マウスから人の視神経が作れる時代に(国立成育医療研究センタープレスリリースより)

写真拡大

国立成育医療研究センター病院、東範行眼科医長の研究チームは、マウスのES細胞およびiPS細胞から、人の「視神経細胞(網膜神経節細胞)」を作製することに世界で初めて成功したと発表した。

作製に成功した網膜神経節細胞は、目の網膜と脳をつなぐ「神経線維」とともに視神経を構成する重要な細胞。

緑内障など失明に至る場合もある目の疾患の病態解明や薬剤効果の確認のためには、実物の視神経細胞が必要となるが、動物の網膜から培養したものは未熟で利用が難しく、人から採取することは不可能で、視神経疾患の研究は、これまで十分に行われていなかったという。

同研究チームは、2015年に人の皮膚から取られたiPS細胞を、遺伝子操作などはおこなわず、培養条件を調整するだけで、人の視神経細胞として分化することに成功している。今回は、この技術を人以外のiPS細胞にも応用できるか確認するため、マウスのiPS細胞とES細胞を利用し、培養した。

その結果、構造、機能ともに十分に成熟した人の網膜神経節細胞の作製に成功。詳しく確認したところ、視神経細胞に特有な構造やたんぱく質をすべて持ち、神経として電気反応も示しているという。

また、これにより、この視神経細胞作製法が動物や多能性幹細胞の種類を超えた、普遍的な技術であると確認されたことになるとしている。

研究チームは、今回作製した視神経細胞や、これまでに人のiPS細胞から作製した視神経細胞を合わせて、疾患の研究や薬の効果判定に利用する研究をすでに進めており、その研究成果もまもなく発表できる予定だとコメントしている。

発表は、2016年5月16日、英科学 誌 Nature 系列の遺伝学専門誌「nature genetics」オンライン版に掲載された。

参考文献
SAMD9 mutations cause a novel multisystem disorder, MIRAGE syndrome, and are associated with loss of chromosome 7.
DOI: 10.1038/ng.3569 PMID:27182967

(Aging Style)