デフレからの完全脱却を目指して安倍晋三首相が掲げた「アベノミクス」により、急速な円安が進むなどの変化が生じた。一方で、その評価に対しては賛否が大きく分かれている状況だ。中国メディア・新華網は25日、「『アベノミクス』は日本に何をもたらしたか」とする評論記事を掲載した。(写真は、安倍晋三首相、提供:(C)Mykhaylo Palinchak/123RF)

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 デフレからの完全脱却を目指して安倍晋三首相が掲げた「アベノミクス」により、急速な円安が進むなどの変化が生じた。一方で、その評価に対しては賛否が大きく分かれている状況だ。中国メディア・新華網は25日、「『アベノミクス』は日本に何をもたらしたか」とする評論記事を掲載した。

 記事は、金融緩和、財政刺激、構造改革という「三本の矢」を組み合わせてデフレ脱却を図った「アベノミクス」が昨年9月に第2段階に入り、社会保障の充実に改革の重点が置かれるようになったと紹介。しかしその成果は思わしくなく、「完全にデフレを脱したとは言い難い」と評したうえで、今後日本経済が直面するリスクについて論じた。

 まずは、財政再建の問題だ。その根源になっている高齢化社会への対策が不可避であり、「老齢年金制度の調整など、社会保障分野の徹底的な改革を行わなければ、財政再建は夢に終わる」とした。続いて、日本銀行による緩和政策頼みというアンバランスな構造の改革を挙げた。緩和政策は確かに円安や株価上昇を導いたが、その効果には限界があり、なおかつ副作用も出始めていると指摘。「三本の矢」をバランスよく運用するための速やかな調整が必要だと論じている。

 また、改革をどう着地させるかも難題であるとした。社会保障の充実という方向性は正しいものの、目標に対して極めて厳しい現実があると説明し、規制緩和・税制改革といった構造改革、より効果的なリソースの配置によって生産効率向上、技術革新を導いて経済成長率を引き上げることが「デフレを脱却する最良の道筋だ」と説いた。そして最後に、世界における原油価格の変動、経済危機、政情不安といった外的な要因にも対応を迫られると指摘。「自分勝手な措置は、日本の経済政策において大きなタブーであると言える」と説明した。

 一時期1ドル=120円まで進んだ円安が、110円程度まで戻し、英国のEU離脱国民投票後には瞬間的に100円を切るところまで行くほどの円高に。まさに外的な要因による影響の大きさを示す形となった。日本国民が恩恵を実感しにくい状況が続く中、「アベノミクス」の恩恵を一番に感じたのは、円安によって日本製品の割安感が増した「爆買い中国人観光客」たちだったのかもしれない。(編集担当:今関忠馬)(写真は、安倍晋三首相、提供:(C)Mykhaylo Palinchak/123RF)