【インタビュー】動画広告の新たなスタンダードを目指す――オプトが仕掛ける「インタラクティブ動画広告」の真価とは

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高度化する市場のニーズに応えるために

編集部:御社では業界に先駆けて「動画」に取り組まれていますが、どのような戦略があったのでしょうか?

松田氏:動画の組織を立ち上げたのは2012年頃です。これから動画が伸びていくことは米国の市場を見ても明らかでしたので、成長市場に早くから取り組み、先行優位性を持って市場で高い価値を提供したいという考えから、動画専門組織の立ち上げを会社に提案しました。
当時はテレビCMをそのままオンライン動画として流用することが多く、オンライン動画の本来のあるべき姿や、活用方法まで踏み込んで考えている企業はまだありませんでした。そこでクリエイティブのあり方や効果分析の方法などについて研究する専門組織を作り、提案から運用、分析、クリエイティブ制作までを一気通貫させることでノウハウを早期に蓄積し、お客さまに提供していくことを目指して取り組んできました。

そして昨今はソーシャルメディアの台頭や、コンテンツマーケティングのニーズの高まりなど、いかにデジタルを起点にブランドコミュニケーションを展開していくかが求められるようになりました。その中でもオンライン動画広告というのは、高い表現力を持ち、かつリーチもとれて拡散性もありますので、デジタル起点のブランドコミュニケーションの核となる存在であると考えています。

編集部:動画に取り組まれておよそ4年が経っていますが、市場や広告主の変化を感じるところはありますか?

松田氏:まず、期待の大きさが変わりましたね。当初は100万円や50万円というテスト出稿規模でご相談をいただいていましたが、現在は数億円規模のご相談をいただくこともあります。デジタル起点のブランドコミュニケーションというものに本腰を入れて取り組まれる企業さまが増えたなと感じています。

そして質の面で見ると、かつてはテレビCMを活用したクリエイティブが前提だったのですが、オンライン動画用に制作することが当たり前になってきました。そして、どのような目的でどのような動画を作って、全体のプランニングをどのようにするかまでを求められる状況に変わってきています。
以前は動画だけ提案して欲しいというご要望を多く頂いていましたが、今ではソーシャルメディアやPR領域と連動させ、デジタルを起点のコミュニケーションの総合提案がほしいというニーズに変化してきています。

編集部:動画広告市場は今後も伸びると予想されていますが、より活発化させていくためには何が必要でしょうか?

松田氏:やはり一番に挙がってくるのは効果の可視化の部分です。どのくらいのブランドリフト効果があるのか、リーチやフリークエンシーをいかに最適化するか、といったことに関して、現状かなり進んできていると思います。しかし、どれだけ売上につながっているのか、という点においてはまだ到達できていない部分もありますので、今後も突き詰めていきたいと思っています。

編集部:そこが見えないと、企業もさらに一歩踏み込むことができませんね。

松田氏:そこは動画だけで完結させるものではないと考えています。動画は認知や共感させるといった点では高い価値を発揮しますし、購買のタイミングでもハウツー動画の提供などあらゆる活用はできます。しかしそれだけではなく、その途中でバナー広告やリターゲティング、コンテンツマーケティング、ないしは実際に購入した方にシェアしてもらうなどをトータルで展開し、それを統合的に分析することで初めて、全体の効果を可視化できるものだと考えています。その領域まで総合的にサービスを提供していくことが我々の使命だと考えています。

インタラクティブ動画広告という新たなアプローチ

編集部:続いて、インタラクティブ動画広告についてお伺いしたいと思います。
今、テクノロジーが発展したことで、360度動画やライブ配信動画など、動画のフォーマットも多様化していますが、御社が今回インタラクティブ動画広告にフォーカスした理由をお聞かせください。

澤渡氏:私は広告商品や動画マーケティングに関連するサービスの開発を担当しているのですが、movieTIMESの「動画マーケティング白書」でも取り上げていた通り、最近360度動画やインタラクティブ動画など新たな動画手法が注目されています。3、4年前に動画広告が盛り上がり始めて、YouTubeの動画広告が定着した今、次の新しいアプローチ方法として注目されています。その中で、インタラクティブ動画広告は比較的早い時期から技術が発展しており、さらに、これまでの延長線上で取り組みやすいフォーマットだと言えます。

またディスプレイ広告でもそうでしたが、広告クリエイティブはどんどんリッチ化していく形で発展していきます。動画広告の場合、VPAID(編集部注:動画広告に関する共通フォーマットのひとつ)という技術を使ったインタラクティブ動画広告に進化するだろうと考え、いち早く海外のツールベンダーと連携してスタートさせたという経緯があります。

編集部:一般論として、インタラクティブ動画広告のメリットはどういうところにありますか?

