NYでは“空のリムジンバス”が一般向けの交通サービスとして成立しつつある

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ちょっと贅沢、とっても便利

あなたはニューヨークに在住、もしくは出張でこの街を訪れているとする。

今週は平日にニューヨークからボストンへ仕事で日帰り。または週末に近郊のビーチリゾートへの週末の小旅行を計画したとする。

このような場合には車や鉄道、せいぜいローカルの航空定期便が一般的なのだが、鉄道や航空機は常に混雑しているし、何より公共交通機関ではゆっくりできない。

駅や空港まで行くのも人混みをかいくぐって出かけねばならずこれがなかなかに辛いもの。

では自分だけの空間である自家用車ならいいかといえば、これもそういうわけにはいかない。

実はマンハッタンから東に向かうには高速道路を使うのが一般的なのだが、これが地元民の間では「東海岸で最も大きな駐車場」などと揶揄されるほど渋滞が酷い。

そしてこれはいうまでもなく富裕層であっても同様で、NYC近郊の小さな空港は定期便は少なく、日常の利用には不便だ。

そのような微妙な間隙をついたビジネスモデルが「ブレード(Blade)」。「空の乗り合いバス」とでもいうべきサービスだ。

日本で言うなら成田〜羽田のリムジンバス

ブレードは日本で言うなれば、成田と羽田を結ぶリムジンバスのようなものとお考えいただければわかりやすいだろう。

1)いくつかの主要拠点を結ぶだけで、路線バスのように市内を縦横に走っているわけではない。

2)内容は豪華で料金も通常のバスよりは高額ではあるものの、海外旅行からの帰りであればあまり苦にもならない金額で国内線への乗り換えを便利にしてくれる。

3)座席は指定なので、混雑してたって乗り続けるような苦労もない。

といった特徴がそのままヘリでの移動に投影されているのである。

そう、ブレードもそのビジネスモデルはあくまで自家用機などは持たない層の要望を具現化したもの。

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最高級品ではなく、「ちょっとだけ贅沢」なことが人気の秘訣だ。

普段はごく当たり前の生活をしていても、何かの記念日や特別な日には「このくらいならたまにはいいか」となるくらいのポイントを狙っているのである。

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そして今米国では、リーマンショックからようやく回復基調にある景気の好調を背景に、このような層を対象とするビジネスが大きく成長しつつある。

サービスの充実は日本的

何より特徴的なのは、一般庶民でもたまになら利用できる絶妙な金額設定だ。

例えば高級保養地であるハンプトンまでなら運行時期にもよるが概ね500ドル強。

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この設定価格は鉄道の料金が30ドル程度なことを考えれば高額に思えるが、緊急時にタクシーを使うことを考えれば無茶な価格ではない。

もちろんプライベート・ジェットのチャーターなどよりははるかに安く設定されており、これなら使ってみようかと考える層が増えるのもわかる。

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発着は全てマンハッタン中心部のヘリポートから。わざわざ空港まで行く必要はない。

目的地は近郊の主要な拠点や幾つかのリゾート地など、非常に的を射た数カ所を設定。

もちろん空港から遠方へ出発するビジネスマンのために、NYC近郊空港への便も設定されている。

BLADEさん(@flyblade)が投稿した動画 -

常に大渋滞のニューヨーク近郊の交通事情を鑑みれば、ストレスなく安全に目的地に到着できることは多忙なニューヨーカーには重要なこと。

費用対効果が適切であることが、公共交通機関の新たな選択肢として納得されているのである。

もう一つのポイントはそのサービスが至れり尽くせりなこと。

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便数は多く、また使用する機体はいずれも高級機で乗り心地も快適。

待合室なども高級な仕立てで、単なる交通機関ではないことを演出し、対象とする層からは高い評価を受けている。

乗り合いバスなので、もちろん機内には同乗者もいる。しかし座席は指定だし大人数ではないので移動の間もリラックスが可能。

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また貸切にも対応するほか、貸切の際に不要な座席が生じればブレード側がそれを販売代行してくれる為、実質的には全額負担の必要もない。

市内のメルセデスのディーラーと提携しており、悪天候などで飛行が不可能になった場合には高級車での送迎に切り替えられるなど、万全の対応策が取られている。

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単なる交通手段ではない

現代の新ビジネスということで、もちろんスマホからのリクエストにも対応している。

急にどこかに出向かなければならない時にも、その場から席を確保できる。

このようにブレードのサービスは非常にきめ細かく、どこか日本的だとも言えそうだ。

先にリムジンバスと記したが、それよりもよりプライベート感が強く、しかし比較的気楽に使えるしくみ作りは、なかなかに良いところを突いている。

つまりこのブレードのビジネスは単なる交通機関としてではなく、日々のストレスからの解放やリラックスできる時間の享受など、多様なサービスをうまく融合〜昇華させたものと言えそうだ。

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もしあなたがマンハッタンのイーストリバー沿いを散歩していると、ひっきりなしに飛び立っていくブレードの機体を目にすることだろう。

そう、もはやニューヨークではヘリでの移動は一部富裕層だけのものではなく、徐々に一般向けの交通サービスビジネスとして成立しつつあることがわかるはず。

ヘリ移動というのは日本ではまだやや敷居の高いビジネスなのかもしれない。

しかし「ちょっと高級な、さらに少人数向けのリムジンバス」なら日本でもビジネスの芽は見つけられえそうだ。

スパやビューティーサロンなどのリラクゼーション・ビジネスは日本でも当たり前となっている。多少のモディファイで日本での新ビジネスは十分可能だろう。

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