生まれ年度とHPV感染リスクの分析結果(画像は大阪大学リリースより)

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「子宮頸がん予防ワクチン」接種の勧奨(強い推奨)再開が1年遅れるごとに、特定の生まれ年度の女性が、「ヒトパピローマウイルス(HPV)」に感染するリスクが大きくなる可能性があるとする研究結果が、大阪大学大学院・医学系研究科(産科学婦人科学)の田中佑典医員と上田豊助教らの研究グループによって発表された。

子宮頸がんの原因となるHPVへの感染は、「子宮頸がん予防ワクチン」の接種により防ぐことができることがわかっており、日本では2013年4月から12〜16歳を対象に、国がワクチン接種を推奨する「定期接種」が始まった。

しかし、同年6月以降、副反応とされる痛みやけいれんなど、多様な症状を訴える例が確認され、厚生労働省によるワクチン接種の推奨は一時中止された。

ワクチン接種が禁止されているわけではなく、現在も接種はできるものの、特定の生まれ年度の女性の接種率はほぼ0となり、接種率に大きな差が生じている。

研究グループはワクチン接種率だけでなく、子宮がん検診受診率も日本は諸外国と比べて非常に低いため、将来の子宮頸がん発症リスク増加を懸念。1993年度から2008年度生まれの女性が、20歳になった時点でのHPV 感染リスクを算出。その影響を数値化した。

すると、2000〜2003年度生まれ(現在13〜16歳)の女性の感染リスクが突出して高くなり、推奨再開が2020年まで遅れた場合、感染リスクは他の生まれ年度の2倍以上となることがわかった。

ただし、今年度中に再開した場合、リスクは他の年度と同様のレベルまで抑えることができるとしており、研究グループはワクチン接種の勧奨再開をできるだけ早期に行うようコメントしている。

研究論文は、2016年6月29日に英医学誌「THE LANCET」の腫瘍学専門誌「The Lancet Oncology」オンライン版に掲載された。

参考文献
Outcomes for girls without HPV vaccination in Japan.
DOI: 10.1016/S1470-2045(16)00147-9 PMID:27396634

(Aging Style)