澤渡氏:メリットとしては、大きく3つあると考えています。
一つ目は表現の自由度の高さです。動画の中から直接SNSのシェアができたり、動画を複数視聴できたり、任意の場所に複数リンクを貼ることできます。
二つ目はエンゲージメントの高さです。インタラクティブという性質により、視聴者とのさまざまなコミュニケーションが可能です。
そして三つ目が効果検証がしやすいことです。インタラクティブ動画広告では、複数のクリエイティブやコンテンツを一つの動画の中で配信することができるので、その中でユーザーがどこに興味を持って、どこをクリックしたのか、といったデータを元に細かな効果検証がしやすいというメリットもあります。

編集部:その中で、御社ならではの強みとはどのような点でしょうか?

澤渡氏:インタラクティブ動画広告については、オプトグループのスキルアップ・ビデオテクノロジーズ株式会社とともに製販一体の体制で取り組んでおり、商品開発スピードが速いという強みがあります。最近では、HTML5にも対応させたことで、インストリーム以外での配信やモバイルでの配信が可能になりました。他社のインタラクティブ動画サービスでは、ソーシャルシェアボタンを付けるだけのものもありますが、弊社ではソーシャルシェアボタンの設置以外にもさまざまなリンクを付けたり、クリエイティブを加えるなどの提案も可能です。
早くからインタラクティブ動画広告に取り組んできたことでノウハウもたまっていますので、広告主のニーズや市場の変化に素早く対応できていると思います。

編集部:商品開発については、今後も機能強化をしていくのですか?

澤渡氏:そうですね、ようやく土壌が整った状態ですので、今後はクリエイティブをどう見せていくかに注力していきます。一方で機能面に関しても、これまでモバイルでは自由な表現が難しかったのですが、複数の動画や静止画を載せられるようにしたり、シェアボタンを追加したり、Googleマップの掲載を可能にしたりなど、細かい機能強化を進めています。

▽ インタラクティブ動画広告のデモ版

▽ スマートフォン上で再生した際の挙動(キャプチャ)

編集部:現在の配信面はどのような状況でしょうか?

澤渡氏:スキルアップ・ビデオテクノロジーズさんが運営しているULIZAがVPAIDに対応していますので、現在の配信はULIZAが中心になっています。ULIZAのアドネットワークには大手ポータルサイトや大手メディアも含まれています。
実はインタラクティブ動画広告に着目したもうひとつの理由がここにあります。スキルアップ・ビデオテクノロジーズさんと一緒に動画広告市場を牽引していく中で、どのようにULIZAの広告商品としての価値を高めるかを検討したとき、YouTubeやニコニコ動画など大量の動画広告枠を持っているメディアがVPAIDに対応していないという事に気が付きました。それに対しULIZAはVPAIDに対応していたので、差別化としてインタラクティブ動画広告を始めましょうということになりました。

編集部:海外ではFacebook上で配信できるインタラクティブ動画広告も開発されています。

澤渡氏:今はまだβ版のテスト段階だと思いますが、まずはオプトグループとして、技術開発やリレーションづくりを進めていきたいと考えています。Facebookでの配信が可能になれば、配信面がかなり広がりますが、その新しい配信面に対して、弊社で蓄積しているノウハウを生かせることは大きな強みになると思っています。

編集部:これまでどのような企業がインタラクティブ動画広告を活用されてきましたか?

澤渡氏:自動車、旅行、メーカー、コスメ、金融、不動産、エンタメ系など、幅広い業種の企業さまに使っていただいています。

編集部:インタラクティブ動画広告を使う目的としてはブランディングとダイレクトレスポンスのどちらが多いのでしょうか?

澤渡氏:多くの企業さまは、インタラクティブ動画広告をブランディングを目的に活用されています。弊社へのご依頼もブランドコミュニケーションを中心としたブランディングでの活用が多いですが、ダイレクトレスポンスとしての活用も一部あります。表現の自由度が高いので、どちらにも適応させることができると思います。

編集部:クリエイティブのコツや成功パターンはあったりするのでしょうか?

澤渡氏:目的によって異なりますが、例えばダイレクトレスポンス目的では、資料請求など遷移先のボタンを動画再生中に大きく見せるなど、従来のバナー広告に近い考え方になると思います。
また、ひとつのインタラクティブ動画広告の中に複数の動画を載せた場合、どのコンテンツに視聴者がもっとも興味を持ったかが分かりますので、それに基づいてクリエイティブのPDCAを回すこともできたりします。例えば映画配給会社さんが1カ月のキャンペーンを行う場合、最初の1週間はインタラクティブ動画広告の中で複数の予告編動画を見せて、クリックが多かったものを後半のキャンペーンで集中させることなども可能です。
あるいは、クイズのような形で視聴者により能動的にインタラクションさせることもできます。

編集部:広告をひとつのコンテンツとしていろいろ楽しめるのですね。具体的に効果が出た事例はありますか?

