「熟成肉」と言うだけで値段は2割増。老舗はあえてアピールしないことも

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 なくてはならない飲食店。しかし、産地偽装、食品横流し、ブラックバイトetc…業界に対してネガティブなイメージを持っている人もいるだろう。そんな飲食業界の裏側を取材した。

◆熟成と言うだけで“2割増し”になる

 前回、「熟成」という言葉が独り歩きを始めてしまい危険な熟成肉が生まれるという話をしたが、フードジャーナリストの小口綾子さんも、熟成肉ブームの歪みを指摘する一人だ。

「熟成肉と銘打つだけで、2割増しの値段をつけられるのは、お店にとっては魅力です。また、お客さんの側も味の違いをそこまで知りませんから、騙されている人は多いんじゃないでしょうか。なにしろ、『当店は1か月間“冷凍”してたっぷり熟成させてますよ』と言ってお肉を出してくる焼き肉屋さんがあるくらいですから」

 熟成とは、肉に含まれる酵素や微生物の働きの結果だから、冷凍されていては熟成は進まない。この程度の肉知識で、熟成肉を謳っている店もあるのだ。

「赤身肉に対して効果的なアメリカ式のドライエイジングに対して、日本でも『枯らし』と呼ばれる熟成方法が昔からあります。脂の多い黒毛和牛の骨付きの枝肉を冷蔵庫に吊るしておくやり方です。ただ、そうした昔ながらの業者の中には、そうした当たり前のことをわざわざアピールしたくないからと、敢えて『熟成』を謳わないこともあります」

◆消費者への警鐘

 職人の矜持を感じさせるエピソードだが、彼らの良い仕事に報いるためにも、食する側の消費者は賢くなければならないと小口さんは言う。

「肉に限りませんが、みんな値段の安さばかりに目が向いて、自分の口に入れるものがニセモノかどうかに対して無頓着すぎます。初心者ほど、最初はちゃんとしたお店に行って、正しく熟成された肉の味を知るべきです。『いいものは高い』という当たり前のことを、私は強調したいですね」

―こんな店で食べたくない![飲食業界]の裏側【2】―