「植物と暮らす、都心マンションの小さなオアシス」みんなの部屋(新宿区)

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人気連載「みんなの部屋」vol.27。部屋づくりのアイデア、お気に入りの家具やアイテムなどの紹介を通して、リアルでさまざまな「暮らしの在り方」にフォーカスします。


オフィスや飲食店が立ち並ぶ新宿区の大通りからほど近くのモダンなマンション。リビングに待ち受けていたのは、みずみずしく茂る壁一面のグリーンでした。

住人の久保寛人さんはインテリア関係の仕事がら植物との接点が多く、気づけば植物を好きになり買い集めていたといいます。いまではトータル100種類を超えるほどの、植物が主役の住まい。カジュアルに植物と向き合う久保さんの部屋には、ゆったり透き通った時間が流れていました。



名前:久保寛人さん
職業:Insideout ltd.代表 (インテリア事業)
場所:東京都新宿区
面積:1LDK メゾネット 40平米
家賃:非公開
築年数:15年


お気に入りの場所



窓とベランダ




窓一面に広がる植物たち。奥行き1メートル未満のベランダだが、壁と手すりを活用しているため、視覚的に広く感じる。日当たりや成長具合を考慮して多少ずらしたりはするものの、基本的にはランダムに配置。

「植物のことを考えると、隙間をあけて風を通すのが理想的なんですけどね。この“ごちゃっと感”が気に入っているんです」



セレクトの傾向としては、品種改良されていない、野性的な品種が多いという。久保さんの部屋で感じる“ラフな心地さ”は、植物の品種からも醸し出されているのかもしれない。

階段




高い天井と広いトップライト(天窓)の下で気ままに育つ植物たち。まるで植物園のような空間である。階段の端と手すりを活用してたくさんの植物が置かれている。申し分のない採光で、風の通りも良く、植物が育ちやすい環境である。

※後編の「久保さんおすすめの品種と植物ショップ」もお見逃しなく!



階段から上を見上げると鹿やジョーロ、理髪店のサインポールなどを発見。植物に紛れ込ませた久保さんの遊び心。グリーンとの色的な相性がよく、インテリアとして調和している。

この部屋に決めた理由





植物を育てやすいことを条件に部屋を探した。採光は特に重要な課題で、トップライト(天窓)が決め手となった。一人暮らし用の適度な広さでトップライトがある物件は珍しく、出会ってすぐに契約したという。

気に入っていないところ





植物との相性がいい物件なので、概ね気に入っているという久保さん。「植物を育ているという意味で、床が水に強い素材だったり土間があったらいいのに…と思いますが、わがままな話ですね。都内であればこの部屋で十分満足です」

お気に入りのあれこれ



ナーセリーポット




軽くて丈夫な植木鉢。デザインされすぎていない、シンプルな佇まいも気に入っている。大ぶりなナーセリーポットに木を植えて、空いたスペースに小さな植木鉢を入れる合わせワザも使える。時期によって、無印良品のオンラインショップで取り扱いがあり。

ルームメイトの鳥たち




「チュンチュン」という鳴き声をたどると、鳥かごに二匹の鳥が。ボタンインコのボタンちゃんとシナモン文鳥のシナモンちゃん。都会のオアシスにぴったりのルームメイトである。

自作の蒸留システム




パンチングボードを組み合わせてDIYしたラボ感のある蒸留システム。植物を水蒸気で温めて、フローラルウォーターやエッセンシャルオイルをつくっている。取材時にはベランダや玄関で育てているゼラニウムを採取してオイルを精製していた。



剪定した植物や枯れた植物は捨てることなく、オイルを作り、ルームスプレーや石けんなど生活の中で活用すれば、植物と共存する有機的なサイクルが生まれる。

「植物が好きでずっと育てているのですが、このラボが終着点のような気がしています。今後はハッカやモミ、ヒノキなど、日本古来の素材でオイルをとってみたいです」

暮らしのティップス



カーテンレール園芸




カーテンレールとS字フックの組み合わせで、収納とディスプレイの可能性がぐんと広がる。ハサミやスコップなど道具かけたり、植物自体も吊ることもできる。



「カーテンレールのほかにもハンガーラック、階段の手すり、椅子など、部屋の中で吊るせる場所を探してみるといいですよ。吊るすスタイルは、鉢ごと移動させやすいのでおすすめです」

玄関やベランダに置いたハーブは、虫除けとリラックス効果に




「ティーツリー」「ゼラニウム」を代表する、蚊が嫌う成分をもったハーブをベランダや玄関に置くことで、化学薬品を使わない虫除けができる。



最近はセージやローズマリーなど、さわやかな香りのハーブを育てている。出かけるときにキュッと葉っぱを握ることで、手にいい香りがついてリラックス効果があるという。

これからの暮らし




いつか都心に温室を作って、そこで育った植物でエッセンシャルオイルを作ってみたいという。

「オーストラリアなど広大な自然もいいのですが、都会でたくましく育った“キレイすぎない植物”にも魅力を感じています。東京都心産のオイルとかおもしろいなと思って。といいつつ、葉山あたりに一軒家をもって地植えする生活にも憧れていて。やりたいことがたくさんあって困りますね。笑」

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番外編「忙しい人やビギナーにおすすめの植物あれこれ」



全100種類を超える植物と暮らす久保さん。たくさんの失敗も経験しながら、少しづつ植物に慣れてきたといいます。

「日々忙しいから、植物は諦めている」「何から始めていいかわからない」という人に向けて、久保さんおすすめの品種やショップ、植物との向き合い方をうかがいました。

育てやすい品種とアイテム




「ホヤ」は、肉厚な葉っぱと、金平糖のようなカラフルな花が咲くことが特徴。乾燥に強く、水やりは少なめでOKなので、出張が多い人でも安心。「葉っぱが大きいので、存在感もしっかりしていて、育て甲斐がありますよ」



「リプサリス」も貯水率が高いので水枯れしにくい。放置しても育つので、忙しい人でも飼いやすい。久保さんの場合、水やりは1週間に1回未満。吊るして飼うのもおすすめだとか。



布製プランターの「BACSAC」は、通気性が抜群。土を深くまで入れることができて、水が四方からゆっくり抜けていくので、より地植えに近い環境になる。ベランダの手すりにベルトで固定して使うことで、狭いマンションでもスペースを有効活用できる。

おすすめの植物ショップ




外苑前の「FUGA」は都心では指折の品揃えの多さを誇る。佇まいが美しく、株立ちがいいものが多い。

都内に数店舗ある「SOLSO」も植物の質がよく、植木鉢の種類も豊富だという。週末限定でオープンする川崎の「SOLSO FARM」も見応えたっぷり。

失敗しにくい育て方




久保さんは幾度の成功と失敗を経て、「大切にしすぎない、手をかけすぎない」いう結論にいたったという。

「枯らす大きな原因として水のやりすぎが多いんですよね。水やりは毎日しません。真夏以外は3日に一回くらいホースでざっと水をまく程度。冬場はほとんどあげないこともありますよ」



もう一つのポイントは「風通し」。久保さんは、在宅時は窓をあけておき、外出するときはサーキュレーターを回し、換気扇は常時オンにしておくという。



同じ品種でも環境によって変わるため、自分の住環境に合う育て方を時間をかけて導き出すのがよいという。「最初は枯らしてもしょうがないという気持ちで、大らかにたくさんの植物と向かい合っていくと、うまい育て方がみつかるかもしれませんね」

Photograghed by Daisuke Ishizaka

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