山中雅明さん。年齢は52歳。短髪のいかにもエネルギッシュな風貌で、年よりいくらか若く見える。


山中雅明さん。初対面の筆者に対しても、フレンドリーに取材に応じてくれた

知名度こそないが、この人も都知事選立候補者の一人だ。肩書は、「未来(みらい)創造経営実践党」党首である。

2016年7月23日午後2時過ぎ、新宿駅西口で、声を張って演説する山中さんの姿があった。驚いたのは、山中さんが立つ選挙カー。なんと、ライバル候補であるはずの山口敏夫・元労相の車なのである。


山口敏夫陣営から紹介を受ける山中さん

聞くと、ニコニコ生放送での選挙特番で共演した縁を頼りに、前日に「貸してほしい」とお願いしたところ、快くOKしてもらったのだとか。山口元労相は同様に、他の候補者たちに、自らの選挙カーを使わせている。ユニークな「共闘」だ。

「『どしちゃったの』って人が一番多いな」

山中さん、東京都民ではない。茨城県古河市に長年暮らしている。

元々の本業は税理士だ。20歳で試験にパス、全国最年少の記録だったという。過去には、地元の青年会議所(JC)の理事長も経験、いくつかの企業や団体のトップを兼務している。都知事選出馬を表明したとき、「古河市の市長選狙い?」と周りから言われたそうだが、確かに市長選なら有力候補になってもおかしくない経歴の持ち主である。

これまで政治経験はない。立候補の決意は、まさに突然だったという。各陣営の様子見が続き、なかなか立候補者が出そろう気配のなかった6月19日、舛添要一・前都知事の辞任4日後のことである。

周囲にも相当驚かれたそうだが(ご本人いわく「大騒ぎだよ、大騒ぎ」「『どしちゃったの』って人が一番多いな」)、その中からも仕事の付き合いがある人たちや、JCでの友人たちが手伝いを買って出てくれた。街頭演説の際にも、そろいの赤いシャツを着た男性たちが、通行人へのビラ撒きなどにあたる。


この日は直前に同会場で、桜井誠さんの選挙演説が。その効果もあってか、足を停めて話を聞く人も決して少なくなかった

演説の語りぶりは、いかにも真面目な印象だ。公約も、都政への民間人積極登用、「中小・零細企業都市観光支援課」「中小・零細企業未来創造経営支援課」などの設置による中小企業の活性化、シルバー人材や未利用遊休不動産の活用など、ビジネス目線を活かした堅実な内容である。

キャッチフレーズは、「声なき声を、大きな声で叫びたい!」「私達、未来(みらい)創造経営実践党は《ドン・キホーテ》となり、今立ち上がります」。

「自分の心は自分が決める。自分の姿は○○が決める」

ところで記者が気になっていたのは、「未来(みらい)創造経営実践党」という山中さんの率いる団体についてだ。選挙カーを下りた山中さんは、演説の時とはまた違ったざっくばらんな口調で教えてくれた。


小池百合子さんの「崖から...」に対抗し、自らは「ジャックと豆の木のように、天に上るつもりで」

「『未来創造経営実践』というのは、今年の1月に自分がスローガンとして作ったの。中小企業の経営者も、下請け体質にどっぷり浸かってるんじゃなくて、自分たちで未来を想像できるような思いで、前向きな思いで取り組みましょうという意味で。同じ名前のグループをLINEなんかで作ってたんだけど、(今回の出馬に合わせて)それで『党』作っちゃったの。でも、周りからはそういう全国組織があるのかと思われちゃったり、宗教法人と勘違いされちゃったりして(笑)」

興味深かったのは、座右の銘を尋ねた時のやり取りである。「不易流行」をまず挙げた山中さん、もう一つ、最近お気に入りだと語ったのが、

「『自分の心は自分が決める。自分の姿は○○が決める』――なんだと思う?」
「うーん。これも『自分』でしょうか」
「違うんだなー。『自分の姿は他人が決める』。うちの従業員にも言ってるんだよ。一生懸命やってる、自分がこういう思いでやってるって言ったって、社会に出たら、どれだけ頑張ったってそう見てもらえないと通じないでしょ?」

自分の心は自分が決める。自分の姿は他人が決める。この言葉、ご自身の創案だそうだ。