第1話「生ハムサンド」

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 親が再婚して、突然姉妹、もしくは兄弟ができる。昔ほど離婚や再婚に抵抗を感じない人が増えている今、そういったことが起こってもおかしくはない。しかし、いざ自分が直面したらどうだろう? 特に一人っ子として生きてきた人間にとって、家に同年代の人間がいる状態、というのは戸惑うこともあるかもしれない。

 そんな、一人っ子だったのに突然姉妹ができてしまった2人を描いている『新米姉妹のふたりごはん』(柊ゆたか/KADOKAWA)という漫画がある。主人公でもある姉のサチは、明るく人懐っこい性格。しかし妹のあやりは、普段は人見知りで不愛想。サチは最初、無表情で冷たい印象のあやりに「嫌われてる?!」と不安を抱いていた。

 そんな2人を繋いでくれたのが、食べ物。実はあやりは、料理のこととなると一転してキラキラと輝く、料理をこよなく愛する女の子だったのだ。サチの父親の出張先から送られてきた生ハムやチーズ、サチが割りすぎてしまった卵などを次々に魅力的な料理へと変えていく。

 そんな2人が打ち解けるきっかけとなった料理があまりにも美味しそうだったので、実際にいくつか作ってみた。

第1話「生ハムサンド」

 まずは、初めて2人で食べたごはん、「生ハムサンド」。作中では、引っ越したばかりの家にサチの父から届いた生ハムの原木をあやりがスライスし、サチが買ってきたバケットに挟んで食べる。

 引っ越したばかりで他の食材がなく、バケットにスライスした生ハムを挟んだだけというシンプルなものだが、2人ともとても幸せそう。実際、生ハムとバケットの組み合わせは最強。もちろん、レタスやトマトを一緒に挟むとより美味しく食べられるが、今回は2人を繋いだ味そのままにしてみた。

第2話「たまごふわふわ」

 2つめは、2話に出てくる「たまごふわふわ」。あやりが持っていた料理道具の1つ「エッグカッター」にはまったサチは、それを使って卵を4つも割ってしまった。「どうしようこれ…」と聞かれたあやりは、この「たまごふわふわ」を作ることにした。

 作り方は、シイタケ、昆布、鰹節で作っただし汁200cc、塩、薄口醤油ですまし汁を作り、土鍋にすまし汁180ccを入れて蓋をして火にかける。卵を卵黄と卵白に分け、卵黄の方にすまし汁20cc、みりんを入れて混ぜる。卵白をハンドミキサーで泡立ててから、卵黄を加えて混ぜる。すまし汁が沸騰したら火を止め、卵を一気に入れて蓋をして蒸らせば完成。

 今回は土鍋がなかったのでフライパンで作ってみたが、問題なく作れた。フライパンは土鍋ほど保温効果がないので、ごくごく弱火のまま蓋をして蒸らしてみた。

 ふわっと泡立った部分と、つるつるとろとろの下層部分で食感が異なり、味だけでなく食感も楽しめる一品。口の中で溶けて、卵と出汁の風味が広がる。

第3話「ねぎソーセージ」

 3つめは、サチとあやりが初めて2人で作った料理「ねぎソーセージ」。この回までサチは食べる専門だったが、あやりから「今日の晩ご飯、よかったら一緒に作りたい…です」とお誘いが。サチは「頼られてるー!!」と大喜び。一緒に作ることとなった。

 作り方は、豚肉をフードプロセッサーでひき肉にし、塩コショウ、セージ、ナツメグ、ガーリック、パプリカパウダーを加え、脂が溶けないように氷せんにかけながらこねて冷蔵庫で1時間ほど冷やす。長ねぎをさっと茹で、中を押し出して筒状にし、片方をタコ糸で縛り、中に肉を詰める。もう片方も縛ってラップで包み、85度のお湯で15分ほど加熱したら、ラップを外してフライパンで焼き目をつけて出来上がり。あやりとサチはソーセージスタッファーで肉を詰めていたが、高いので絞り袋で代用した。

 焦げ目のついたねぎの香ばしさと豚肉の旨み、ハーブの香りが絶妙。普通のソーセージとはまた違う美味しさがあった。サチもあやりも、ねぎソーセージの出来栄えに大満足。2人の距離も、1話とは見違えるほどに縮まった。

 毎日欠かせない「食事」、そして「料理」が2人の心を溶かし、2人を繋いでいく光景に心癒される、この『新米姉妹のふたりごはん』。本書のように新しく妹ができることはなくても、友達や家族、恋人とケンカした時や距離を縮めたい時、美味しい料理が力を貸してくれるかもしれない。美味しいものを共有する、というのは、それだけ強い力を秘めているのだ。

文=月乃雫