澤渡氏:インタラクティブ動画広告からサイトに遷移したあとのページ閲覧数が、通常の動画の2倍になったという事例も出ています。動画広告で視聴者の関心を高めることで、遷移後も興味を持っていろいろなページを見ていただけるのだと思います。
またインタラクティブ動画広告と通常の動画広告をインスクロール面に同時出稿して検証したケースでは、インタラクティブ動画広告の方が視聴率(15秒視聴率)が約2倍になるという事例もありました。動画に付加情報を持たせることで、動画に対する理解が深まりやすいと考えられます。視聴者によっては、動画の冒頭で興味が持てず離脱してしまう場合もあると思いますが、そのようなケースでも、動画でアテンションを引きながら、文字やリンクで情報を補足することで、視聴を維持させることができるのではないでしょうか。

編集部:敢えてお聞きしますが、インタラクティブ動画広告のデメリット、弱い部分はありますか?

澤渡氏:広告効果の面ではデメリットは特にないですが、注意点がいくつかあります。例えば、インタラクションボタンを設置することで、サイトへの遷移率は高まる一方、動画自体の視聴は途中で切れてしまいますので、視聴率が数値の面が下がることもあります。ただ、動画の再生自体は止まっても、インタラクティブ動画広告の中で視聴者がさまざまなコンテンツに接触する全体時間(エンゲージメント時間)が長くなることもありますので、本質的なデメリットにはなりません。
また、視聴者はサイトに遷移せずに、一つの画面でさまざまな情報を得ることができる反面、情報量が多く通信容量も多くなるため、画面に負荷がかかりやすくなってしまいます。そこについてはスキルアップ・ビデオテクノロジーズさんの配信技術で、1〜3M程度のサイズに抑えて配信できます。海外では50Mで配信されたこともあるようですが、視聴者にかかる負荷も技術力でカバーしています。

編集部:まだ新しいフォーマットですし、特に初めて取り組まれる企業にとってはクリエイティブの企画や設計も難しそうですね。

澤渡氏:PCベースの場合、プレイヤーサイズが大きいので、表現の自由度がさらに高くなります。自由度が高い分、選択肢も多く、悩まれる部分も多くなります。
弊社ではさまざまなクリエイティブをご提案できるのですが、現在はLPなどの既にある素材を活用して、配置を変えて組み合わせたり少しデザインを変えたりして制作される企業さまが多いです。

編集部:今後、インタラクティブ動画広告市場を拡大するためにやっていきたいこと、考えていることはありますか?

澤渡氏:1回の施策で終わっては勿体ないと思いますので、継続的に実施していただけるように、効果検証の面をさらに充実させていきたいと考えています。
また、クライアントのキャンペーンやマーケティング全体を鑑みて、どのタイミングでインタラクティブ動画広告を活用するともっとも効果的かを突き詰めた提案も行っていきたいと思っています。

松田氏:動画をただ見るだけではなくて、インタラクティブでもっと自由な視聴体験をしてもらいたい、というのが根本にあります。ユーザーのニーズに合ったコンテンツを届け、豊かな視聴体験につなげていきたい。我々はそのためのノウハウを今積み上げています。さらにデータとの連携が進んで、コンテンツが最適化されていくと、もっと面白くなるのではないかと思います。

編集部:インタラクティブ動画広告が本格的に広く普及するのはいつ頃だと見ていますか?

松田氏:来年にはインタラクティブ動画の大きな波が来ることを期待しています。実際、企業さまからの反響もよく、「ぜひ」という形で取り組んでいただいています。
インタラクティブ動画広告は決してボリュームで勝負するものではなく、コンテンツをより深く楽しんでもらうものですので、企業規模を問わず取り組みやすいと思います。

編集部:それでは最後に御社の今後の展望をお聞かせください。

松田氏:デジタルのフルサービスを持つ広告会社として、デジタル時代のブランドコミュニケーションを我々が作っていきたいという考えがあります。その中でも動画広告はコミュニケーションの核となる存在です。そこにあるべきメディアとは何か、そこにクリエイティブがどうあるべきなのか、それをいかに活用し、可視化されるべきなのか、というすべてにおいて強みを持ち、業界の中でもっとも高いレベルのソリューションを提供し続けていきたいと思っています。