今季の海外女子メジャー第2戦、KPMG全米女子プロ選手権が6月9日(日本時間10日未明)、アメリカ・ワシントン州シアトル郊外のサハリーCCで開幕する。

 昨年から、男子の全米プロ選手権を主催するPGA・オブ・アメリカとの共催となった同大会。5つある女子メジャーの中でも、「素晴らしく、とてもメジャーらしくなった」と選手たちが評すほど、試合環境が整備され、大会そのものがかなりグレードアップされた。

 今年の開催コースとなるサハリーCCは、1998年に男子の全米プロが行なわれた舞台。その後も、2002年に世界選手権シリーズのNEC招待(現・ブリヂストン招待)が、2010年には全米シニアオープンが開催されるなど、過去にもビッグトーナメントの決戦の場となってきた。

 大きな杉の木でセパレートされた"ツリーライン"のコースは、全長6624ヤード、パー71。最終18番を含めて、400ヤードを超えるパー4が4つあり、飛距離と正確なショットが要求される、メジャーならではのタフなコース設定となっている。

 その過酷な舞台に挑む注目の日本勢は、米ツアーで戦う宮里藍(30歳)、宮里美香(26歳)、横峯さくら(30歳)、野村敏京(23歳)、上原彩子(32歳)の5選手。ここ数年の中では今回が、これら日本勢による待望のメジャー制覇が最も期待される。

 その一番手は、今季ツアー2勝と大きな飛躍を果たした野村だ。平均258ヤードの飛距離に加え、今年はパッティングが絶好調。平均パット数(28.88)はツアー4位と、圧巻の数字を誇っている。

 前週のショップライト・クラシック(6月3日〜5日/ニュージャージー州)でも優勝争いに加わって、最終的にはわずか1打及ばなかったものの、単独2位と奮闘。依然、好調を持続しているのも強みだ。

 野村自身、すでに2勝していることもあって、「今季の目標は、メジャー勝利。私、勝ちますよ」と、今大会に向けても自信を見せる。

 技術面のレベルアップに限らず、今季は精神面も成長。どんなときでもフラットな気持ちで戦えるメンタル面の強さが勝利へとつながっている。そして今回も、平常心で挑み、栄冠を目指す、と野村は言う。

「メジャーで勝ちたい気持ちは強いです。でも、メジャーも『普通の試合と一緒』と考えてプレーしたい。(コースは)ラフが深くて、距離が長くて(フェアウェーが)狭い。そして、グリーンが硬い。雨が降れば軟らかくなりそうですが、こういうタイトなコースは好きです。その分、楽しみですね」

 野村に続くのが、宮里美と横峯だ。前週のショップライト・クラシックでは、宮里美が6位、横峯が14位と、それぞれ今季の自己ベストでフィニッシュ。上り調子にあって、メジャーの舞台でさらなる活躍が見込まれる。

 前週の最終日に「64」をマークした宮里美は、「ようやくショットもパットもかみ合ってきた」と、自身のゴルフにも確かな手応えを感じている。メンタルコーチと話し合って、「結果ばかり考えないで、ゴルフを楽しくすること」を再確認。気持ちの充実を図ったことが、前週の好結果にもつながったという。その調子を維持して、今大会への自信ものぞかせる。宮里美が語る。

「先週やってきたことが、引き続きメジャーでもできれば、自ずと結果につながると思います」

 今季、不安定なショットに悩まされてきた横峯も、徐々に復調気配。持ち味となるキレのあるショットが頻繁に出始めて、メジャー戦にも意欲を見せる。

「メジャーでは、しっかりと耐えるゴルフがしたい。(復調してきた)ショットの冴えを(結果に)つなげていきたい」(横峯)

 また、メジャー制覇へ大きな期待が膨らむのが、パッティングの不調から脱却しつつある宮里藍だ。

 ここ数年、宮里藍はショートパットの不振にずっと悩まされ続けてきた。しかし今季、それがやっと回復の兆しを見せている。3月の起亜クラシック(3月24日〜27日/カリフォルニア州)、今季メジャー初戦のANAインスピレーション(3月31日〜4月3日/カリフォルニア州)、そして前週のショップライト・クラシックで、いずれも初日首位と好発進できたのは、その証(あかし)だ。

 もともとショットは抜群の安定感を誇る。そのうえで、かつての宮里藍らしい"爆発力"が戻ってきた。メジャー大会の緻密なセッティングでこそ、彼女のよさがより生かされるのは間違いない。

「ゴルフ自体は悪くありません。(1日でも)スコアが出るのは、あらゆる面がかみ合っている証拠。あとは、これが3日目、4日目と続けられるかどうか。とにかく、今大会もものすごく楽しみです」

 そう語って充実した表情を見せる宮里藍。メジャー制覇のチャンスは十分にある。

 とはいえ、そんな日本勢の前には世界屈指の"強豪"たちが立ちはだかる。その筆頭は、世界ランキング1位のリディア・コー(19歳/オーストラリア)。今季メジャー初戦のANAインスピレーションも制して、今大会でも断然の優勝候補に挙げられている。

 現在賞金ランク2位のアリヤ・ジュタヌガーン(20歳/タイ)も怖い存在。5月には3試合連続優勝を飾って、今最も勢いのある選手だ。

 そして、強者ぞろいの韓国勢も虎視眈々と上位を狙う。大会3連覇中の朴仁妃(パク・インビ/27歳)は左手の親指痛を抱えて微妙な状況にあるが、昨年の全米女子オープンに続くメジャー2勝目を狙うチョン・インジ(21歳)、賞金ランク4位の張ハナ(24歳)、同5位のキム・セヨン(23歳)ら、若手選手の躍進は必至だ。

 はたして、これらの"難敵"に日本勢はどこまで迫れるのか。注目の一戦がまもなく始まる。

武川玲子●文 text by Takekawa Reiko