今や成熟市場になりつつあるコーヒー業界。新規顧客の開拓が難しい状況下で、長期的に足を運んでくれる常連客をつくるにはどうすればいいのでしょうか。その一例として、無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』の著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんが、スターバックスが定期的に行っているあるイベントを紹介しています。

スターバックスが長期的に儲けている仕組みとは

とある「スターバックス」の店舗でのことです。その店舗のボードには、「あなたの好きなコーヒーは?」と題した、利用客の投票によるランキングを掲示していました。

ボードにはコーヒーの種類がいくつか列挙してあり、利用客は好きなコーヒーの欄にシールを貼ることで投票することができるようになっています。貼ってあるシールの数により、人気があるコーヒーを知ることができます。

ボードには、「ケニア」「パイクプレイス ロースト」「エチオピア」「コロンビア」「スマトラ」「コモド ドラゴン ブレンド」「カフェ ベロナ」などが候補として挙げられていました。

「ランキング」は、利用客の注目を集めることができます。利用客は、他の人がどの商品が好きなのかを知りたいと思うものです。また、自分が選んでいる商品は人気があるのかを知りたいと思うものです。

投票型のランキングで顧客を巻き込んでいる

先ほどのスターバックスのランキングでは、利用客が「投票」できるところに更なる面白さがあります。「顧客参加型」となっています。店側が提示するランキングでも興味深いものですが、利用客による投票とすることで結果への信頼感がより増すことになり、興味深さもより増幅します。投票行為により利用客と店の間に双方向コミュニケーションが発生し、緩やかながらも、両者には絆が生まれます。

ちなみに、ランキング1位は「カフェ ベロナ」でした。19枚のシールが貼られていました。「カフェ ベロナ」がどのようなコーヒーなのかが気になったので調べてみました。ダークココアのような口あたりで、豊かな味わいが特徴のようです。ランキングには、このように商品に興味を持つ顧客が増えるという効果があります。ランキングには宣伝効果もあるのです。

それにしても、スターバックスは双方向コミュニケーションが上手な企業だとつくづく感じます。顧客に対する一方的なコミュニケーションを行うのではなく、顧客からのコミュニケーションを受け取ることも積極的に行っています。コミュニケーションが双方向なのです。そして、今の時代は「顧客参加型」が双方向コミュニケーションのカギとなります。

スタバは顧客参加型のイベントを数多く実施している

スターバックスは顧客参加型のイベントを積極的に開催しています。地域の人々が参加する「コミュニティ コネクション」を2007年から行っています。テイスティングパーティーやキッズパーティーなど、年間5,000件を超える様々な活動を行っています。

この夏には、高校生が企画するプログラム「Youth Connection @ STARBUCKS」が行われます。高校生がイベントを自ら企画して開催する4日間のプログラムです。2〜4名の高校生が1つのチームとなり、スターバックスがサポートし、自由な発想で地域を明るくするプログラムをつくります。全国のスターバックスで実施されます。

このプログラムへの参加費用は無料です。スターバックスがイベント開催の費用を負担します。このイベントで収益が見込めるわけではありません。短期的には費用損失が大きくメリットがないようにも思えます。それでもなぜ、スターバックスはこうしたイベントを開催するのでしょうか。

こうした顧客参加型のイベントは顧客との関係性を強化する働きがあります。参加した人はスターバックスを好きになり「ファン」になります。ファンになった顧客は長期に渡ってスターバックスを利用するようになります。生涯に渡ってもたらされる利益は、イベント開催のコストを上回ることになるでしょう。長期的には利益はプラスになると見込んでいるのです。

顧客生涯価値の視点でビジネスを見ることが重要

スターバックスは「顧客生涯価値」の観点からビジネスを行っているといえます。顧客生涯価値とは、一人の顧客が生涯に渡って企業にもたらした価値の合計のことです。短期的ではなく、中長期的に利益を追い求めていくという考え方となります。

顧客参加型の双方向コミュニケーションは手間と費用がかかります。短期的には成果を生み出すことができません。そのため、なかなか手を出しづらいものがあります。しかし、新規顧客の開拓が難しい成熟市場においては、顧客参加型の双方向コミュニケーションを積極的に行っていく必要があるといえるでしょう。既存顧客との関係性の強化に重点を置くことで、長期的には利益を確保することができるからです。

市場の成熟化が進展している今の時代は、「顧客生涯価値」の観点を忘れてビジネスを行ってはならないといえます。スターバックスでの事例から、そのことがよく理解できると思うのです。

image by: Flickr

 

『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』

著者/佐藤昌司

東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。

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出典元:まぐまぐニュース!