隠さないほうが得?同性愛カミングアウトのメリット・デメリット

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鈴掛真の【ゲイだけど質問ある?】 vol.7

こんにちは、歌人の鈴掛真です。5・7・5・7・7の短歌の作家です。

知られたくない秘密を打ち明けることを『カミングアウト(coming out)』といいます。多くは、同性愛者であることを公言する意味として使われます。
今や理解が随分と深まり、隠さずに生活することを選ぶ人も増えてきています。
ところで、隠すことと隠さないこと、どちらが得だと思いますか?

詳しく知りたいけど、なかなか知る機会のない“同性愛”の話題。
【ゲイだけど質問ある?】では、オープンリー・ゲイの鈴掛真が、みなさんの気になる疑問・質問にお答えしていきます!

質問 【どうしてカミングアウトしようと思ったの?】

幼少期に同性愛者であることを自覚してから、大人になって企業へ就職しても、僕はまだそれを公にしていませんでした。というより「カミングアウトなんて絶対できない!」と思っていました。
これをカミングアウトに対して『クローゼット(Closeted)』といいます。

学校や会社などのコミュニティには、様々な価値観の人が混在しています。理解してくれる人がいても、「気持ち悪い」と思う人もいるかもしれない……。もし変な噂がたったら、そのコミュニティにいられなくなるかもしれない……。
同性愛を隠すことは「いつか周りにバレるかもしれない」という不安と戦う日々なんです。

カミングアウトはできない……でも、理解者はいてほしい!
中学の同級生の女子2人と、当時毎日のようにいっしょに遊んでいて、“異性だけど親友”と呼べる関係になりました。卒業する頃、生まれて初めてカミングアウトする相手を、その2人に決めました。
あれから15年経った今でも仲良しで、結婚式の友人代表スピーチを任されたほど!

そして、インターネットの発達は、クローゼットな同性愛者たちにとって革命的でした!
セクシュアル・マイノリティ同士で交流できるネットコミュニティが、WEB上にはたくさん存在していて、相談し合ったり、友達になったり、簡単にコミュニケーションできるようになりました。
「こうやって悩んでいるのは自分だけじゃないんだ!」と思えるようになったんです。

そんな中、ある疑問が。
「あれ? っていうか、そもそも隠す必要なんか無いんじゃね?」
隠す、ということは、自分を取り巻くコミュニティに自分が合わせる、ということですよね?
がんばってみんなに合わせたって、自分の本質は結局変わりません。
「そんなふうに他人に合わせて生きるのって、ぜんぜん幸せじゃない!」と気づいたんです。

25歳で会社員を退職して、半年後に作家デビューするタイミングで、カミングアウトすることを決心しました。

カミングアウトのメリット・デメリットは?


カミングアウトして良かったこと、それはなによりストレスが無くなったことです!
異性愛者のふりをして、バレるんじゃないかとビクビクして過ごすのは、大変なストレスでした。でもカミングアウトができたなら、そんな心配ともおさらば。悩みのない毎日は、心身ともに健康でいるためにとっても大切です。

それから、人との仲が深まったこと!
クローゼットだった頃は、人に本音で向き合っていない気持ちが毎日付きまとっていました。うわべの付き合いが基本になって、心を開けるのはクローゼット同士でしかなかったんです。
でも、『話せばわかる』とはよくいったものです。こっちから本音で向き合えば、たくさんの人が理解してくれることがわかったんです!
うちの母親なんかは、今や僕の本を親戚や友人に自慢して見せているんだとか……。息子がゲイって書いてあるのにイイんかぃ!?

対して、デメリットも確かにあります。
僕が最も悲しかったのは、クローゼット同士で仲良くしていた頃の友人が、ほとんど離れて行ってしまったことです……。
クローゼット同士は“セクシュアリティを隠すこと”を共通認識として絆が成り立っています。けれど、近しい友人だけにならまだしも、僕のようにメディアでカミングアウトしてしまうことは、そのコミュニティからの逸脱を意味します。
「いっしょに街を歩きたくない」と言われたことも! そんな事態を予測できていなかったので、とてもショックでした……。
けれど、それでも残ってくれた友人もいます。それこそ本当の“親友”なんだと、今では思えるようになりました。

それに、政治的、宗教的な意識の強い差別的な人が、近くにいるかもしれません。家族の縁を切られた、という悲劇を聞いたこともあります……。
家族に対してやってはいけないのが、仲たがいの最中に勢い余ってカミングアウトしてしまうこと。余計に仲をこじらせることになりかねません。カミングアウトの前には、関係を充分に良くしておくことが大切です。

そして当然のことながら、カミングアウトしてしまうと二度とクローゼットには戻れません。
理解が随分と深まったとはいえ、まだまだ珍しがられたり特別視されたり……。それが返ってストレスになるかもしれません。でも、クローゼットに後戻りすることはもうできないんです。
“例えあらゆるものを失っても正直に生きたい”という覚悟が必要です。

カミングアウトするのも、クローゼットを貫くのも、個人の自由。
自分にとって後悔しない選択をすることが大切だと思います。

質問、お待ちしています!

鈴掛真の【ゲイだけど質問ある?】第7回、いかがでしたか?
次回は、【女性にはまったく興味ないの?】という疑問にお答えしたいと思います。

みなさんからの質問も募集しています。
疑問やお悩みなど、気になるお話をお寄せください。
メッセージお待ちしています!

【今週の短歌】
なんとなく
自分を嫌いに
なってみた
けれどなんだか
違う気がした
 

【ゲイだけど質問ある?】 バックナンバー

●vol.6 【ゲイの息子を持つ親として大切なことは?】
●vol.5 【腐女子ってどう思う?】
●vol.4 【いつゲイだって自覚したの?】
●vol.3 【ゲイとオネエってなにが違うの?】
●vol.2 【そもそも同性愛ってどういうこと?】
●vol.1 【ほんとにゲイなの?】

鈴掛真プロフィール


鈴掛 真(すずかけ しん)歌人
愛知県春日井市出身。東京都在住。
著書に『好きと言えたらよかったのに。』(大和出版刊)がある。
雑誌『東京グラフィティ』で連載中。
Twitter・ブログでも短歌を随時発表中。

●Twitter http://twitter.com/suzukakeshin
●ブログ さえずり短歌
●オフィシャルWEBサイト http://suzukakeshin.com

Written by 鈴掛 真