町みね子さんとの対談の中でパフェとアイドルとの意外な共通点を語っています。

「フルーツパフェとアイドルは等価のもの...フルーツというものは食べられるために最適化されていて本来は生殖のためのものなのに種すらなかったりする...つまり生殖から切り離されてるのに性的魅力が出てる! そういう刹那性がアイドルと共通しているのです」

 そしてパフェの多くはアイスなど溶けるもので構成されているので限定的な時間芸術でもあり"生感"が楽しめる、とのこと。そこがライブというキーワードでアイドルとつながってくるといいます。

 しかしこんな風に考えると、なんだか小難しくてパフェの前でかしこまってしまいますよね。
本書の中では"フルーツパフェに注目する理由"としてこんな風にも書かれています。

「フルーツパーラーの職人の確かな目利きは、季節の果物の最もおいしいタイミングを見逃さない。そして果実そのままの姿だけでなく、コンポート、シャーベットやゼリーといったあらゆる最適化された形へと変化させ、絶妙に調和された美の総体として提供してくれる―中略―自分ではきれいなフルーツカットも、美しい盛りつけも上手にできないのだから、お店で食べるのが1番よいのである。果物についての、もっとも良き体験を出来る方法が、フルーツパフェなのだ」

 どうですか、こんな風に言われたら今すぐフルーツパフェを食べに行きたくなってきませんか?今の季節は、桃やマンゴーなどの南国フルーツのパフェが旬を迎えています。この 夏は本書を片手に"最上のフルーツ体験"をしに出かけましょう。