マレーシアとシンガポールを結ぶ高速鉄道の建設に向け、両政府は19日に覚書を交わした。2026年の開業を目指し、17年にも入札が行われる見通しの同プロジェクトについて、中国メディアの一財網は26日、日本や中国をはじめとする国による争奪戦が始まったと報じた。

 記事は日本側の動きを中心に伝えており、中国がマレーシアとシンガポールを結ぶ高速鉄道プロジェクトにおいて、いかに日本を意識しているかがよく分かる内容となっている。石井啓一国土交通相が22日にシンガポールで開かれたシンポジウムに出席しことにふれ、「新幹線がいかに日本に貢献してきたか」を強調したと伝えつつ、日本が積極的にトップセールスを展開していることを伝えた。

 一方、中国は自国の影響力拡大に向けた「一帯一路」構想のもと、アジアや欧州にインフラ設備の輸出を強化しており、東南アジアと雲南省を高速鉄道で結ぶ計画も推進している。マレーシアとシンガポールを結ぶ高速鉄道路線に中国高速鉄道の規格を採用させることができれば「一帯一路」構想の実現に向けて大きな弾みとなるだろう。

 記事は、中国企業はすでにクアラルンプールの高速鉄道始発駅とされる地域に20億ドルの投資を行っていると伝えつつ、国家の主導のもと「資金力」による攻勢をかけていると紹介。マレーシアの国営投資会社が保有していた「資金繰りが難しかった資産」を市場価格を上回る価格で買収したと伝え、「中国は買収を通じてマレーシアのナジブ政権を救済した恩がある」などと報じた。

 インドネシア・ジャワ島の高速鉄道計画で、中国が受注に向けて「インドネシア政府の財政的な負担を求めない」という破格の条件を提示したのは、日本が競争相手だったということもあるだろうが、「一帯一路」構想の実現に向けての布石だったとも考えられる。マレーシアとシンガポールを結ぶ高速鉄道路線は、場合によってはそのままタイやラオス、ひいては中国とも連結される可能性がある路線であるため、中国は受注に向けて改めて破格の条件を提示する可能性があるだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)Ping Han/123RF.COM)